【事実】 きれいな買収はあり得ない Vol.1 【段取り通りに行かない】

合併協議: 段取りを組んだ時は完璧だと思ったのだが...


合併3ヶ月前、合併方法を決める会議。買収側のプロジェクト・マネージャーである私は「固定資産はこの方法で査定します。 在庫はこの方法で査定します。」と説明した。

買収側・売却側 双方のCFOの合意を取り付けた。 合併までの日程表の合意も取り付けた。

物事を予定通り進めるには段取りから。 段取りと日程を売却側・買収側双方で合意できたことで、私は安心していた。

...

しかしながら、実際の合併は、終了間際まで段取り通りに行かなかった。

この記事では、合併間際のドタバタを説明したい。


合併前夜19:00  在庫の数量確認

合併前日の夜7時。 売却側の査定結果を聞くため、買収側・売却側の双方 現場責任者が集合する。

売却側の工場責任者が言い放つ。 「まだ、査定中なんだ。 もうちょっと待ってくれないか。」

買収側のプロジェクト・マネージャーである私は「OK。 あと2時間くらい待とう」と返した。

...

合併前夜21:00  在庫の査定


2時間後。
売却側の経理責任者も駆けつけて、工場責任者と話し始めていた。

『数量が決まったので、値決めだな。』と思った買収側は、しばらく待つことにする。

...

合併前夜22:00-23:00  不安の幕開け

合併前日の夜10時。 そろそろ日付が変わるなと思っていると、売却側の経理責任者と工場責任者が揃って 話をしたいと言ってきた。

売却側「査定が出来ないんだ。 もう少し時間をくれないか?」

買収側「受け渡しは日付が変わるタイミングだから、あと1時間ですが?

売却側「査定が出来ないんだ。 どう査定すればいいのか?」

私「査定方法は3ヶ月前の会議で伝えたはずだが、なぜ査定が出来ないんだ? 売却側が売りたい物を査定方法にのっとり査定するだけでは?」

売却側 工場責任者「売るべき物が分からないんだ」

『ぉいぉい、今まで自社が扱っていた物だろう。 どれを売るべきか分からないなんて』 と思ったが、売却側の神経を逆なでしてはダメだ。売却させなければ、買収できないじゃないか。

買収側チーム・メンバーを招集し、緊急会議をする。 買収した物を何時間で処理出来るのか、確認する。

再び、売却側の経理責任者と工場責任者に話す。「明朝6:00、全員集合してくれ。」

【次に続く】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?