妊婦でもお薬は飲める?妊娠と薬の関係を解説
「妊娠中はお薬を飲めないよね……」
「いつなら妊婦でもお薬を飲めるんだろう?」
そんな疑問はありませんか。
妊娠中に薬を飲むと胎児に影響してしまうのではないかと不安になりますよね。
薬を処方されたとしても、あまり服用したくないのも事実。
この記事は薬剤師の視点から妊娠中の薬について解説します。
妊娠と薬の関係を知って、我慢しないマタニティライフを送りましょう。
妊娠時期と薬の関係
薬にもよりますが、実は妊娠時期によって飲んでもよい薬はあります。
ただし、胎児の器官を作る時期にあたる妊娠初期である4週〜7週は注意が必要です。[1]
薬の服用は妊娠時期によって変わる
胎児に対する薬の影響を考えると、薬の服用は控えた方がよいと考える人が多くいます。
しかし、便秘や頭痛など薬を飲んで症状を改善したい場合も。
薬の影響は妊娠時期と関与。
妊娠の週によっては服用できる薬もあります。
妊娠の週ごとに見ていきましょう。
4週未満
まだ胎児の器官が作られていない時期なので、薬を服用したことによる奇形はないと考えられます。
「妊娠がわかる前に、薬を飲んでしまったけど大丈夫かな!?」と思う方もいますが、無事妊娠の状態が続いているようであれば大丈夫です。
しかし、薬によっては母体に長く残るものもあり注意が必要。
代表的なものとして、角化症治療薬や抗リウマチ剤などがあります。
薬の服用や使用が必要な場合は、前もって医師や薬剤師に妊婦であること、または妊娠を希望していることを伝えましょう。
4週目から7週目
このあたりで、本人も妊娠していることに気付きます。
妊娠4週目から7週目の期間では、胎児の器官形成時期なので、奇形に対しての過敏性が高まります。
「絶対過敏期」とも言われ、薬の服用に関しては最大の注意が必要です。
市販の薬であっても、しっかり添付文書に目を通すようにしましょう。
8週目から15週目
ある程度、胎児の重要な器官の形成は終わっています。
しかし一部の細胞では分化が続いているので、薬による奇形を起こす心配がなくなるわけではありません。
16週目以降
胎児の器官はほとんど形成され、薬による奇形を起こすことはほとんどありません。
しかし多くの薬剤が胎盤を通過するため、薬による胎児への影響に注意が必要です。
薬によって胎児へ機能障害を引き起こす可能性があります。
授乳中
赤ちゃんが産まれ、授乳するようになってもまだ注意する必要があります。
母乳中に移行する薬もあるので、医師や薬剤師に授乳中であることをきちんと伝えましょう。
妊娠と薬を添付文書から考える
医薬品に添付されている薬の説明書を「添付文書」と呼びます。
薬剤師であれば目にする機会も多いですが、一般的にはあまり見ることはありません。
薬の効能効果だけでなく、どのように効果があるのかを示す研究結果なども記載しています。
添付文書には、妊産婦や授乳婦への投与に関しても言及している箇所があります。
薬の妊婦への影響によって6段階に分けられています。[2]
投与しないこと(不可)
投与を避けること(回避)
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(有益のみ)
減量または休薬すること
大量投与を避けること
長期投与を避けること
「有益のみ」というのは、妊娠中の投与に関する安全性は確立していないが、治療上どうしても必要であるならば、投薬ができるということです。
薬によって妊婦や授乳婦への影響は異なります。
必ず医師や薬剤師に確認してから服用するようにしましょう。
妊婦は必要に応じて薬を服用が可能
妊娠と薬の関係について解説しました。
妊娠の週によっては、薬を服用することも可能です。
頭痛や便秘などあれば我慢せずに医師に伝えましょう。
また、薬を飲んではいけない「絶対過敏期」は妊娠4週目から7週目です。
人によっては、治療により薬の服用が必要な人もいるでしょう。
その場合は、かかりつけ医としっかり相談して薬に関して考慮することが必要です。
マタニティライフをよいものとするために、妊婦と薬の関係を知るようにしましょう。
【参考】
[2]妊娠・授乳と薬