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#7 〖一生懸命、生きなさい。。。〗

第7回目は、カメラマンの『香川 裕貴』さんから紹介いただいた『横田 裕久』さんにお話を伺いました!内容が盛り沢山過ぎてタイトルにものすごく葛藤しました。でも、このタイトルがとてもしっくりきています。自分のことを知り・自分を表現し・相手のこともしっかり受け止める。そういうことを、日々、一生懸命されている方にインタビューできて、とても刺激的でした!

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(本記事で使用しているお写真は、横田さんをご紹介くださった香川さんが撮影されたものです)


Q1.今、どのようなチャレンジをしていますか?

表現活動でいろんな方の可能性を引き出しながら、関わる人たちが豊かに・きちんと生活できる環境を創っていく。

自分で劇団を主宰させてもらっています。その劇団は、プロを目指すためのものではなくて、「プロ・アマ問わずいろんな方たちに表現活動を楽しんでいただける場所を提供しよう」というカタチでさせてもらっています。

役者さんというお仕事はなかなか稼げないと思っている方が多いんですけど、『表現を楽しむ』ということと、それ(表現を楽しむ)に興味を持ってもらって、公演時に『たくさんの方に来てもらえるという環境』を整えることができれば、表現活動というもので、いろんな方の可能性を引き出しながら、関わる人たちがそれぞれ豊かに・きちんと生活していけるもの(世の中)を、いまから創っていくことをしています。


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(オフトーク①:なぜ自分で劇団を立ち上げ?)

元々、ぼく自身はミュージカル俳優というお仕事をしていたんですが、プロとして演劇に携わる環境のなかでも、それだけではなかなか食べていけない現実がけっこうあった。

また、その劇団に入る(プロとして演劇に携わる)前から神戸のとあるカフェ&バーでお仕事をさせてもらいながら、そのお店でこの(現在主宰している)劇団の前身の団体を作っていた。お店発信の劇団みたいな感じです。その中で、毎公演けっこうたくさんのお客さまに来ていただいて、200-300人の会場を3~4回公演をしていて、計1千人弱くらいのお客様に足を運んでいただいていたというものがあって。

であれば自分で主宰して、自分の自由に、やりたいカタチを創っていくほうがいいのではないかと思って、(プロとして携わっていた)劇団をやめて、自分で主宰して活動しているという感じです。


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Q2.今チャレンジしていることがどのような未来をつくっていきますか?

もっと自分らしく生きることができる未来に。

劇団のコンセプトとして、『Spotlight one’s identity』というものを掲げています。表現活動を通してひとりひとりの存在を認めて、出演者だけではなく、会場に足を運んでくださるお客さまも含めて、それぞれの人たちの個性・人柄・人生にスポットライトを当てていくということをしています。

それ(いろんな人たちの個性・人柄・人生のスポットライト)をより多くの方たちに届けることができれば、みなさんの人生が豊かになっていくのかなと、特に心の部分が。そうなることで、もっと自分らしく生きることができる未来がくればいいなと、思っています。


(オフトーク②:HPの素敵な言葉は、横田さん自身で考えたのですか?)

劇団としては、(僕以外に)8人のスタッフがいて、そのスタッフたちとミーティングを重ねながら、劇団を立ち上げた時に「どんな風なことを打ち出していくか」っていうのをみんなで話し合って、それをまとめたものがホームページですね。

ミュージカルというものがちょっと敷居が高いモノだと思われていて、自分たちの活動を通してミュージカル(歌・ダンス・芝居がひとつになっているもの)が、みなさんにとってより身近なものになればいいなと思いますし、そうすることで自分自身が元々属していたミュージカル界が盛り上がれば、それはそれで還元できるのかなと。

初めて舞台に立つという人たちもたくさんいます。そういう人たちに、ただただ趣味でやるのではなくて、もう1歩先の自分を高めていくことも共にしていくことで、その人自身が表現活動をすることで、自分の日常の中でもっと活かされていくんじゃないのかなぁって。舞台をいろいろな人たちが身に来てくださることで、その人たちにとっても幅が広がっていったらいいなとも思っている。

