韓国のビジネストレンド 01 : 執務室, JIBMUSILーオンラインとオフラインを統合したシェアオフィス
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韓国のビジネストレンド 01 : 執務室, JIBMUSILーオンラインとオフラインを統合したシェアオフィス

韓国のビジネストレンド 「韓国のビジネストレンド」は、現在韓国で最も注目されているスタートアップを紹介するコーナーです。

 スタートアップはそれ自体、変化と革新を意味するものでもあります。スタートアップのリーダーは、新しいアイデアと技術で不確実なビジネス環境に挑戦し、自分の価値を証明しています。スタートアップのパイオニアとの対話を通じて、韓国のビジネス環境とトレンドを紹介しようと思います。 

韓国のビジネストレンド 01 : 執務室, JIBMUSIL 

コロナの拡散は多くの社会変化を促しました。その一つが「働き方」です。ソーシャルディスタンスにより、密集したオフィス空間で同時に働くことが不可能になり、リモートワークの導入を憚っていた企業にとってすら、リモートワークは選択肢ではなく必須条件になりました。 このような状況で、「シェアオフィス」はリモートワークを支援する代案となっています。 企業の立場では、シェアオフィスを通してオフィスの分散化ができ、社員にも家と業務空間を分離することで仕事の効率を高めることができます。 実際、韓国最大規模の共有オフィス企業「FastFive」は、昨年に比べ、利用者数が38%、売上高が43%増加しました。 

私も韓国でリモートワークをしています。業務の効率性を高めるために、週に2回は共有オフィスで仕事をしています。私が選んだシェアオフィスは、韓国シェアオフィススタートアップ「執務室」です。 執務室は「家の近くの一人業務に最適化したスペース」をコンセプトにしています。 

執務室は、韓国のリンクトインと呼ばれるオンラインビジネスネットワーキングプラットフォームの「ロケットパンチ」と、ブランド開発会社の「エンスパイヤー」が会って始めた事業です。約3か月間執務室に出勤しながら感じたのは、シェアオフィスは単に空間を賃貸するのではなく、新しい業務文化を生み出すビジネスプラットフォームだということです。

 第一回の「韓国のビジネストレンド」では、執務室のキム·ソンミンCEO、チョン·ヒョンソクCDOにインタビューを行いました。

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執務室のチョン・ヒョンソクCDOとキム・ソンミンCEO©️イジュヨン

 ―執務室サービスについてご紹介お願いします。

 私たちは執務室を「分散オフィス」と表現しています。 日本でも「サテライトオフィス」という表現があると思いますが、私たちは居住地のより近くに位置することを目指しています。 執務室を「未来型ビジネスラウンジ」と定義したいと思います。テクノロジーを組み合わせたワークプラットフォームを作ろうというのが私たちの目標です。 

―事業のアイディアが日本旅行から始まったと聞きました。 

ビジネスで東京に行ったことがありますが、その時最も印象的だったのがカフェ「Fuglen」です。 ある老紳士がお酒を飲みながら本を読む風景がとてもよかったし、会社帰りにウィスキー1杯やコーヒー1杯を飲んで帰宅できるそのイメージがとてもよかったです。二人とも仕事に関してはワーカホリックスタイルですが、このような空間を仕事ができる空間に繋げてみたいと思いました。 仕事をする空間がお金を儲けるための空間というより、Fuglenのように精神性が感じられる空間になればと思いました。 

―執務室は現在、どのような空間を提供しているのでしょうか。

 空間の多様性を主に考慮しました。一つの空間で多彩な姿勢ができるように設計しています。 執務室内には様々な空間があり、例えばウイスキーが楽しめるバーカウンターや、洞窟のような隠れ家スペースがあります。

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バーカウンター・隠れ家・無重力ゾーン©️JIBMUSIL

 そのような空間は執務空間としては不必要だと言われてきましたが、空間の多様性と自由さがむしろ業務の効率性を高めてくれると信じています。 無重力ゾーンは、しばし目を閉じて瞑想できる空間です。人が主人になる空間、人為的ではなく淡泊なデザインで空間を表現しようとしました。 

