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やる気スイッチ、ある人もたぶんいる

やることはたくさんあるのに、どうしても気分がのらないときというのがある。

その日の朝なんてまさにその感じで、もうどうにもこうにもやる気が出なかった。

そういうと、「君ね、やる気を出そうと思うからいけないのさ、まず、始めることだよ。とりあえず気分がどうとか言ってないで始めてしまえば、仕事は進むんだから」と、えらいひとたちが言っていたなと思い出し、自分もまあそれも一理あると思って、とりあえずPCに向かってみたりもする。

けれど該当のファイルに向かって作業をやっていたはずが、気づけばSNSを周遊していたり、関係ないnoteをぼーっと集中力なく読んでいたり、まったく時間を無駄にしていることに気づく。いや、愛すべき無駄なんだけど。

ああこんなんじゃいかんわあ、と思うのだけれど、頭が重たい。だいたい気分がのっているときは頭がすっきりと冴え渡っている状態なので、あの状態からはほど遠い。こんな状態じゃいいものなんて書けないよ、と情けない言い訳をしながら、そのまま畳みにバターン!と横になった。

脳内では、Bruno Marsの"The Lazy song”が流れ始める。

Today I don't feel like doing anything
I just wanna lay in my bed
Don't feel like picking up my phone
So leave a message at the tone
Today I swear I'm not doing anything

今日はなんもしたくない気分
ただベッドでダラダラしてたい
電話とるのすらめんどいから
留守電にでも残しておいて
もう今日は絶対、なんもしないって決めたから

―Bruno Mars, "The Lazy song”/和訳はぽこねん意訳なので参考程度に

いや、天下のBruno Marsだってこう言ってるしさ、ヒットしたってことは共感するひともたくさんいたってことだしさ、もうこれは人間として自然なことなのだと思うのですよ。波があるのは。

“とくに今日やらなければならないことがなければ、わたしもこのままもう、寝ちゃいたい……。”

けれど現実問題、その日やるべきこともやりたいこともいろいろとあったので、私はやる気スイッチを入れることにした。

* * *

やる気スイッチなんて存在しない、そんなものを探しているひまがあったらまず仕事にとりかかりなさい、という論も巷ではたまに見かける。

ひとによっては当てはまると思うのでそれも否定はしない。でもわたしの場合、一番のやる気スイッチは確実にあって、しかも実に単純なことだ。

それは、場所を変えること(主に文章を書いたりする場合)。

ちなみに場所が変えられない作業の場合(家事など)は、音楽をかけたり、お気に入りの服やエプロンを着たりすること。

なあんだ、そんなこと。そう、そんなこと。もうすでにやっているひとも多いだろう、ささいなこと。でもそんな簡単なことが、自分に作用する大きさを自覚していると、けっこう便利である。

自宅でやる気が出ないならカフェやコワーキングスペースに、そこでまたやる気が出なくなってきたらまた景色の違うカフェに。場所を移して、周囲の環境を変えることが、わたしの場合はとても大きく自分の気分に作用する。

ぼうっと混沌とした脳で、ああもう無理かなあと思っていても、がらりと違う環境に身をおくことで、脳内がリセットされる。新たな景色やノイズに、脳が刺激を受けて活性化しはじめる。

元来貧乏性なので、移動時間と体力、コーヒー代といういろいろなコストをかけて環境を手に入れたことも、「せっかくコストをかけてここへ来たのだから何かをしよう」という、いい意味でのプレッシャーになってくれる。

おかげで脳内がリセットされ、すっきりと軽くなった脳でいまこれを書いている。ふしぎなもんだ。

* * *

きっとどんな環境でも自分を律することができるのが、一流なんだろう。

その意味で、自分は永遠に一流にはなれないなあ、と思う。周囲からの影響を受けまくって流されやすい。

でもそれならそれで、欠点のコントロール方法を見つけていくことで、一流に近いパフォーマンスを生めるよう、ちょっとでも状態を改善していくことはできるんじゃないかなあ、とかぼんやり思ったり。

二流な自分の取扱説明書、のような。

ダメな自分を、ああダメだなあと自覚して、うまいことつきあっていきたい。

(おわり)


P.S.ほんとうに「今日はなんもしないぞー!」って日は、最初っからそう宣言して、実際にそう過ごしたら最高だと思います。そんな日のおともには、“The Lazy Song”。


自作の本づくりなど、これからの創作活動の資金にさせていただきます。ありがとうございます。