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エッセイはとつぜんに

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つれづれなるままに、ひぐらし、ではないが、ときたまPCにむかひて。役には立ちませんが、何の変哲もない日常を楽しめるようにはなるかもね。
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#子育て

白シャツという自由

白シャツという自由

最近、白シャツが楽しい。

少なくともここ3日間、気づいたら白シャツを着ている。

素材やデザインはいろいろだし、たいていキャミソールとかタンクトップとかとあわせてラフに着るのだけれど、とにかく真っ白なシャツがメインというのがいい。とてもいい。とても、なんていうか、気分だ。

朝、ねむい頭のままクローゼットの前に立って、ぼんやりと洋服を見る。

ああ、昨日も白シャツだったなあと思いながら、でもまた

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ぽんぽんのくつした

ぽんぽんのくつした

それは娘がまだ赤ちゃんのころ、ばあばがプレゼントしてくれたものだ。

パイル地というのだろうか、伸縮性のあるタオルみたいな生地でつくられた、ベビーサイズの小さな小さなくつした。足首の前のあたりに、直径2cmくらいある大きめのぽんぽんがついている。

当時はそのくつしたにぴったりの、小さな娘の足にそれを履かせて「あらかわいい」なんてほほえんでいたものだ。なんだろうね、あの時期って親が着せたいものを着

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打ち上げはスーパー銭湯で

打ち上げはスーパー銭湯で

打ち上げという単語が縁遠くなってひさしい。

そもそも大勢のパーティは得意じゃないので、ひとりで働くようになってからはそういう“職場の飲み会”のような場が減り、ほっとしていたはずだ。

だけど……、だけど。

あまりに「打ち上げ」ていないと、わたしのような人間にも「打ち上げ欲求」というようなものが大いにひそんでいることに気づく。気づいてしまう。

そんなわたしの横で夫が言う。「昨日は◯◯の打ち上げ

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ちいさなせなか

ちいさなせなか

ここのところ、2歳の娘がわたしの布団にもぐりこんでくることが増えた。

……と書くとほほえましいが、実際はまだ加減を知らない娘のこと。「ごっ」という鈍いひびきとともに、わたしのあごにタックルを決めてくる。母の胸もとやあごにアタックを繰り返しながら、ぐるぐると回転し、自分の心地よいポジションを探しているようだ。

昨夜も、最初は自分の布団にうつぶせに横になっていたのだけれど、眠れないのか結局のそりと

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床の見える生活

おしゃれなインテリアを楽しんだり、ものを持たない暮らしを追求する方も多くおられるご時世に、ものすごく低レベルな話をするけれど、我が家のリビングは子が生まれてからというもの、ほとんど床が見えていなかった。

何かの比喩でもなんでもなく、文字どおり、ものが散らかっていて床の見える面積が圧倒的に少ない、ただそれだけのことである。

特に子が動き回るようになってからの1年は、いたるところにおもちゃやそれに

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ノスタルジアは突然に

ノスタルジアは突然に

夕方、洗濯物をたたんでいてふと目をとめた。

お弁当をつつむ用の、ちょっと厚手で大きめのハンカチ。ライオンにゾウにトラにと、色とりどりの動物キャラクターたちが、野球のユニフォームをまとって可愛らしくプリントされている。

それは昨年実家に帰ったとき、帰りの飛行機で食べるためのおにぎりを、母がつつんでくれたものだった。ちょうど動物をゆびさして喜ぶようになった孫娘のために、動物がたくさんプリントされて

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あったかいスープをどうぞ

あったかいスープをどうぞ

娘が風邪で食欲がないとき、よくつくるスープがある。

咳やのどの痛みからか、いつもはもりもり食べる固形物をイヤイヤと受けつけないときでも、これだけはおかわりして何杯も食べてくれることが多いからだ。

つくり方はいたってシンプル。

かぼちゃ、にんじん、皮をむいたさつまいも、玉ねぎを同量くらいずつ適当にざくざくと切って、圧力鍋にほうりこみ、水と塩を入れて、フタをして火にかける。あとで調整できるので、

