今シーズンのNFLで導入される注目の新サービス 〜後編〜
こんにちは、PLMキャリア の保坂です。
前回の記事では、全米ナンバー１の人気スポーツ”NFL"における注目の新サービスとして、NFL＋の事例をご紹介しました。
今回の記事はその後編として、昨今話題となっているNFTと試合チケットのコラボレーションについて、注目したい事例をご紹させていただきます。
"Dapper Labs"と”Ticket Master”のパートナーシップ
近年様々な業界で急激に注目を浴びているNFTですが、その流れはスポーツ界にも大きな影響を与えています。NBAとDapper Labsが展開するデジタル・コレクタブルサービス”NBA Top Shot“の売上が10億ドルを記録したことが話題になるなど、各種スポーツリーグが次々にNFTに関連したサービスの導入を進めています。かくいう弊社PLMでも、昨年からプロ野球ファンに向けてNFTサービスを展開しています。 そうした流れの中、今シーズンのNFLにおいても注目したいのが、NFTビジネスを牽引する"Dapper Labs"と、アメリカの総合チケッティングサービス”Ticket Master”のパートナーシップです。
この２社のパートナーシップは、イベント興行者向けにチケットをNFT化することができるプラットフォームをローンチさせるというもので、NFT化されたチケットを保有するユーザーは、VIP体験ができたり、限定イベントなどにも参加できるというサービスが展開される予定です。
この２社によるパートナーシップはNFLのシーズン開幕直前である8月末に発表されており、今シーズンのNFLでは100試合以上を対象に、来場者へ限定NFTを配布するということも発表されています。 チケットのNFT化は特段新しいサービスではなく、既に昨シーズンのスーパーボウルで記念チケットのNFTを来場者に提供するというサービスを展開していましたが、今シーズンからそのサービスをより本格化させていくようです。
試合チケットとNFTのコラボレーションによる新しいファン体験の創出
NFLはアメリカで絶大な人気を誇りますが、試合数がとても少なく、各チームが基本的に週に１試合しか行いません。9月から始まり2月のスーパーボウルをもってシーズンが終了しますが、１チームがレギュラーシーズンで行う試合はわずか16試合と、MLBの試合数に比べて10分の１程度しか実施されず、そのため、チケットはプレミア化し、優勝決定戦であるスーパーボウルに至っては、最安席でも数十万円の値がつくことも珍しくありません。 アメリカのスポーツではあらゆる部分でデジタル化が進んでおり、チケットに関してもデジタルチケットが主流になっていますが、記念試合のチケットを保有するという文化はまだまだ深く根付いており、試合の実券をコレクションしたいというファンも多くいます。実際、NFLでもシーズンシートオーナーに向けてその年のシーズンチケットを豪華な箱に入れて贈っているチームもあります。
昨年度の王者であるLos Angels Ramsでは、今シーズンのシーズンシートオーナーに向けて、昨シーズンのスーパーボウルの開催地でもあり、自らがその地で優勝を果たしたSoFi Stadiumで実際に使用されていた芝を同封するというサービスを行っています。
個人的には、実物をコレクションするという文化自体は今後も続いていくと思いますが、このパートナーシップは、そういったファンに対して「デジタルでもその価値や所有権を証明できるものをコレクションする」という新たなファン文化を創出するきっかけになる可能性もあると考えています。現状としてはNFT自体がまだまだ一般レベルで浸透しているとは言えず、日本でもアメリカでも「なんか最近注目されているよね」という程度の認識の方が多い様子ですが、NFLの影響力を活用してNFT自体の知名度と親近感が一気に世に広まっていくことも考えられるため、注目したい取り組みだと考えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
既に述べたように、試合数の多くないNFLでは、シーズン中の１試合ごとの重要度が極めて高く、毎試合負けられない戦いが続きます。名実ともに米国ナンバーワンの人気を誇り、規模も影響力もまさに桁違いですので、必ずしも日本のスポーツビジネスに直接応用できる事例が多いわけではないかもしれません。それでもNFLから始まったビジネススキームやテクノロジーが他のスポーツリーグに渡り、巡り巡って日本のスポーツ市場にも導入される事例もあるため、今後も気になったトピックがあればご紹介していきたいと思います。
NFLはファン目線で最高に楽しめるコンテンツであることは間違いないですが、”ビジネス”という面からも観てみると、また違った面白さが発見できるのではないかと思います。
最後に、PLMがパートナーシップを結んでいるUMassアマースト校との取り組みの一環で、NFLで実際に働いている方に実施したインタビュー記事もございますので、よろしければ、ぜひそちらもご覧ください。
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