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思い出の品々 その12

実家の茶箪笥を整理していたら、こんなのが出て来た。

懐かしい。

右から順に、瓶入り牛乳の紙のフタを開けるもの、缶ジュースの飲み口を開けるもの、サラダオイルとかの缶に注ぎ口を開けるもの。

何てこたあない、三つとも正式名称は知らなかった。

調べてみたら、どうやら世間一般にも知られていないような感じだ。早い話が正解と思しき名称は見つけられなかった。

勿論、相当普及していたものだから、名前がない訳はないだろう。少なくとも業界内の呼び名ぐらいはあるだろう。なきゃ発注出来ないし。

でも、分からないものは仕方ないので(仮称)でお許しを。

(仮称)牛乳の紙蓋開けピック

給食でお馴染みだったコレ。個人的には銭湯の冷蔵庫周りに栓抜きとセットでぶら下がっていた記憶の方が強いかも。逆に給食で使った記憶はイマイチなかったりもするし。

そして、子どもには危ないからか、いや子どもじゃなくても危ないからか、普通は先端の針の周りに、本体と同素材の円形とか四角い枠のガードが付いていた。

そのガードを紙蓋にあてがっておいて針をブスっと差し、外側に倒して梃子の原理よろしくパカッと開けると、紙蓋は針に刺さって外れるという訳だ。

給食だと、時間もないし一人につき一本そんな道具は配られていないし、いちいちそんなことやってられないので、爪で蓋の周囲をガリガリと捲り、捲れたところを爪先で摘まんでパカッと開けていた。

中には牛乳瓶の飲み口をカプッと咥え、上の前歯で紙蓋を押し込むように開けて、開けついでに飲み始めるという剛の者も居たっけ。(某テレビドラマのオープニングに流れていた主演俳優の朝食シーンでもお馴染み)

給食の牛乳はその後形を変え、テトラパックや紙パックに変更。つまりはストローで飲む(蓋は開けない)というように、子どもたちの飲み方まで変わって行った。

銭湯で風呂上りにフルーツ牛乳やコーヒー牛乳、リンゴジュース(牛乳瓶に入った褐色で透明のもの)とかを飲むことも、個人的にはすっかりやらなくなった。

風呂とは家で入るもの、という風に定着して久しいのだ。

(仮称)缶ジュースの飲み口開けオープナー

かつてはプルタブなどというものはなかった。

今でこそ、プルタブもあれば全体が丸く開くものもある。(主にビールね)一時期、ただ押し込むだけなんていう飲み口もあった。

プルタブを集めて然るべき団体に送ると車椅子の寄付に繋がる、なんて話もあったっけ。いや失礼!現時点でもその活動は行われていると思う。ただ、今のプルタブは基本外れないので、集めているのは主にアルミ缶なんじゃないかと思うけれど。

そんなプルタブが今では概ね標準規格。けれど、そんな当たり前のものがかつてはなかったのだ。

さりとて缶ジュースはあった。じゃあどうやって中身を飲んでいたのか?

ビンの王冠だったら、栓抜きがなくたってどっか頑丈なところに縁を引っ掛けて、エイヤッとばかりに引き下げると空いたりする。飲み口のガラスが欠けることもあったけれど。

けれども、缶じゃそうもいかない。五寸釘と金槌でもあれば開けられないこともないけれど、普通は持ち歩いてはいないだろう。

そこで登場する、缶ジュースを飲むにあたっての必需品が真ん中の写真のものだったのだ。

気の利いた商品なら、缶の上面にくっ付いていたり、上面に載せてその上をセルロイドみたいな薄い蓋で覆っていたものもあった。オープナーがなくならないようにね。

使い方は簡単。缶の淵に咬ませて梃子の原理で引き上げて先端部分を冠の上面に食い込ませるだけ。一か所開けたら上面の反対側にもう一か所開ける。そう、空気が抜けないと中身を飲めないですから。

昔はそんなことやって飲んでたんだなぁ。

ちなみに写真の残るもう一つは、冒頭にも書いた通りサラダオイルの缶とかの注ぎ口を開けるもの。

つまりは缶ジュースのオープナーがデカくなっただけなので、説明は省略しておきます。

それにしても、半世紀近く目にしていなかった道具なのに、目にした途端に記憶は瞬時に蘇るもの。

当たり前の話だけれど、使ったことがない者にとっては「何だこれ?」という世界。

どんな些細な記憶も、多分この頭のどこかにちゃんと封印されてるのですね。

それを上手く使いこなせている人が、所謂記憶力の良い人ということなのでしょう。

え?私?はい、使いこなせていません。