―現在の料金体系は、一ヶ月費用33000ウォンを出して一日一時間ずつ利用することができます。使用時間が増えると、追加費用が発生するシステムです。このような料金体系を設定した理由はなんでしょうか。 また、最近共有オフィスでよく使われる一日券がない理由はありますか。

 少なくとも1日1時間は過ごしに来てもらうワークリズムの側面から料金プランを構想しました。 また、月額会員制として誰でも入ってこない空間としての機能も考えました。 一日券=一日料金制を実施しない理由は、今後のオンラインプラットフォームとの連続性を念頭に置いたからです。現在「ロケットパンチ」というオンラインビジネスネットワーキングプラットフォームを運営中です。近いうちにプレミアムサービスをリリースしますが、その金額も毎月33000ウォンに決まりました。 このサービスに加入すると執務室が無料、このようにビジネスを繋げようと思います。 

―シェアオフィス市場の競争がさらに激しくなる見通しです。 韓国のオフィス市場で注目すべき点は何なのか、このような競争の中でどのような差別化で対応していこうと考えていますか?

 クラウドサービスの誕生により、企業は全てを内製化するより必要なサービスを外部プロバイダに任せ始めるようになりました。オフラインも同じだと思います。オフィスも不動産契約・内部インテリアなどすべてを自主的に解決するより、オフィスサービスを外部のプロバイダに任せている傾向にあり、韓国も現在この流れに乗っていると思います。しかし韓国のオフィス市場は(ビジネス規模の面で)米国や日本に比べれば、まだまだ小さい。 

―既存のシャアオフィスはチーム単位の業務に重点を置いています。そうすると結局既存のオフィスと似た形が出てきます。 

私たちは個人に合わせたオフィスソリューションで差別性をしています。 

シェアオフィス市場の一般的な方法は空間賃貸ですが、私たちは会員数370万人の「ロケットパンチ」と共に事業をしています。執務室というオフライン空間にビジネスネットワーキングが拡張されるプラットフォームを構築しようと思います。 

―執務室の収益構造はどうなっていますか。

BtoBを念頭に置いて事業を始めましたが、最初は大変でした。企業に保守的な面があったためでしたが、コロナが収束しない中での対応として企業がリモートワークというニーズに徐々に反応し始めました。 そうした背景があり、コロナ以前はBtoCの事業基盤が中心でしたが、今年はBtoBの機会が多くなりました。 現在、KTとカカオエンタープライズが執務室を試験導入しています。本社の業務スペースを減らし、社員一人一人を家の近くのシェアオフィス(執務室)に分散させようとしています。 そのような企業が数百人単位で契約を結ぶことで基本需要を作り出すことができるようになり、収益安定性を達成することができました。 

―私が社員の立場でリモートワークをしながら最も難しかった点は、業務時間や方法に会社が関与しない分、自らの価値をしっかり証明しなければならないという点がプレッシャーに感じてよりハードワークになってしましました(笑)

 そうですね。企業の立場でリモートワークの業務効率性が低くなるのではという懸念もありますが、実際コロナパンデミックの下でリモートワークをしながらそれなりの長所を見つけたと思います。そのためコロナが終わってもリモートワークに対する需要があると思います。 シリコンバレーでも100%リモートワークをするという流れがありますが、この流れについていけなければ人材を奪われると考えています。 

―「リキュールタイム」が面白いです。「リキュールタイム」の企画背景を聞きたいです。 

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執務室のリキュールタイム©️イジュヨン

空間内にエッジが必要だと思いました。バーカウンターを通して空間内のエッジを与え、そこでウイスキーを一緒に飲みながらコミュニケーションができる空間、ゆるい連帯感が感じられる空間を作ろうとしました。 

執務室は24時間オープンにしています。通常は9時から6時まで仕事をする人が多いですが、6時以降にも来られるようにしようとしたためです。 ウイスキーを一杯飲みながら本を読む時間を想定しています。 それには、マーケティングの側面もあります。広告費に高い費用をかけるより人々に満足してもらえるものを提供し、彼らが直接SNSに写真をアップロードする広報効果を狙った点もあります。 

