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Amazonプライムビデオお薦め 35 『おおかみこどもの雨と雪』

細田守監督の最新作『竜とそばかすの姫』を映画館で見てきました。これまでの集大成にしてさらに新たな試みにもチャレンジしているという点で、最高傑作であり、記念碑的作品として残るものになるでしょう。いずれAmazon Prime Videoで見られるようになることを期待しています。

さて、今回紹介する映画は個人的には『竜とそばかすの姫』以前の細田監督作品の中では最高作と考えている『おおかみこどもの雨と雪』です。なお、系譜的には『竜とそばかすの姫』は『サマーウォーズ』に重なるので(そしてもちろんこれも傑作です)そちらも下に貼っておきます。

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「アニメで人間をいかに描くか」これが細田監督の一連の作品に通底するテーマかと個人的には考えています。アニメは言ってしまえば「絵」であり、アニメに登場する人物は基本的に「キャラクター」です。人間という複雑な存在をキャラクターという単純化したもので表現することには限界というか無理があります。しかし同時に、限界があるからこそ見えてくるものもあります。

『おおかみこどもの雨と雪』の場合は、「おおかみ」「人間」「こども」という3項をうまく使うことで、その限界に挑んでいると個人的には考えます。この作品は「おおかみこども」の長女である「雪」が過去を回想して語るという体(てい)になっていますが、映画自体は人間である母親の「花」の大学時代から、一応の子育て終了までを追う形となっています。「花」は人間で、基本的にはその「花」という人間を描いているのがこの作品です。そしてその「花」の人間性は、「おおかみ人間」である恋人(夫)と、おおかみこどもである「雪」と「雨」というアニメならではのキャラクター性をもった存在との対比により、浮き出されてきます。そしてその「浮き出し」の手法は、今度は思春期を迎えた「雪」と「雨」の内部にある「人間」と「おおかみ」の二面性の対比へとも引き継がれます。この二人は最終的にはそれぞれの選択をするのですが、もはやオオカミと人間のどちらを選んでも、それは「キャラクター」を選択する、ということではなくなってきます。なぜならそこには葛藤というものが存在するからです。「キャラクター」であるアニメの登場人物が、自身の持つ「キャラクター」性故に葛藤すること、そしてその葛藤を描くことで逆に「人間」というものを浮き出させること、それがこの映画で使わている手法かと思います。そしてそれはアニメだからこそできる人間の描き方の一つでしょう。

と、今回はちょっと理屈っぽい話になりましたが、とにかくこの作品、感動作、泣ける作品としても超お勧めです。是非ご覧ください!

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