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SIGMAのカメラと出会って11年

「カメラいいね、欲しくなってきた」

仕事で大分に住んでいた頃の話、友人達に会うために福岡に遊びに来ていた中、一人の友人がOLYMPUS PEN E-P1を買い、そのまま遊びに来た。

ノリと勢いというべきか、次の日キタムラに行き、SIGMA DP2を購入。

理由は「コンデジなのにセンサーが一眼レフサイズ」という知識だけ。それまでまともなカメラを手にしたことがなかった私にとってはSIGMAもOLYMPUSもNIKONもCANONも「カメラ的な分野で耳にするな」程度の知識であり、何が定番で、何が普通の選択なのか全く知らなかった。ましてやFoveonなんて言われても特殊性は分からない。女子大生にロータリーエンジンについて語っても通じないのと同じことだ。通じれば、その子は単なる頭文字D好きだ。

カメラはそこまで気合い入れる予定はなかった。
のでレンズを買えるとも思えず、コンパクト一択。
「SIGMAのコンパクトは異常だ」というぼんやりした知識だけでゴーした。もしかしたらコンデジを選んでも、PENに勝ちたいという対抗意識があったかもしれない。

初心者向けなんて知らない

カメラを初めて選ぶときは、使いやすさとかお手軽さとかあれこれで初心者向けを選びたくなる。
DP2を初心者に薦める人は稀有だと思う。というかもはや逆張りレベルである。

しかし、それは経験者の意見。経験者の意見は正しい事を伝えてくれる事が多いのだけれど、意外と知らない事や忘れている事がある。それは「初心者について」である。
初心者にあって、経験者にないもの、それは「初心者」。当たり前である。しかし重要である。

初心者に「こっちのはISO6400まで綺麗だからこっちのISO3200ギリのものより〜」とか「RAWソフトがこっちは重いし〜こっちはLrも対応してるし〜」とか「AFがこっちのが0.1秒も早いから〜」「連射が毎秒2枚速いから〜」とか言われても知らんがなです。
もし連射は1秒1枚が最強、カメラというのはそんなもんです。と言われたら、そういうもんだと思うもんだ初心者は。

そういう訳で、Foveon機を1番快適に、自由に扱える存在を挙げるとすれば、それは初心者ではなかろうか。

3年程使い込んだ

カメラを買う余裕は引き続き無い為、ずっとDP2だけ使い続けた。時にトイデジを買って遊んだりはするも、あれはまた別カテゴリだと思う。

Merrillが出ても買う余裕はなく、しばらくはDP2のまま。転職のタイミング、2013年冬頃に遂にDP1Merrillを購入した

圧倒感のMerrill

作例からドキドキした。何という写りなんだと。
我慢に我慢し、転職で予算に目処がたち、ようやく手にすることができた。
ボディは少し大きくなるもデザインが洗練されスマートになっており、電源ボタンがリング状に光るのも「おお、最新だ!」とか無駄に興奮した。

なおこのデザインのスマートさはこのあと更に磨かれていく訳だけど、今DP2を眺めると、メカメカしさを感じる。これがまた愛おしくもなる。

DP1Mはレンズについては甘いとも言われるが、気になったことは無い。個人的に。

広角の難しさを感じる

DP2だけで過ごしてきたため、広角レンズが難しいと感じ、楽しかった。
てっきり便利で何かと融通が利くものが広角だと思ってた。

しかしいざ撮ってみると、どうにも散漫な画になってまとまらない。
パースの勢いだけで乗り切りがち。とても勉強になった。

DP3購入

その後はかねてよりレンズが素晴らしいとの噂のDP3を購入。
いつだったかはあまり覚えてない。2015年くらいだろうか。

今度は逆に中望遠。こちらは寧ろしっくりきた。
モノの要素を厳選して切り取り、情報を絞る感覚。
もちろん広角同様難しく、また融通は利かないし手ブレもきついと、別の理由でも難しさを理解した。

