雑記「夢現チャンプルー」

 起きたら6時半、夢を見て、起きたら9時、夢を見て、起きたら11時半。あれが本当に夢だったのかどうかもはやわからない、いやそんなわけはないくらい長い夢。官能小説の内容にはなり得なさそうな、けれどそういう心の模様を描いた(読んだことがないから想像である)ような話だった気がする。思い出せる限り書き記す。

 誰かと体を重ねていた。あるいは、布団にひとり丸まっていた現だったか、隣の誰かと布団にくるまっている夢だったか。レストランのようなボックス席が並ぶ空間を右手に、大きなホールの左右に階段が広がっているお城の入口みたいな空間を正面にしていて、わたしたちがいたスペースはそのふたつより一段下がっているような場所だった。
 ボックス席にはたくさんの人がいて、同じサークルの人々の顔もあった。知り合いはみな興味津々にこちらを覗いているようであった。
 そのあと、何かがあって彼(これが正しいかわからないほど夢はおぼろに散っている)が左の階段を通って上に行った。

 場面が変わった。わたしはその一段下のスペースにいて、正面と右手には今度はテーブル席が広がっていた。正面のテーブル席のどこかに母がいて、周りには母と同年代くらいの人がたくさんいた。右手側のテーブル席にはわたしと同年代くらいの男性と女性がいて、楽しそうにわいわいしていた。知り合いの姿は見えなかった。
 わたしは、なかなか戻らない彼を追いかけようと右の階段から上に行った。そこからはさらに上に行けるようになっていて、けれどそこに階段はなく、壁を登るみたいに登っていって、降りるときは踊り場のようなところへ飛び降りるシステムになっていた。
 2階は広いホールのような、あるいは撮影スタジオのような場所だった。走って走って一周したけれど彼は見つからず、ただその代わり芸人さんのような著名な方たちがいた(気がする)。
 彼を探しにもうひとつ上へ行こうとしたところで後ろから呼び止められる。まったく違う名前だったのに「ああたぶんこの人はわたしの名前を覚え違えているんだ」と何故かわかって振り返る。「遊びは引き際が大事よ」みたいなことを言われる。どうやら遊んでいると思われているらしい。違う、これは本気だ。そして純愛だ。しかし純愛とはいったい何であろうか。

 再び場面が変わった。わたしは謎の仕組みの階段を飛び降りていた。雨が降っていて滑りやすく、登りきれずにスタート地点に戻る、そしてまた登るということを繰り返していた。諦めて最初のあの一段下のスペースに戻り、ここでようやく左の階段と右の階段がそれぞれ別の空間へ繋がっていることに気づく(あの一段下のスペースへは、左の階段から降りてきたのであり、そしてそのときの2階の空間は、右から行ったときとは違う空間であったという記憶が存在していた)。
 ああそうか、そうだったのか、どおりで出会えないはずだ。そうして、不思議な夢を見たと某SNSで呟こうとして、できず、一度ブラウザを閉じてスマホをそっと手放したところで目が覚めた。
 果たしてあれは、どこまでが夢であったのだろう。彼には、どこかでまた会えるだろうか。それとも、やはりもう会えないのだろうか。会ったら思い出せるのだろうか。わからない、わからない。果たして今生きていると思っているこの世界は現であろうか。わたしが、夢だったらいいと思っているのか現だったらいいと思っているのか、それすらもはやわからない。ごちゃまぜに夢と現を混ぜ合わせてどこまで行けるかな。これ以上どこへも行けなくても、どうにか、なるだろうか。わからない、わからない。でも今はただ静かに「おやすみ」。

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