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悪口より良い口  (54)

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『バカアホマヌケお前の母ちゃんリーベロ』

人のことを悪く言ってはいけない、これは当たり前で子供の頃に教わることだ。バカアホマヌケはもちろんのこと、人様の母親に対してリベロ(自由にうごきまわり、守備と攻撃の両方に参加するタイプのディフェンダー)などと言うのは、いけないことなのである。悪意があるかないかではない、悪意のこもった言葉があると認識することが大事である。言葉は歴史であり、自分が生まれる前からあるものだ。だからこそ人間一人が扱うには手に余る、言葉にはそういう力があるのだ。

あまり言うのは格好悪いのだが、今表現者達は皆もの凄い気を遣っているように思う。言葉一つ間違ってはいけない、そういう見えない圧力みたいなものを常に感じながら表現しているのだ。それを生業にしているのだから当たり前ではあるが、息苦しさを感じてる人もいるのではなかろうか。しかし、裏腹に表現者以外の方は自由だ。居酒屋(今はあまり行けないだろうが)はもちろんネットの世界などでは匿名で、言葉の海を謳歌している。それはそれで良いのではあるが、筆者などはなんとなくズルいなぁ〜と感じてしまう。いや、別に良いのだけれど。

サンデーモーニングという番組で張本さんが不適切な発言をしたとして謝罪をしていた。張本さんが言った不適切な発言については本当に面白いくらい不適切なので触れないことにするが、何も今更謝らなくてもと思ってしまうのは、筆者が不適切な人間性をもっているからかもしれない。大体81歳のお爺さんが何を言ったってしょうがないと思ってしまう。そもそもサンデーモーニングなる番組のあのコーナーは、80歳のお爺さんが適当なこと言って”喝”だ”あっぱれ”だと楽しんでるのを見るものである。爺さんの考えなんて今更変わらないし、”あぁあの爺さんまたあんなこと言ってるよ”で済ませれば良いのだ。”そうじゃない!言われた人の気持ちになって考えてみろ!”と言われても言われた人の気持ちになれないし、そもそも大きく騒ぎ立てなければ言われた人には届かないはずなのだ。

悪意ある言葉や不適切な言葉は人を傷つけるものだ。見聞きしなけりゃそれで良いが届いた時には気持ちが悪くなる。なるべく見聞きしないような環境が一番なのであるが、そうはいかないのが世の中である。毎日疲れてふと悪態をつきたくなることもあるだろう、しかし悪意ある言葉は自分に向かって返ってくるものだ。自分の周りの友人やSNSが悪口で埋まらないよう、なるべく良い言葉を意識して使うことをお勧めしたい。

『綺麗素敵可愛いお前の母ちゃん不〜二子』

この連載は±3落語会事務局のウェブサイトにて掲載されているものです。 https://pm3rakugo.jimdofree.com