DP1MとDP3Mの2台持ちで撮影に挑んだりもした。

この2台を持ち歩くというのは、自分の持つカメラで最高の組み合わせだと今でも思ってる。

そして初のレンズ交換式カメラへ

2016年12月、sd Quattro H購入。初のレンズ交換式カメラ、初のカメラ発売日予約購入。

もうこれでもかというくらいハマった。

撮影の気持ちよさ

これは過去に味わえなかった感覚。
グリップの安定感、がっしりとした重みとサイズ感、シャッターを切った際の「コトン」という感触、撮ったものがその場で喜びになる液晶の質…
「体験」という面で本当に楽しめた1台。

レンズは35mmArtでスタートし、すぐ85mnArtを購入。少し間を置いて20mmArtを購入し、長らく3本体制になってる。

サブカメラ兼動画用としてとうとうSIGMA機以外も手にしたので、オールドレンズなんかは増えていたため、比較的様々な画角は体験したものの、「増えても迷うだけだな」と思うようになり、メインとして見据えたSAマウントレンズは3本で止まった。

増やすと、優柔不断な私は20mmと35mmに悩んだ結果毎回28mmを使う、というような未来が目に見えてる。
3択は素晴らしいように感じる。

まだまだいろいろな画角を知るには私には経験値が足りない。

また、初のF1.4の恩恵で、自然と2段ほど暗所に強くなった。

Quattroになっても、ISOは100固定で使い続けている。

そしてfpへ

2019年10月、fp購入。こちらも予約発売日購入。
初めは大いに悩んだ。
価格面で躊躇したのが大きい。

しかしフルサイズFoveon機がLマウントで、そして(当時の話で)2020年中に出るとのことで、軸足がLマウントになる事は容易に想像ができた。

するとサブカメラにレンズが使えない。EマウントにもLマウントにも使えるレンズとすれば今後もSAマウントを買い続けるという事になるけど、ミラーレス専用レンズは無理。
しかしサブカメラがS1やライカ?これも無理な話。

つまりサブカメラにfpがあれば1番ベストだと判断。
動画撮影も行うことが出てきたので、丁度良い。

いつもかばんに入ってる

fpは1年間、ほぼ毎日かばんに入ってた。
ちょっとした散歩でサコッシュの時も、ちゃんと入る。
出張には欠かせない。
昼夜撮りたいキャンプにも欠かせない。

ティールアンドオレンジはかなり好きだけど、必要以上に使ってしまうきらいがあるので、控えめに使用。
ネットに上がる写真もfp写真がことごとくティールアンドオレンジになるのも考えものだなと。いろんな面をいろんな人に伝えるべきというちょっとした使命感。

45mmレンズは、そのサイズが重宝。
Artをひたすら使ってきた為、絞り開放で滲む感覚になかなか慣れない。ここが今回の楽しみポイント。

今までの理想の感覚と合わない時、新しい順感覚にチャレンジしてるんだなあと楽しくなる。

そしてふとあらためる

11年間SIGMAメインで使い続け、fpで異次元の便利さを感じてるものの、ちょっと「ラクしすぎ?」な気持ちも芽生えてきた。

これまでの10年間、私はISO100固定で、環境の明るさを常に感じ取り、場合によっては絞り開放で必死に光を取り入れる。そんな日々だった。

暗いけどチャレンジする。どうしてもブレるときはきっぱり写真は諦めてその場を楽しむことに集中する。

休日家にいる。天気がすごく良い。
たっぷりある光が貴重に思えてくる。絞りも自由。色もしっかり乗るだろう、散歩に出よう。

あ、自分のカメラライフは10年間、これで楽しんできたんだった、と気付かされる。
帰ってSPPで1枚1枚じっくり現像を楽しむ。
それも含め、数撮るというより、じっくりゆっくり撮るペースも出来上がってる。

いつでもどこでも撮れる高感度、高速AF、失敗を防ぐ高速連射、大量に素早くできる現像…
こういう写真ライフは、自分はやってこなかった。
(多くの人は、これが出来ない為シグマ機の評価を低くする)

fpはこれからもいつも手元にある側近として大活躍するだろうけど、「写真を撮ろう」と思ったとき、これからもDPやsdを積極的に持ち出したい。

そしていつからフルサイズFoveon機にその役目を担ってもらいたい。

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