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スタッフの小論文で振り返る社内勉強会②|ポケマル大学 #4 上坂・中嶋・岡本・水口

今年の1月から新しく始まった一次産業に関する社内勉強会「ポケマル大学」ですが、さまざまな講師・ゲストをお迎えしながら6月までに全10回を終えました。そして、その学びを振り返るため、期末試験として小論文をスタッフに書いてもらいました。

今回は、その小論文を4回にわたって紹介していくコーナーの2回目です!ポケマル大学でスタッフがどんなことを学び、考えたのかを振り返りたいと思います。

全10回の講義の内容と小論文を紹介した前回のnoteはこちらから

「知る」ことの意義|上坂桃@事業開発

プロフィール写真_上坂桃

はじめに
ポケットマルシェに入社して、早8ヶ月。
1次産業と深く関わる企業に身を置き、生産と消費の現場に触れているのである程度は詳しくなったのでは、と少しでも思っていた自分を猛烈に反省したのが入社7ヶ月目。
きっかけは「ポケマル大学」でした。

知らないことで起こしていた負の循環
講義を通して、様々なゲスト(超専門家、スペシャルな方々!)がいらして語ってくださる話はもちろんのこと、概論で語られた農業・漁業の基礎的な知識も、知らないことばかりでした。
例えば農協・漁協について。歴史的背景を知らなければ気づけなかった、それぞれの時代に合わせた役割の変化や仕組みの変化、なぜその変化が起きたのか、起こせなかったのか。法律の制定がなぜ起きたのか、いつ、どのように変わったのか。日本と海外諸国の動きは?主張の違いは?世界の国々の中で日本がとっているスタンスは?なぜ?海外では広まっている認証が日本で広まらないのはなぜ?

特に驚いたのは、日本の漁獲量は世界のトレンドから大きく外れており、世界的に資源管理が推奨された時代において、実は日本の資源管理は適切ではなかったということ。
起きている事象を一面的にしか見れていないからこそ、認証の意味を正しく理解できていないため選択できなかったり、価格の正当性を理解できていないため噂や値段に振り回されたりと、自ら生産と消費の間の悪循環を促進していたことに気づかされました。

挑戦する人に優しくない社会構造
ほかにも、米農家・黒瀬さんのお話を伺った際、生計を立てるために新しい販路の開拓に挑戦しながらも、既存流通とのバランスや相談できる人がいなかったことが大変だったと聞きました。
林業分野で挑戦されている青木さんも、新しいことに挑戦するためには、既存の仕組みとの兼ね合いを考えながら動く必要があることを語ってくださいました。
ポイントは、旧が悪である、という話ではなく、それぞれの立場ごとに追い求める利害が大きく異なり、立場によって相手の見え方が180°変わるということ。さらに、相手を知る機会がないために、新しい挑戦の背景やその事象が理解できず、後押しするような環境が整いにくい構造が存在するというとこと。

ポケットマルシェが為すべきこと
「ポケマル大学」が面白かったのは、農業・漁業・林業の基礎知識と、各分野の最前線を走るエキスパートがゲストとして講義してくださったことです。
講義を通してわかったのは、業界は違えど、実はどこも近しい課題を抱えていました。

ということは、もしポケマルを通して1つでも新しい価値観を提供できたり、小さくても課題に対する解決方法を社会に提示できれば、それは1つの業界にとどまらず、広く社会に対してポジティブな影響を与えることができるのではないか、そう思うと奮い立ちました。

ゲストの皆さんも、それぞれの業界は明るい、とおっしゃっていました。
今まさに、1次産業は変化の時。
変えれば良くなるから、未来は明るい、と。

ポケットマルシェは5,600人以上の生産者と、33万人以上の消費者から声を拾える企業です。
今、それぞれの現場で何が起きているのかということに注意深く耳を傾け、立場に縛られない繋がりを広げる仕組みを醸成することで、今までにない価値を提供できるポテンシャルがあるのだと再確認させられました。これが、我々が追い求めるべき使命であり、果たすべき役割です。

最後に、当たり前のように思えて、実は狭い世界しかみえていない、という事に気付くきっかけを与えてくれた凜ちゃん、はるかちゃんに盛大なる拍手と深い感謝の念を送ります!
貴重な機会をありがとうございました!

