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もくもくポテト

平日のお昼どき、何年ぶりかというほどひさしぶりに、某大手ハンバーガーショップに入った。

全世界においてハンバーガーの代名詞といっても過言ではない、あのファストフード店である。

まず、注文カウンターからして数年前とはようすが違ってとまどう。

以前はこういう都会のお昼どきなら、レジ前にだーっと行列ができていたのではなかったか。ところが、目の前のカウンターには行列などまったくない。決してひとが少ないわけではないのに、システマティックに効率化されているのか、来たひと来たひと、スマートにどんどんと流れて去ってゆく。

こ、この流れにうまく乗れるのかしら。注文前からそわそわと不安感の高まるわたし。

意を決しておずおずとレジへ行き、メニューに目を落とすと、その内容もだいぶ様変わりしている。一生懸命解読しようとあせればあせるほど、黒や黄色の文字が目の前でちかちかして、なかなか頭にはいってこない。

どどどどうしよう、きっとこうやって悩んでいる間にも、若者たちがさくさくと進むスマートな流れに淀みをつくってしまう。

だらだらだら。

心の中で冷や汗をかきはじめたわたしは、吟味を放棄し、「て、てりやきバーガーのセットを……」と見覚えのあるロングセラー商品を注文する。はたしてそれが自分のほんとうに食べたいものなのかは大いに疑問だ。

やっとの思いで注文を終えると、手渡されたレシートにはなにやら大きな数字が印刷されていた。

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どうでもいいことをすごくしんけんに書いています。

<※2020年7月末で廃刊予定です。月末までは更新継続中!>熱くも冷たくもない常温の日常エッセイを書いています。気持ちが疲れているときにも…

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