自分自身で、脚本・演出をしているんですが、当て書きという形で、台本を先に作るのではなくて、それぞれ出演される方たちを見ながら、その人ができるだけナチュラルに舞台に立てるような配役をしたりとか、その作品を通してこの人がこんなメッセージを受け取ったらいいんじゃないのかなというのを、ぼくのほうで当てさせてもらって、舞台に立っていただくというカタチを取っています。

作品作りを通して、出演者たち自身にも何か発見がある。また、自分の知り合いが舞台に立っているのを見に来るお客さまには、いままで舞台を見たことがないという方もたくさんいるので、いままでミュージカルに触れてこなかった方たちに、ミュージカルに触れていただけるチャンスがたくさんあるのかなという意味では、自分たちがやろうとしていることはまだまだ未来が大きく広がっているのかなぁと思って活動をしています。


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Q3.二十歳に戻れたら、その未来に向かって何をしますか?

たぶん。自分が今している活動を20歳からできていたらいいんじゃないのかなと思いますね。

自分が本格的に動いたのは30歳過ぎてからだったので、若いに・早いに越したことはないなぁと。ただ、この10年間がなかったら気づけなかったこともたくさんある。でも20歳だったとしたら、こういう表現活動にもまだまだ可能性がいっぱいあるんだぞーということを、若い方たちにも伝えていけたらいいなと思います。


(オフトーク③:20歳くらいのメンバーはいる?そのメンバーによく話されるアドバイスは?)

いますよ。学生さんもいますし、大学に行かずにダンサーや役者さんを目指している人たちも中にはいたりします。ただ、その道ではなかなか目が出ないという方がすごく多い。(主宰劇団の中で)プロでやっているメンバーが指導するというカタチを整えているので、そういう環境の中でみなさんにはいろいろ刺激を受けながら活動をしていただいています。

「一生懸命、生きなさい」ということをよく言っています。特に表現をする中で、その人の生き様・人生が舞台にそのまま出てくるものだなと思っていて、スキルだけが高ければいい役者さんというわけではなくて、その人が良いことも・悪いことも、ちゃんと自分の中で味わった上で、いまその場にいることが大事なのかなと思っています。なので、若い子たちにもそういうことを伝えていますね。


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Q4.(ご紹介してくださる)素敵な人を教えてください。

自分に影響力がすごく強かった人が、自分が働いていたお店のオーナーなんですけれど。元々、カフェ、バー&ギャラリー エンタスという三宮の高架下にあるカフェバーで働かせてもらっていて、(ぼくを紹介くださった)香川さんとも出会ったのもそのお店なんですね。

そのお店が、「ご縁を足していく場所に」というコンセプトのもと、ただのお酒やお料理を提供する場所ではなくて、人と人をつないでその人たちから生まれてくるものが何かみたいなことを、イベントを仕掛けながらいろいろやっているお店です。

刺激的な方が集まる場所なので、オーナーの上田さんをご紹介できれば、もっと幅が広がるのかなと思っています。


(オフトーク④:ミュージカル・こどもという観点で考えていることは?)

幼稚園や保育園にお仕事として、表現遊びの講師として関わらせてもらったり、過去にはこどもミュージカルの演出をさせてもらったりしています。

表現・ミュージカルというもの自体、こどもたちの感性をひろげるのにすごくいいのかなとも思っているし、海外では当たり前のようにドラマ教育っていう授業が、国語算数理科社会演劇みたいな感じであるんです。でも、日本ってまったくそれがなくて、やっと最近ダンスがちょっと種類が増えてきたりとかです。

そういう意味でコミュニケーションの取り方を学ぶ部分で、“コミュ障“という言葉がちょっと前に出ていたけれど、そういうの(コミュ障)ってやっぱり、自分の自我が芽生えていくときに、自分を受け入れて相手を受け入れてってことが、なかなかできる環境が少なかったのかなぁと思ったりします。

演劇・演じるということ自体が、自分の思っていることを発信するということを、俳優さんを目指していなくても、小さいうちから関わるということに、すごく価値があることだなと思いますね。


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(オフトーク⑤:話す・自己表現しやすくなるポイントは?)