生産者さんを見て感じた多様性|中嶋正弘@開発

プロフィール写真_中嶋

どの生産者さんの話を聞いても、ただ売るだけ/作るだけ、と考えている方はいなく、売る以外に体験を提供したり、自分たちや後進の生き方、働き方、自分たちが関わる環境を良くしていきたい、と工夫しているのが共通して見られる特徴だったと思います。

色々と厳しい現実を前に、自分が先だって変えていく方、中に入り込んで変えていく方、初めから現実をスルーして自分がやりたいようにやる方、とポケマル大学以外でも様々な方が見受けられます。

ポケマルの生産者さんに多い小規模ならではのフットワークの良さを生かしたり、大規模ならではの答えがあったり、また地理的な要因や、地域的な要因により、その答えが色々と変わるなど、それぞれの現実の課題に対する答えは一つではないのだなと改めて感じました。

地域独自の食材などは小規模の生産者さんが強く、効率化によるコスト削減などは大規模生産者さんが強い。個人的には伝統野菜が好みだけれども、安定して生産・流通させるにはそれだけでは難しく、小規模だけでは解決できないこと、大規模だと見逃したり、踏み潰してしまったりしてしまうこと、それぞれが出した答えだけでは不十分で、どちらか一方だけでは成り立たないのだと認識させられました。

ポケマルに入社したのは、自分が便利だと思える食のサービスを自分が参加して作っていきたい、という思いと、食を通してギスギスした日本を食を通して元気にしたい、という思いがきっかけでした。まずは小・中規模の生産者さんを中心に便利なプラットフォームを提供した上で、ポケマルを、食品を売るだけのプラットフォームではなく、消費者・生産者、という括りを超えて様々な体験を提供し、人と人を繋ぎ、心に豊かさをもたらす存在にみんなでしていきたいと思っています。

ポケマルのミッションである「個と個のつながり」は、一次産業に貢献できるのか?|岡本敏男@事業開発

プロフィール写真_岡本敏男

前期の授業を受けて、私はポケマルの存在意義について、改めて考えさせられた。果たして、ポケマルが掲げる「個と個をつなぐ」というミッションは、日本の一次産業のためになるのだろうか?今回は、その命題について、私なりに生産者の立場を想像して、考察してみたい。

確かに、「個と個をつなぐ」ことで、かえって生産者にとっての手間が増えるという側面はあるかもしれない。第7回の黒瀬さんの講義で、黒瀬さんが知り合いの農家に「産直ECやりたいんだけど、どこか良いところ知っている?」と聞かれ、ポケマルを含むいくつかの産直ECを案内したところ、その方はポケマルを選択されなかったそうだ。そして、その理由は「ポケマルは、ユーザーとのやり取りが面倒そうだから」。365日自然と向き合い、休みなく生産活動に従事する生産者にとって、ただでさえ、産直ECは個別梱包・配送手配の手間がかかるのに、それにユーザーとのメッセージ交換など、直接のやり取りまで入ってくるのは負担である、それが正直な声かもしれない。しかしながら、その「やり取り」が生み出す「無限の可能性」に、私はやはり賭けてみたい。

ここで視点を変えてみよう。「なぜ、個と個をつなぐのか?」それは、生産者が食材+αの価値、言い換えるなら「モノだけではない価値」を消費者にアピールする為、だ。「モノ余り」の現代社会において、いかに素晴らしい食材を生産・提供しても、それが「モノとしての価値」に留まっている限り、他のモノと品質・価格で比較され、評価されうる。そう、モノは比べられるのだ。しかし、食材ではない「生産者個人」はどうだろう?まさに、それは「世界に一つだけの花」、唯一無二の個人であり、原理的にそれは比較できないものだ。

比較できないからこそ、絶対的な価値を生む可能性がある。美味しいトマトは世の中に数多あれど、「●●●さんの作ったトマト」はその人にしか作れない。そして、「●●●さんの作ったトマト」に価値を与えるためには、「やり取り」が不可欠だ。

