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エッセイはとつぜんに

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つれづれなるままに、ひぐらし、ではないが、ときたまPCにむかひて。役には立ちませんが、何の変哲もない日常を楽しめるようにはなるかもね。
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2018年6月の記事一覧

1歳の娘におそわる、笑顔の効力

1歳の娘におそわる、笑顔の効力

1歳5ヵ月の娘が、くしゃっ!という笑顔をつくるようになった。

以前から、楽しいときに声をたてて笑ったり、自然に笑顔になる、ということはあった。でもそれはなかなか貴重なことで、必死にご機嫌をとってようやく見られる、という感じのものでもあった。

ところがどうして、最近は笑顔の大安売りである。

「◯◯ちゃんの〜、にっこり〜!が見てみたい〜!」とリズミカルに声をかけると、顔のパーツをくしゃしゃ!っと

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暑いと人は、考えごとができないようにできている

暑いと人は、考えごとができないようにできている

暑い。

ほんとうは他のことを書こうと思っていたのに、暑すぎてもはやこれしか書けない。

こちら、予報では今日の最高気温32度だという。

まだ6月だなんてわたしは信じない、信じないぞ。

* * *

暑くなると、考えごとができない。

これはわたしのなかでけっこう確信をもっている話で、noteをはじめたばかりのころ、こんなことを書いた(もう2年半前か…!なつかしい)。

このnoteにも書いて

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もしその日、健康ならば。

もしその日、健康ならば。

朝おきて、「まあちょっと眠いけれど普通の体調だな」と思えたのなら、もうそれだけで今日のあなたはラッキーだ。

おめでとう、もう1日の半分は成功していると思っていい。

普通の体調、というのは空気みたいなもので、失ったときにはじめてそのありがたみを痛感する。

そうして痛感したはずのありがたみは、普通の体調に戻るとまた忘れてゆく。

のどもとすぎれば熱さを忘れる、とはよくいったものだ。

* * *

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むすめの入院日記(3)/完

むすめの入院日記(3)/完

■6月20日(水)/入院5日目

母がつきそってくれたので、昨夜は夫とふたりだった。

1年ちょっと前に娘が生まれてから、夫婦だけで夜を明かすのは初めてのこと。リビングにいると、寝室で娘が寝ているんじゃないかと錯覚する。

なんだか落ち着かなくて、ふだんは見ないテレビをつけ、ものすごくひさびさにふたりで映画を見た。不思議な感じ。

映画で泣く。ストーリーで泣かされて、物理的に涙を出せたことで、現実

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むすめの入院日記(2)

むすめの入院日記(2)

■6月17日(日)/ 入院2日目

娘は朝までぐっすりと眠っていた。目が覚めても、まだぼうっとしている。

朝食、3割くらいしか食べず。ふだんは誰に見せても驚かれるほどもりもり食べる子なのだが、まだ食欲はあまりないらしい。

ちなみに、ごはんは前日のヒアリングで、離乳食完了期でオーダーしていたけれど、うまく伝わっていなかったらしく、幼児食が配膳されていたと後から知る。軟飯にしては固いなぁ、と思って

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むすめの入院日記(1)

むすめの入院日記(1)

今回はほんとうに、ただの日記だ。しかも長い。

ただ、小さい子を育児中の家庭であれば、どこの家庭でも「突然こんな1日が訪れるかもしれない」1日の記録なので、ひっそりとnoteに置いておこうと思う。こどもの続く発熱には、要注意。

だらだら長い日記だけれど、「自分の友だちの家の話」くらいの感覚で、だらだらお付き合いいただけたら。いつか同じようなことが起きた日に、ほんのすこしだけ、落ち着いて行動できる

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見える日常、見えない日常

見える日常、見えない日常

ふだん制服姿を見慣れているひとの私服姿に偶然でくわして、どきっ!としたことはないだろうか?