自分自身と向き合っているという方が少ないのかなと。

情報が溢れているので、ついつい自分を置いて周りと比べて、自分のできる・できないを判断したりしてしまったりする。そうすると余計に、自分はどうやってしゃべったらいいのかなと。自分のことがわかっていないから、自分のことを伝えられない、と思ったりする。

自分がやったりするワークショップとかは、自分を内省することが多いんですが、演劇を通してそういうこと(内省)をやってもらうことはできるのかなぁと思うし、まだまだ可能性があることだなと思いますね。

(劇団の中でも自己分析的なトレーニングを?)打ち出してやっているわけではないのですが、仕掛けづくりとして、作品の中だったり、ワークショップの中で、「自分自身と向き合う」というのはテーマとしてけっこう出てきますね。


(オフトーク⑥:東京・海外・オンラインという展開もある?)

劇団の活動の中で、これからオンラインに可能性を見出していこうと思っています。ぼく自身、コロナ自粛期間中に、全国の皆さんに対して、オンラインでミュージカルのワークショップをやろうということで、元劇団四季のみなさんたちといっしょにワークショップをやらせてもらいました。

通常の対面(ワークショップ)だったら、20-30名の方々にしか受けていただけないんですけど、今回オンラインにしたことで、500名近くの方が受講してくださって、場所と時間の制約がなければすごく可能性が広がるんだなと感じたので、これからやっていきたいなと思います。

(本来は)つながることができなかった人たちを、オンラインだと、つなげることができるんじゃないのかなとも思いますね。


(オフトーク⑦:少人数の劇団では衣装はどういう風に準備する?)

特別なものは自分たちで用意します。いろんなご縁の中で、服飾の専門学校に行っていた方に衣装を作ってもらったりとか、豪華なドレスを提供してくださる方に貸してもらったり、自分たちの“ツテ“を使って用意しています。

(少人数の劇団向け・学校の演劇部向けの衣装提供する企業はどう?)利用する価値は大いにあると思います。舞台関係者は、衣装さんをけっこう探していると思います。関西にもなかなか、自分たちのイメージに合う衣装を、見合うコストで、作ってくださる方は少ないです。そういうの(小規模向けの衣装提供サービスの確立)をいっしょに、夢を持ってやろうとしている方たちとお互いに成長していくみたいに考えている劇団とコラボレーションして、世の中に(そのサービスを)打ち出していくというのもありかもしれません。

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(インタビュー風景 左下が横田さん)

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横田さんインタビューありがとうございました!


インタビューを受けて、IG-FARMメンバーの感想です。

(ishihara)
中々食べていく仕事としては厳しい環境の劇団を、あえて、「表現活動を楽しむ場所」として主宰したのがまず凄いなと思いました。現代は人に合わせることが個性というか、自分らしさというものを出しづらいと感じることは多々あって、そこがもっと受け入れられる世の中になっていくと、横田さんが仰っていたように豊かになっていくんだろうなと。自己表現ってほんとに大切なことだと思っていて、ただそれをどこで養うかって難しくて、自分自身と向き合う時間とか表現方法とかを養いましょうってなったときに、ミュージカルなどが一つのキーポイントとなるなら、すごく良い事だなと思いました。

(fujinuma)
私は「アウトプット」と聞くと「話す・書く」というスキルしか浮かびませんでした。しかし、横田さんのお話を伺ったり、劇団のHPを拝見させていただくと、表現活動には無限のカタチがあることに改めて気づかされました。私自身を含めて、「自分自身をどう表現したらよいのか?」というのは、誰しもが一度は考えたことのある課題なのかなと思います。まずは横田さんや劇団の皆さんの表現を楽しむ姿をぜひ拝見してみたいなと思いました。そして個人的には、日本でも「ドラマ教育」を普及させることで、未来を担う子供たちの「感受性」や「思いやり」をより豊かなものしていきたいな、と感じました。

(yamaguchi)
私は自分を表現することが苦手で、中学生の頃の創作ダンスの授業などもなかなか乗り気になれなかったですが、自己表現はいつの時代でも大切なことだとは感じています。自己表現力を養うためのミュージカルと聞くと敷居が高く感じますが、幼稚園や保育園の表現遊びや、横田さんが見据えていらっしゃる未来は、ミュージカル等と比較すると少し敷居が低くなった気がします。僕のように自己表現に消極的な人に届くまでまだ時間がかかると思いますが、着実にこちら側へ進んでいる素晴らしい取り組みだと感じました。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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横田 裕久 (2020/7/6)


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