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要求を伝えられるための支援

凸凹さんゆっくりさんの中に、言葉は流暢に話せるけど、要求や依頼を直接言えない子がいます。
初めての人に「初めまして」と自己紹介はできるのに、「ふりかけください」は言えない。
「喉乾いたな〜」と気づいてほしいアピールはできるのに、「ねえねえ」と呼べない。

デイでは、気づいてもらえていない時に、第三者が介入して、
「○○さんにふりかけくださいって言うんだよ」
と伝えて実行するよう手助けしています。

第三者なのは、ABAで考えると、アピールをしていたり待っていたりする状態で気づいてしまうと、アピールをしたら気づいてもらえる、待っていたら気づいてくれる、という学習をしてしまうからです。

ただ、どうしても2人しかいない場合は、
「何て言えばいいのかな?」
と聞いて、わからなければ伝えて、子どもが言葉を言ってから渡すというようにしています。

また、伝えることを文字で書いておき、読んで伝えられるようにすることもあります。
(そういうものをリマインダーと言います)

コミュニケーションとは言葉だけではない、と感じます。
コミュニケーションとは相互作用です。人から伝えられて、人に伝えるものです。
言葉を獲得しても、一人で言っているだけでは独り言になってしまいます。凸凹さんの特性として、相手に伝えるという意識が薄い子がいます。

言葉での表現が少なくても、伝えたいという気持ちがあればコミュニケーションはできます。コミュニケーション手段は言葉以外にもあります。
案外、言葉でない方が、相手にわかってもらおうとする意識は生まれやすいのかもしれません。
例えば、言葉は、遠くからでも聞こえるけれど、ジェスチャーなどを用いる場合は近くに行って見てもらわないといけないからです。伝えたい相手がより明確になる気がします。
言葉にしても言葉でなくても、コミュニケーションで大切なのは、人に伝えるという意識を持つことです。

「ねえねえ」
「先生」
「お母さん」
など、呼びかけは大事です。

家庭や支援場所でも、子どもが何か言ったり動いたりしただけで、大人が察して「何?」「どうしたの?」とすぐに聞く場合が多いです。

凸凹だから、発達の遅れがあるから、特性だから、周りが察してサポートしてくれる。
それは理想ですが、本人ができることの力を伸ばすことも考えます。

特に、言葉は話せるならば、それを上手く使う方法を学んでいくことも大切です。
言葉は自然に使えると思っていますが、凸凹さんにとって、他の人にとっては当たり前のことでも、使い方を教えてもらうことも必要な場合が多いです。
言葉は目に見えないので、残りにくいのです。


将来働くためのスキルとして、何らかの形で相手に要求や依頼を伝えられる方が困りません。
そして、困っていることが気づかれないままにならないように、ヘルプは出せるようになった方がいいです。
何より、思うことを伝えられて、わかってもらえていると思えると気持ちは安定します。

何でも察してもらう生活だと、人任せの主体性がない生活になってしまい、気づいてもらえないことで何でも人のせいになってしまいます。
生活の主役になるためには、気持ちを伝えられることが必要です。

なので、要求を伝えられること、ヘルプを出せることを支援していきます。
ただし、無理はせず、本人ができるように工夫をします。


要求が伝えられない理由はいろいろ考えられます。

相手に意識が向きにくい
相手に伝えるという行為がわからない
人に話そうとすると緊張する、構えてしまう
言い方がわからない
自分のことをわかってもらいたい
など。


まずは、実際の場面で、どうすればいいのかを伝えていきます。
誰にどう伝えるか。
視覚的に書いたりして伝えるのも方法です。

どう言えばいいのかわからない場合は、初めは文字で書いて読んでもらう、文字で書いて渡す、などの工夫も必要です。
消えてしまう言葉は残りにくいので、目で見てわかりやすいことは必要です。
緊張して言えなくなってしまう場合も、紙に書いておいたら言いやすいですし、渡すだけでもいいなら気が楽になれます。
慣れたらなくても言えるようになるかもしれません。

SSTなどでシミュレーションをする方法もあります。
ただ、実際の場面に応用して使うことが難しい人もいるので、できるだけその時の場面で練習していく方がわかりやすいように思います。

そして、要求などは叶うようにすることが大切です。
言っても自分にメリットがなければ、次から言おうとは思わなくなります。
必ず要求や依頼を聞ける場面から練習していきます。


コミュニケーションを支援するグッズとして、おめめどう®︎さんの、おはなしメモ®︎というものがあります。

おはなしメモ®︎


視覚的に、誰が何を言っているのか、言葉の流れが見えるようになります。
このようなグッズを使うことも方法の一つです。

相手に伝えるためには、言ったら受け止めてもらえるという安心安全の関係が必要です。
まずは要求など言いやすいところから始めて、気持ちを伝えられるようになって、楽に生きられるようになればいいと思っています。

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