昨日の夕方、いつもお世話になっている病児デイケアに娘を迎えに行った。

特に症状に変化がなければわりとスムーズに帰れるのだが、その日はいろいろと先生から説明があり、帰りが遅くなった。

スタッフ用の出口を案内され、薬局で薬をうけとり、階段をおりる。

私服姿の彼女を見かけたのは、そのときだった。

* *

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「身近なおとな」が多様になったら

「身近なおとな」が多様になったら

ちょっとした夢がある。

夢というか、時折ふと妄想してしまう、憧れのイメージみたいなものだ。

簡単にいうとそれは「気ままスタイルの週末カフェ」である。

家族と一軒家に暮らして、自宅の一角をカフェスペースとして区切って独立させ、週末だけ、そのスペースをカフェとして開放する。

カフェといってもお客さんは来たり来なかったりだろうから、売上がなくても成り立つくらいのゆるすぎるカフェだ。飲み食いをする

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芋けんぴがとまらない

芋けんぴがとまらない

どうにも理解しがたい。

書きものをしていて、ちょっと甘いものつまみたいな、と思う。棚へ行ったらたまたま、未開封の芋けんぴを見つけた。あ、これちょっと食べよう。封をあける。

いつも食べ過ぎちゃって後悔するんだよな、じゃあ食べる分だけだそう、と皿にすこし盛る。封をとじる。

デスクへ戻る。書きものをつづける。

……気づいたら、袋にあんなにぎゅうぎゅうに入っていた芋けんぴは、残りわずかになっている

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愛しき、なんでもない日々よ

愛しき、なんでもない日々よ

朝起きると、1歳の娘がとなりにいない。

さてこんどはどこへ転がったのかと思って寝ぼけまなこで見渡してみたら、夫の布団の足もとのほうに、娘らしき綿毛布のかたまりを見つけた。

おや、きょうはそっちへ出かけたのね。

娘の寝相は実に自由で、日々の運勢占いみたいなもんである。

あっちへころころ、こっちへころころ。

夫の表現をかりるなら、「毎日パン粉まぶしてんのかってくらい転がる」のだ。

* * 

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誰かの評価のためじゃなく。

誰かの評価のためじゃなく。

20代ラストのころ、文章を書くことにいろいろな葛藤をかかえていた。

当時のわたしは、ライティングまわりのことを広く仕事としはじめて数年が経っていた。それぞれ期間は短いけれど、フリーペーパー編集部内でのライター、ベンチャー企業内でのライター、その後紆余曲折を経てフリーランスとなり、とりあえず毎日何かしら「書いて」はいた。

けれど、なんだかいつも、心のなかには空虚感があった。

毎日ぎりぎりの状態

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ひとの多面性にあこがれる

ひとの多面性にあこがれる

基本的に、雑多なほうが好きだ。

すこしくらいは整理整頓されていたほうが落ち着くのだけれど、あまりに理路整然とならんでいるのは落ち着かない。

たとえば、図書館などの本棚をイメージすると。

ぐちゃぐちゃと床に散らばっているのも落ち着かないけれど、かといって百科事典など、同じ表紙で同じ色やサイズのものがダダダダッ!と並んでいる棚もまた、わたしにはしっくりこないのである。

色とりどりの表紙が並び、

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気持ちが雨の日に思うこと

気持ちが雨の日に思うこと

雨である。

きのうは半袖でも汗ばむくらいの暑さだったのに、きょうは薄手の長袖をきていてもちょっと肌ざむい。

窓の外からは、ザーッ、ザーッ、と、地面の水をはじいて往来する車の音が続いている。

* * *

天気の影響もあってか、今日は自分の気持ちもちょっと雨である。

ちょっとした気持ちのすれちがいにもやもやしたり、言葉尻をとらえてギスギスしたり。ひとの気持ちというのはむずかしい。

あーあ。

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焼き鮭と肉じゃがと味噌汁。

焼き鮭と肉じゃがと味噌汁。

スマホのメモ帳にそう打ち込み、打ち込まれた字面をぼーっと見ながら、ああ、字面から受け取る印象ってあるなあ、とあたりまえのことを改めて思った。

焼き鮭と肉じゃがと味噌汁。

典型的な和食のイメージと、なんだかおふくろの味的ななつかしさと。男受けしそうなボリューム感がないかわりに、胃にもたれない、ちょっと重たいものはなぁというときでも安心して食べられそうなやさしい感じ。

白い紙に記された、ただの黒

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