愛を知ること ~株主総会に参加する子どもたちとポコポコキッチンの話
愛を知ること ~株主総会に参加する子どもたちとポコポコキッチンの話
もうすぐ5歳になる息子はいつも、「まるちゃんのところに行こうよ」と言う。
まるちゃんのところ、すなわちポコポコキッチンを、遊び場か何かだと思っているようだ。
まあ、葉っぱのお金“ポコポコ”を渡すとジュースをもらえて(正確には、他のお客さんからのありがたい恩送り=「こどもたちに飲みものをごちそうするBOX」を使って、自分の葉っぱを出さずにジュースを頂くことまである)、まるちゃんが全力で遊んでくれるのだから、大好きな場所になるのも当然だ。
そもそも、初めてまるちゃんと出会った時から、子どもたちはそんな感じだった。
4年前、とあるお宅での夕食会。釣りたての大きな魚が持ち込まれ、どう調理しようか思案していたら、旅人として町に来ていたまるちゃんが愛犬バンビと共にサッと登場。
華麗にさばいてくれたまるちゃんの足元には既に、こんなふうに子どもたちが群がっていた。
思うに、【一緒に遊ぶ】ということを子どもたちは敏感に感じ取っているのだ。
「野菜、植えようぜ!」
「みんなでカレー作って、ワイワイ食おう!」
「バスケしよ。」
そんなふうに、いつだってまるちゃんは、みんなで一緒に動こうよ、と声をかける。生産者と消費者、シェフとお客さま、そうやって「する/される」みたいな関係性じゃなくてさ、共に創る仲間がいいじゃない、と。
だから私は
「絶品ランチや、ふわふわのカフェオレを頂く」ことも勿論あるけれど
「脚立に乗ってポコポコフラワーを天井に植える」こともあれば
「釣った魚を持ってくる」
「子どもたちと野菜を刻んでいる(どんな刻み方のほうが味しみる?と私も一緒に教えてもらいながら……)」こともある。
「ポコポコキッチンに明かりがついたら行っちゃうもん」と語る小学生は、きっと、自分もここの一員だという感覚があるのだ。
それは子どもに限らず、汗をかきかき、まるちゃんと日々畑を耕すご近所さんたちや「1週間で2回目、来ちゃいました」と往復2時間近くもかかるキャンパスからやってくる大学生もきっと同じで。
大人たちが、次は何を植えようか、ミント爆弾(!?)がどうのこうのと楽しくておいしい企画についてワクワク話し合っている傍らで、
そうした「生み出す人々」を日常的に見ている子どもたちは
どうやって大好きなまるちゃんを驚かせようか?話し合って、奇想天外なビックリ箱を作ってプレゼントする。そして、そんな小さなつくり手たちは、いつだってポコポコキッチンを走り回りながらゲラゲラ笑っている。
相手のことを考えて、贈る。
じつは、それはいつもまるちゃんがやっていることだ。
今日は、どんな人が、どんなシチュエーションでここにいるのか。
食べる人の気持ちや状況をとことん
想像して、創造する。
願いを込めて差し出す。
そんな生き方をし続けてきたまるちゃんのエネルギーが溢れる空間で、年齢も職業も何もかもとっぱらって生命力いっぱいの一人一人が互いに影響しあいながら創造性を発揮する。
そんな地域コミュニティは、元気いっぱいの子どものように、大きな可能性とパワーに満ち溢れている。
ある日、まるちゃんは
「株主総会、参加しない?」と、我が家の4歳児を誘った。
聞き間違いか?と思いながら行ってみると、それは間違いなく
「カブぬし総会」で
畑に植えた“カブ”を『おおきなかぶ』の絵本よろしくみんなで抜いて、カブ出汁のブリしゃぶを食べる会のことだった。
スポン!とカブを抜いた感触に、息子は大はしゃぎしていた。
植えて、育てて、脱穀して、あんこを作って、お汁粉にして。
「SILCO FES」に至っては、一年をかけての壮大な遊びと言っても過言ではない。
その日を境に、子どもたちはずっと
お汁粉をテーマにしたオリジナルテーマソングを口ずさんでいる。
歌詞全文は、ポコポコキッチン会員になってからのお楽しみ、にするとして
【共に歩んでいく
それは愛を知ること】
歌詞の中のこの1フレーズが多分、ポコポコキッチンって何?を
これでもか!とあらわしている。
食べること・つくることを通じた遊び場であり、味わい深いコミュニティであり、ワンダーランドともいえる「ポコポコキッチン」。
その入口は、秋田県五城目町の廃校オフィスの中にある。
この摩訶不思議なnoteを読んで扉を叩きたいと思ってしまったアナタとは、もしかしたら数ヶ月後、一緒に歌い遊ぶ仲間になっているかもしれない。
by カスミン@五城目町(2児の母・BABAME BASE事務局)
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