【レビュー】純正ティルトシフトの逆襲 GF30mmF5.6 T/SをGFX 50Sで使う
はじめに
GF30mmF5.6 T/Sは2023年12月に発売された富士フィルムGマウント用のティルトシフトレンズです。
詳しくは公式ページや動画をご覧ください。
今回の記事では、本レンズを借りられる機会があったため、使用感のほか、絞った際やシフトによる描写の変化について紹介いたします。
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使用感
EFのティルトシフトレンズに慣れている方なら同じような感覚で扱えると思いました。
全体のサイズが大きいぶん、ノブも大きく使いやすかったです。
また、もちろんレボルビング機構もありました。
(TS-E24mm F3.5L Ⅱのレビューはこちら)。
最も感動したのは三脚座で、シフトステッチがやりやすいようにとレンズのシフト機構より前に付いています。
こうした機能があるのはLAOWAのシフトレンズくらいで、TS-Eなどでは大仰な社外アクセサリーが必要になります。純正で始めから付いてくるのがうれしい。
また、何と言っても、巨大なイメージサークルと、それによってもたらされる豊富な周辺光量および周辺画質は(焦点距離の違いを考慮しても)、TS-E24mmよりも明らかに優れています。
また、ティルト量は同じですがシフト量は本レンズのほうが3mm大きいです。
始めはTS-E24mmに慣れていたためか、30mmという焦点距離とF5.6というスペックは物足りなくも感じましたが、撮影した写真を見てその解像力に驚きました。
以下に本レンズをGFX 50Sに装着して撮影した写真を掲載するので、画質の参考にしていただければ幸いです。
※展望台から撮影したため、ガラスを挟んでおり多少の画質劣化があります。その点を差し引いてご覧ください
絞り毎の描写の変化
絞りを段階的に絞った際の描写について、中心部と右下部を等倍に拡大した画像とともに以下に示します。
ボディはGFX 50S、シフトなし、ISO100、カラーモードはスタンダードで、補正などは特にしていません。
F5.6(開放)
今となっては月並みな謳い文句ですが、開放から高い解像力を発揮しており、周辺減光も僅かです。
TS-E24mmのF5.6と比較しても良好に思います。
F8
F8まで絞ることで周辺減光がほぼ解消されました。
F11
F16
F11~F16あたりが最高の画質に思います。
F22
F22で回折の影響が出始めたように思います。
F32
F32まで絞ると回折の影響が顕著になりました。
開放付近でも画面全域で高い解像力を発揮しており、シフトなしの状態であれば周辺減光が解消するF8以上には絞る必要性を感じないほどでした。
最大シフト時の描写
先述のように、本レンズは±15mmのシフトが可能です。
GFXにレンズを装着し、下方向にシフトさせた際の写真を右下部を等倍に拡大した写真とともに以下に示します。
ボディはGFX 50S、F16、ISO100、カラーモードはスタンダードで、補正などは特にしていません。
-5.0mm
シフトなしと比較しても遜色ない描写だと思います。
-10mm
まだまだ余裕が感じられます。
-15mm
分かりづらいので、左下部の写真を以下に示します。
-15mmフルシフトにも関わらず、超広角レンズでよくある像の流れが殆どありません。
一体どれほどのイメージサークルがあれば、このような写りになるのでしょうか。
体感ではPENTAX67レンズと同じか、それ以上に感じます。
繰り返しですが、これでもガラスを挟んでの描写です。
凄まじいレンズです。
おわりに
今回は、富士フィルムGマウント用のティルトシフトレンズである「GF30mmF5.6 T/S」の使用感のほか、絞った際やシフトによる描写の変化について紹介いたしました。
GFXの登場からはや6年以上が経ち、満を持して登場した本レンズ。
希望小売価格は70万円近くと高額ですが、それに見合った光学性能を見せてくれました。
長らくキヤノンのTS-Eレンズに取って代わられていたGFXでのティルトシフト撮影ですが、私の環境ではTS-E24mmはフルシフトで鏡筒ケラれのようなものが発生していたため、やはりGFマウントとして純正が使えるのは大きいです。
高額ですが、用途にぴたりと合えばこれ以上ない選択肢になると感じました。
(おしまい)
手軽にティルトシフトレンズを楽しみたい場合は、中古のTS-E(キヤノン)、PC-E(ニコン)のほか、マウントアダプターを使用するのも手です。
また、最近は海外メーカーからもティルトシフトレンズが出始めました。
手頃な価格で幅広い選択肢があり魅力的です。参考になれば幸いです。
↑一番新しいレンズ