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記事一覧

あなたが僕を忘れても   #ナイトソングスミューズ

「優しい息子さんを持って、吉田さんは幸せね」 ヘルパーの岩田さんの言葉に、母は嬉しそうに…

siv@xxxx
3年前
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アタタメマスカ?

電子レンジが壊れてしまった。 2年程前に知人に安く譲ってもらったもので、その時点でも相当…

siv@xxxx
4年前
6

ある日の出来事

お題 朝の通勤電車。 トンネル内で電車が止まる。 いつまでたってもアナウンスはない。車掌も…

siv@xxxx
4年前
9

#今日の天気  ~僕の空~

すこんと突き抜けたような空を、半分ほど枯れた草むらにあおむけになって見ていたら、 ひとつ…

siv@xxxx
4年前
6

だいじょうぶ

体育の時間が大きらいだったの。 球技とか、大縄跳びとか、とにかく集団で何かをする競技が苦…

siv@xxxx
4年前
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暮れてゆく空の下で

ここが僕の住む町。 都心からそれほど離れているわけでもないのに、ずいぶんのどかだろう? 急…

siv@xxxx
4年前
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湾岸線

スピードメーターはすでに100キロにさしかかっている。 まだアクセルを踏み込みたい衝動をこらえながら、僕はただ車を走らせる。 初めは小さな光の点に過ぎなかった、イルミネイトされた観覧車が、右前方に見えてくる。 今日の照明は青色。 ということは、明日は雨の予報が出ているということか。 僕はちらりと視線を左側に向ける。 助手席に座っている彼女は、窓の方を向いていたけれど、ガラスに映った表情はさっきからずっと険しいままだ。 唐突に僕は、初めてこの観覧車に彼女と二人で乗った時のこ

湾岸線 side B

私は助手席の窓に写った彼の横顔を見つめている。 彼は、何かから逃れようとするみたいに、さ…

siv@xxxx
4年前
11

irregular

私の体は、誰かを慰めるためだけに存在している。 肉体的にも、精神的にも。それこそ、あらゆ…

siv@xxxx
4年前
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フジノヤマイ(1/3)

夕飯を残したことがよっぽど珍しいのか、ママは具合でも悪いの?と、ぼくのおでこに手を当てた…

siv@xxxx
4年前
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フジノヤマイ(2/3)

フジノヤマイ 1/3 ぼくは学級委員のタカハシの顔を思い浮かべた。 タカハシは、女子のくせ…

siv@xxxx
4年前
4

フジノヤマイ(3/3)

フジノヤマイ 1/3 フジノヤマイ 2/3 その後は、すぐにいつものタカハシに戻っていた。 休み…

siv@xxxx
4年前
3

トウヒコウ

家族が寝静まるのを、息をひそめて待っていた。 荷物は、前の週から準備していた小さなバッグ…

siv@xxxx
4年前
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もう一回

「クラス全員、さかあがりができるようになるまで 鉄棒の授業は終わりません!」 と、 センセイが言ったことばを真に受けて 「もう人生おしまい・・・」 と思った、小学一年生の春。 「だいじょうぶ!一緒にがんばろ!」 さっそくその日の放課後から個人特訓が始まった。 コーチはクラスでいちばん仲のよかったあっこちゃん。 放課後になるとあっこちゃんは、いちばんに教室を飛び出し校庭へ。 「はやく!こっちこっち!」 のろのろと体操服に着替えて出てくる私を いつも鉄棒にもたれながら待って