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娘の検査入院の日に考えたこと

娘の検査入院の日に考えたこと

たくさんの同意書に、次から次へとサインをした。

医師は、ていねいに説明をしてくれたと思う。

“ほとんどのひとにとっては問題なく安全にできる検査です。それでもごくまれに、次のような重篤な症状があらわれたり、命にかかわる事態になることがあります。”

その「起こりうる事態」についても、語句の下にアンダーラインを引きながら、ひとつひとつきちんと説明してくれた。医師という立場上、毎日多くの患者と接して

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ささやかすぎるけれど、一大事(娘のトイレデビュー記録)

ささやかすぎるけれど、一大事(娘のトイレデビュー記録)

今日はひたすら、娘のトイレデビューについて熱く語る。

いろいろダイレクトな表現で書くので、食事中の方や苦手な方はどうかスキップいただきたい。

* * *

月曜日、もうすぐ2歳になる娘が初めて、自宅のトイレに座って用を足すことに成功した。

ええ、いまさら?!と思われる方もいるかもしれないが、まあ時期は人それぞれ。ちなみに娘は、保育園の幼児専用便座では数ヵ月前から「ちゃんと座っておしっこできて

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おててつないで

おててつないで

寝室にはいると、娘をひざにちょこんと座らせ、絵本を読む。

娘の自由すぎるページめくりに翻弄されながら、ひとしきり読み終えたころ、「そろそろねんねしよっか。電気消していい?」と問う。

まだ読み足りないときは首を横にふるが、たいていは「う!」と言って自らわたしのひざをおり、自分の布団にぼふっ、とうつぶせになる。

そんな毎晩のルーティン。

* * *

そこからトントンしたり、子守唄をうたったり

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大変さと、矛盾した気持ちと。

大変さと、矛盾した気持ちと。

「あっ、そういえば今年は無気肺になったりもしてるので。心疾患の影響で、呼吸器系はかかりやすいみたいです」

「ああ、いろいろやってきたんですねえ……」

遠方で初めてかかった小児科医に、ねぎらいの混じった優しい苦笑いでそう言われて、ああ、そう言っていいんだ、よかった、と救われた気がした。

* * *

この手の話題はいつも気をつかう。

「うちの子にはこんな病気があって」とか、「毎日こんなケアが

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咳込みデイズ

咳込みデイズ

眠っては咳込んで起き、眠っては咳込んで起き。

疲れているのになかなか眠れず、ぐずりにぐずりまくっていた娘がようやくいま、すこし眠っている。

息をするたび、小さくてかわいらしいその鼻から、ずびびびっ、ずびびびっと、決してかわいらしくはない音がしてる。鼻がつまっているときって大人でも苦しいよね。わかる。わかるだけにつらい。

さっきまで不機嫌で何をしても大暴れ、抱っこしても「うあーん!」とのけぞっ

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正解なんてたぶんないのだろうけれど

正解なんてたぶんないのだろうけれど

何が正解なのかわからない。

熱こそないものの、たまに激しく咳き込む娘を連れて予定どおり飛行機に乗って帰省してよいものか。朝、ほんとうにぎりぎりまで夫と迷っていた。

高熱でぐったりしているならばさすがに迷わずキャンセルしたけれど、咳の発作以外はニコニコと普段どおり遊び回っているようすがまた、悩ましい。迷いに迷ったあげく、最終的には親の責任で「行くか!」と決めた。

そもそも今回の帰省は夫の出張に

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肩から力が抜けすぎているかもしれない

肩から力が抜けすぎているかもしれない

土曜は保育園のクリスマスお遊戯会だった。

娘が通う園は小規模なのだが、会自体は他の園と合同で、市の施設のホールを借りて行うため、むしろこれでもかと大規模であった。

サンタの衣装で来てくださいと言われていたから、100円ショップで適当にそろえたアイテムを着せていったら、会場についた途端、気合の入ったサンタコスプレのお子さまたちがたくさん歩いていて圧倒される。

うわぁ、みんな、すごい気合いだ……

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