自分がどんな想いでその食材を作っているのか、それは他とどう違うのか、その品種にたどりつくまでにどんな紆余曲折・ストーリーがあったのか。ユーザーはそれを知ることで、感情移入する。そのトマトは物理的には何一つ変わっていなかったとしても、ユーザーが感じる価値(顧客提供価値)は大きく変化する。それこそ、「つながり」「コミュニケーション」が生む、底知れぬパワーだと思う。

私は、「個と個をつなぐ」ことで、その手間以上に大きな見返りを得られると考える。よって、これからもその価値を信じて、より多くの生産者・消費者にポケットマルシェというものを広めていくことで、一次産業に貢献したいと思う。

「生産者」と一言で言えない奥深さ|水口奈美@プロダクト

プロフィール写真_水口奈美

ポケマル大学で黒瀬さんから伺ったこんな一言がとても印象に残っています。

「作るより売る方に興味があって農業を始めた」

私の実家は代々農業を営んでいます。毎年お米を作る営みがあり、農業自体はとても身近でしたが、農政・流通についてなどまだまだ分からないことだらけ。それが私の農業に対して感じていることです。(農業がそのような状況なので、漁業・畜産のことはもっと知らないことだらけ)

ポケマル大学で、”一次産業”に深く関わるその道のプロの方々の話を沢山聞くことができましたし、知識も以前より増やすことができました。
でも、やっぱりまだまだ分からないことだらけだな、難しいなと感じます。
「それはなんでだろう」と考えた時に、冒頭の黒瀬さんの言葉が思い浮かびました。

黒瀬さんはお米などを、直販されている農家さん。
オンラインでお話をお伺いしたところ、定期購入のお客さんとつながる工夫を沢山されていたり、品目によっては新しく別のサイトを立ち上げたりと、作ったものを売ることを楽しんでいらっしゃるように感じました。

一方、私の実家の父は、作ることを楽しんで農業をしているよう。
先日採れた野菜・果物を送ってくれたのでお礼を伝えたら、「まだまだ、ベスト、と思える作物は出来ません」という言葉が返ってきました。

作ることも売ることも生産に関わる仕事としては必要。
どちらも重要だが、人によってやりたいことや性分が合っていることはきっと違う。
また、栽培方法・規模・生産場所・流通方法も本当に様々。
自然や社会との関わりも大きいから、そこに対してどんな価値を発揮していきたいかも、きっと人によって考え方や姿勢が様々だと思います。(ポケマル大学で漁師の野呂さんの話をお伺いした時にもこれは強く感じました)

仕事って、自分に合うやり方で、やりたいことが出来るともっとやりやすくなると思います。
例えば下記のような状態は窮屈だと思います。
自分で売るのが好きなのに、自分に合う販売方法が見つけられなくて売ることがうまくいかない
作りたいものがあって農業を始めたから今は作ることに専念したいけれど、収入などが安定せずに作りたいものにチャレンジできない

私はポケマルに入社する前に、キャリアコンサルタントを約3年間つとめていました。
その中で、一括採用で入社して定年まで勤め上げるという所謂普通の「正解」みたいな道は無くなってきていて、副業や複業・フリーランスなど色々な選択肢から働き方を選ぶようになってきていることを強く感じていました。

一方、選択肢が沢山あるのは一見していいことではありますが、選ぶのは大変なことでもありますし、自分に合った選択肢に出会うことも本当に難しいことだと感じていました。

そして今。生産者さんのいる世界にこのようにかかわらせてもらっていますが、生産者さんのいる世界の奥深さと多様性、選択肢の広さを感じています。

生産者さん一人一人に合う選択肢を一緒に考えられるほどの知識や経験が私にはまだまだ足りません。
もっとしっかりした知識や経験を自分自身身につけたいですし、生産者さんその人自身に合う選択肢を社会に提供していけるポケマルをつくっていきたいと思います。

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ポケマル大学とは?という方は、こちらをぜひご覧ください。


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