―海外進出の意向はありますか。 

はい、考えています。ソウルと都市成長モデルが似ているところ、東南アジアなどをターゲットにしています。 住居地が都市の中心部と離れていて、通勤に一時間以上かかるところなど、都市形態の似ているところを探しています。

 ―執務室の今後の計画はどうなりますか。

 カバレッジを広げていくことが計画です。 

上半期には首都圏をカバーする6つのオフィスを全てオープンするのが目標です。 (現在3つの事務室運営中) この6つは最少限の目標です。現在協業する企業のデータから、首都圏は6つの分散したオフィスでカバーできると考えています。 

下半期にはソウルのビジネスの中心地区にビジネスセンターを設立することも考えています。既存のシェアオフィスは、不動産を賃貸して空室率を減らす形でアクセスします。しかしテナントを誘致しようとする資産運用会社や不動産開発会社と話をしてみると、高層部には高価テナントを誘致しようとし、低層部にテナントのためのサービススペース(クライアントとの接見スペース、会議スペース、休憩できるシェルタースペースなど)を作ろうというニーズがあります。低層部に執務室というサービスが入れば不動産の価値を高める好循環が生まれ、私たちは運営主体として施設投資に対する負担を減らすことができます。 執務室の利用者にとっても、1週間に数日はビジネスの中心地区で業務を行うことができるため、地域的なカバレッジもさらに高まると思います。 最終的にはワーケーションまで考えています。ホテルと執務室の融合です。リモートワークはホテルの執務室で行い、休暇はホテルで楽しむという形を考えています。 

このような計画が可能な理由は、執務室には拡張性と移動性を高めるワークモジュールがあるからです。

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執務室は働く人の3つのペルソナに合わせてワークモジュールを開発した
©️JIBMUSIL

このワークモジュールは一般的には家具で考えられていますが、私たちは電子機器だと思っています。QRコードで入場するとあらかじめセットしておいた温度・湿度などの室内環境が実現されるように設定するなど、このワークモジュールに合わせて様々なIOT技術を開発しています。 

―執務室の持続的な成長のために強調したいことはありますか。

 オンオフ統合のオムニプラットフォームを作っていくことです。執務室は基本的に出入りをアプリで管理していて、利用者のデータをDBに蓄積しています。蓄積されたデータをもとに利用者に最適のサービスを提供できます。 

他の支店に行っても利用者が好きな湿度と温度を提供でき、好きなウイスキーを提供できます。 カスタマイズサービスが可能であるため、この人が他のシェアオフィスへの移転コストを大きく感じるようにしているのです。このように、顧客が離れられない要因をデータとして蓄積しておくのです。

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執務室のアプリ画面。QRコードで入場でき
現在の利用者プロフィールや温度・湿度・BGMなどが確認できる。

長期的なビジネスプランを考えると、私たちは不動産はデータでアクセスしなければならないと思います。

今後の販売はオンライン上で行われ、オフラインはデータマイニングのための空間として活用されるでしょう。 現在、執務室アプリで利用者の出入り等を管理していて、これを建物に拡張すると時間帯による人口流動量をトラッキングすることができます。これがデータとして蓄積され、建物の他の要素(アーケードなど)と繋げると、特定の時間、或いは特定の天候にはどのような人がどれだけ来るかを推測でき、建物や建物への入居社はより効率的な運営が可能になります。 このようにデータをパートナー企業と共有しながら運営しながら長期的なビジネスプランを考えています。

ビジネスデザイン集団POINT EDGEの公式noteでは各メンバーがマガジンを持ち、定期的にコラムを発信していきます。メンバーそれぞれの個性や専門性が感じられる内容です。 ぜひご覧ください!

▶︎マーケティングディレクター/ビジネスデザイナー 岩下功一
「マーケティング視点でビジネスデザインを俯瞰する」
▶︎WEBディレクター 一宮英威
「色んな基準」
▶︎ブランディングデザイナー イ・ジュヨン
「韓国のビジネストレンド」
▶︎ビジネスデザイナー/インテリアデザイナー 桑原寿記
「リアルとデジタルの体験をデザインする」

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