失ったものと得たもの

2か月前、この道を通ったのは入院するため。
今日は診断書をもらいに行くためこの道を通った。
もう過去になったあの時の心と体の痛みを思い出す。
よくがんばったな、よくここまで回復したな。

突然の入院と手術、その後に感じた筋力低下。
やせ細った体を見た時、驚き、悲しかった。
いまもまだ、失われた体力は元には戻っていない。
いまもまだ、術後の傷口は元通りにはなっていない。
でも、ちっとも悲しいとは思わない。
いつか、そのうち、今よりもよくなるはずだから。
今の状態でも充分動けるし、どこへでも行ける。
それに、計り知れないくらい得たものがあるから。

朝起きて、痛みを抱えることなく生活できる、
窓を開けて太陽の光を浴びて新鮮な空気を吸える、
空や花を見てきれいだなと感じ、
今日はあったかいけど風は冷たいと感じられる。

体につながった管、点滴、痛み、
決められた時間に従う生活、
食べたいものでなく出された食事、
窓の外の世界に早く戻りたいと思っていたあの頃。
それを知っているから、
身の回りのどんなことにでもありがたいと思える。

失ったものはいつか取り戻せるし、
それ以上に得るものが多い。
だから、結局、失うってことはないんだ。