返答詩「合格証書」

あの日できなかったことを覚えている
影みたいに ずっとついてくる
記憶が痛みを連れてくる

もう治ったはずなのに
どうしてか怖くなる

治らない かもしれない
きっとそういうもの

息をするように過ちを引き受けて
歩くごとに正しさを更新していく

その姿が きっと正しいのだ

できないことが多すぎて落ち込んで自己嫌悪に陥って泣いた
人生からふるい落とされている気がする
誰かと比べてみんなと比べてでもみんなってどこにいるんだ

人生に卒業なんてなくても
何か残したという手応えが欲しいそれは例えば合格証書のような

できなくてもそれが私だと歩いていく姿に愛と花束を

死ぬほど駄目でも生きてるじゃんって
笑って生きることを選んだ私にどうか勇気を

選んだ道で 生き残ったものが結局は正しい
人は消えてしまったものより残ったものを選ぶしかない

だから こんな私でも 私はここで生き残って
その生き方が正しいことを 証明していくのだろう



















返答詩集「どうか その優しさが あなたのもとへ」収録
https://note.com/poet_ohno/n/nb591c815e8ff?magazine_key=m9f4e03d273ef


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