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アマゾンプライムお薦めビデオ③ 140:塚本晋也監督作品かと思って観てみたら清水祟監督作品だった。でもそれでも良かった!『稀人(まれびと)』
ビデオ版の『呪怨』『呪怨2』を見た時の衝撃は今でも忘れられない。いわゆる「Jホラー」という言葉が世に出てきた時であったが、「Jホラー」とは一言で言えば、「ショック」ではなく、むしろ「不穏さ」を描くジャンルのホラーである。ある意味では「ショック」のほうが、映像化は簡単である。そうではなく「不穏さ」をいかに映像化するか、それが「Jホラー」と呼ばれた作品群が挑戦したことであった。そしてその第一人者が当時はまだまだ若手の清水祟監督であった。 この作品はその『呪怨』の映画版2作を大成
アマゾンプライムお薦めビデオ③ 139:とにかくぶっ飛んでいる。というかぶっ飛びたかったらこれを観ろ!『ヘルドライバー』
個人的な話になるがここ数日のどの痛みがひどく、しかし検査をしてもコロナでもインフルエンザでもなく、熱もない。ただ、薬を処方してもらったので、それを飲んではボーとしてしまう(薬が強かったからだろう)、という日々が続いていた。ここは一発元気の出るバカ映画(いい意味で!)を!と思い観てみたのが以前から気にはなっていた『ヘルドライバー』であった。そしてそれは正解であった。 まあ、残酷表現はあり、裸もありで、人にはお勧めできないが(といいながらしっかりお薦めしているが)、とにかくこの
62. ジャッキー・マクリーン、この人が参加していれば間違いない!:ソロ名義でのアルバム『Jackie's Bag』(1960)『Demon's Dance』(1970)及び、リー・モーガンの傑作アルバム『Charisma』(1969)
今回は久々に正統派ジャズのアルバムを何枚か紹介したい。「正統派ジャズ」といっても何が「正統派」なのかは人によってそれぞれだが、名サックスプレーヤーであるジャッキー・マクリーンが参加している一連の作品は、そのすべてが私にとっては「正統派ジャズ」である。よく人に「ジャズって難しいんでしょ?」とか「何がお薦めなの?何から聴けばいいの?」と聞かれるが、その度に「演奏メンバーの中にジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)という名前が入っていたら、外れはないよ」と答えることに
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SF名作を読もう!(22)「人間とは何か」を考えざるを得ないフィリップ・K・ディックの力作!『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
さて、今回紹介するSF名作はこちら!一応映画『ブレードランナー』の「原作」ということになっている、フィリップ・K・ディックの名作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』です。 「一応「原作」」という言い方をしたのは、映画はあくまでこの小説の設定の一部を借りているだけで、中身は別物だからです。そして映画ももちろんいいですが、こちらの小説もまたいい。ここで述べられているテーマを一言でいうと、「人間とは何か」です(そのテーマ自体は映画も受け継いでいますが)。そしてその答えも一言で言
アマゾンプライムお薦めビデオ③ 138:ある意味日本映画史に残る(というか残すべき)最高傑作なのでは!クラシックにしてモダンにしてポストモダン!『銀座カンカン娘』
個人的には『ちゅらさん』『カーネーション』『あまちゃん』に並ぶNHK朝ドラの傑作であった『ブギウギ』であるが(しかし、全話しっかりと見ていたわけではないので、このドラマについては改めて見直してから書くこととしたい)、その影響もあってのことだろう、笠置シズ子氏が出演している映画『銀座カンカン娘』もアマゾンプライムビデオで公開されている。 映画に音が付いたとき、即ち「トーキー」となったとき、誰もが思い浮かべるのは、音楽、歌との組み合わせだろう。その意味で天才歌手笠置シズ子氏は映
61. 和製フレンチテクノポップ、あるいは早すぎた渋谷系は秋元康プロデュースだった:早瀬優香子のベストアルバム『Yew we’re SINGLES+8』
先日、「フレンチポップ×テクノ=お洒落:『Mikado forever』」というタイトルでフレンチテクノポップグループ「Mikado」のベストアルバムを紹介したところ、私の記事としてはまずますの「いいね」をいただいた。で、この雰囲気、日本でも似たようなものがあったな、と思い出したのが、早瀬優香子氏のスマッシュヒットシングル「サルトルで眠れない」(1986年)であった。それが収録されているのは同年発売の彼女のアルバム『躁鬱 SO・UTSU』であるが、今回は彼女の軌跡を紹介すると
アマゾンプライムお薦めビデオ③ 138 :ヤバい!私が『みぽりん』に浮かれている間に松本大樹監督は次のステージに進んでいた。映画『極道系Vチューバー達磨』
「ヤバい」、というかこの作品を観ずしてファンを名乗り、イベントにまで足を運んでいた自分が今となっては恥ずかしい。 かつてこのマガジンで絶賛した『みぽりん』の松本大樹監督のおそらく現時点での最新作が今回紹介する『極道系Vチューバー達磨』である。 まあ、言い訳にはなるが、未見だったと言っても仕方がないであろう。松本監督はいわゆるインディ系の監督で、その作品がいわゆるシネコンでかかるような監督ではないからである。しかし、『みぽりん』もそうだが、それを平気でプライムビデオのライン
アマゾンプライムお薦めビデオ③ 136 :過去を語り得てはいるが現在を語り得てはいない。しかし、これがむしろ今の時代のドキュメンタリーなのかも。『日の丸 寺山修司40年目の挑発』
今回紹介するアマゾンプライムビデオはこちら。TBS制作のドキュメンタリー『日の丸 寺山修司40年目の挑発』です。 この作品、決して悪くはないです。だからこそ紹介するのですが、しかし、今一つ納得できないというか、「うーん」と思う面もあります。でも、だからこそのドキュメンタリーでもあります。ドキュメンタリーというものは言ってみれば社会への挑発であり、それに対して反発や不満を抱かせてなんぼ、という世界でもあるからです。 TBSは近年ドキュメンタリー制作にも力を入れており、このマ