見出し画像

【目指せソムリエ#12】月の港、ボルドー

はじめに


プレ・ソムリエの皆さん、こんにちは!今回はソムリエ試験の勉強において最も暗記に苦労すると言われている難所、ボルドー地方です。

フランスに住むのなら個人的にボルドーは超おすすめ!私も会社を企業勤めを辞めて会社を設立する前に1年ちょっとボルドーに住んでいたことがあるのですが、都会過ぎないけど程よく栄えていて、人も親切で(英語も通じる)とても住みやすい街でした。ワイナリーにもすぐ繰り出せるし、昼から飲めるワインバーも街中にたくさんあります♪

ボルドーの概要


ボルドー地方は、フランス南西部の大西洋沿いに広がるワイン産地です。ワイン産地としてのボルドー地方は、フランスの行政範囲に置き換えるとジロンド県とほぼ重なります。その中心に、人口25万人のボルドー市があります。


栽培面積は11.4万ha、ワイン生産量は488万hℓ8割以上が赤ワインを生産しています。また、この地方のワイナリーはシャトー(城)と呼ばれます。

Château Pichon-Longueville


大半が赤ワインですが甘口白ワインも有名で、近年は辛口白ワインやロゼワインも増えています。

ボルドーには、ボルドー大学醸造学部という、ブドウ栽培学、ワイン醸造学のシンクタンクがあります。私はフランスに行ったばかりの頃はボルドー大学の附属の語学学校に通っていました♪

ボルドー地方はガロンヌ川やジロンド川から大西洋に通じているため、海運業が盛んでフォードやミシュランなどの自動車産業の工場や、航空機の製造工場もあります。また、ルネサンス期の哲学者モンテーニュ、啓蒙思想家のモンテスキューの出身地でもあります。

ボルドー・ワインの取引は、伝統的にネゴシアンと呼ばれるワイン商によって行われ、シャトーが直接小売業者と取引をすることはあまりありません。ネゴシアンを介したボルドー・ワインの取引は全体の7割におよび、輸出の8割を占めています。

ボルドーは、北緯45度に位置していて、大西洋を流れるメキシコ湾流(暖流)の影響で、緯度の割には温暖な海洋性気候なので、ブドウの生育期は晴天に恵まれています。大西洋とブドウ畑の間には、ランドの森(松林)があり、強い海風からブドウ畑を守っています。年間日照時間は2,000時間を超えますが、年平均降雨量は900mmと比較的多く、灰色カビ病のリスクがありますが、一部の地域ではブドウの貴腐化を促しています。

ボルドーの歴史


ボルドーには紀元1世紀の中頃から、古代ローマ人によってブドウ栽培が持ち込まれました。1154年にボルドーはイギリス領になりましたが、ボルドー産ワインはイギリスで販売され繁栄を迎える (1453年、百年戦争でイギリスから奪還、取引量落ち込む)事となります。17世紀になると、オランダやドイツとの交易が発展し、再び繁栄し、クラレットと呼ばれる赤ワイン、辛口甘口の白ワインが蒸留用として輸出されました。

1855年にパリ万国博覧会の開催に伴って、ナポレオン3世によりボルドーワインの格付け制定しました。シャトー・ ムートン・ロッチルドは当初2級に制定されていましたが、1973年に2級から1級へ昇格しました。試験には出ませんが、シャトー・ ムートン・ロッチルドのラベルは毎年著名な画家に描かれていて、この特別な1973年はピカソがラベルの絵を描いています!

1999年に「サンテミリオン管轄区」、2007年に「月の港ボルドー」が世界遺産に登録されました。

サンテミリオンはボルドー市からトラムで40分ほどの人気の観光地でもあります。
市内を流れるガロンヌ川が三日月形に湾曲しているので、月の港と呼ばれます。
ボルドーに住んでいた頃はよくここでランニングをしていました。


2016年にワインのテーマパーク「ラ・シテ・デュ・ヴァン」がオープンしました。ここも人気の観光地です!デカンタ型の外観がユニークです。

ボルドーのブドウ品種

ボルドーでは伝統的に複数のブドウ品種をアッサンプラージュ(ブレンド)するワインが一般的です。これはブレンドによってワインに深みをもたらせたりバランスを取るという利点の他に、天候によるリスク分散というメリットもあります。

ボルドーの主なブドウ品種


ボルドーの郷土料理

美味しい食事もたくさんあるボルドー!代表的な郷土料理をご紹介します。

・アントルコート・ア・ラ・ボルドレーズ (牛リブロース肉の炭火焼き) ・ランブロワ・ア・ラ・ボルドレーズ (ヤツメウナギの赤ワイン煮) ・アニョー・ド・ポイヤック (ポイヤック産仔羊) ・カヌレ

アントルコート・ア・ラ・ボルドレーズ(牛リブロース肉の炭火焼)はボルドーで絶大な人気を誇るお店があり、いつも長蛇の列が出来ていました・・!色んなお店で出されていますが、ブドウの枝で焼かれるのが定番のようです。

ランプロワ・ア・ラ・ボルドレーズ (八つ目うなぎの赤ワイン煮)は調理後もまあまあグロテスクなのですが、調理される前はもっと衝撃的な姿です。苦手な方もいるかと思ったので載せませんでしたが、気になる方はググってみてください(^^;)

最近日本でも流行りのカヌレは、もともとはボルドー生まれのお菓子です。ワインの清澄作業に卵の白身を大量に使うので余った黄身で造られるようになったお菓子です。理由がなんともワイン産地らしいですね!

ボルドーのA.O.C

生産地区

ボルドーは、アキテーヌ盆地の海岸線に位置していて、この地域には、3つの川が流れています。ピレネー山脈から流れるガロンヌ川と中央山塊から流れるドルドーニュ川が、ボルドー市の北で合流し、ジロンド川となって大西洋に注いでいます。ブドウ畑は、この3つの川の周囲に広がっています。

ガロンヌ川とジロンド川の左岸は砂礫質土壌で、カベルネ・ソーヴィニョンの栽培に適しています。一方、ドルドーニュ川とジロンド川の右岸は粘土質土壌で、メルロが適しています。

下記のAOCはボルドー全域のA.O.C.で、ボルドーと指定された全域で造る事ができます。

赤●のついたA.O.Cは赤ワイン、緑●は白ワイン、ピンク●はロゼワイン、
黄●は貴腐ワイン、◉はスパークリングワインを生産することが可能です。



2019年には温暖化対策として、新しい補助品種が認定されました▼

ボルドーのA.O.C階層はこんな感じ。日本の地区で例えると関東地方▶︎東京都▶︎港区といったイメージです。

メドック地区、グラーヴ地区、ソーテルヌ地区、サンテミリオン地区の優良生産者は格付けワインとして認定されています。

メドック地区 

名だたる高級赤ワインが生み出される、ボルドーのメドック地区は世界屈指の銘醸地です。

ジロンド川左岸に広がり、ピレネー山脈から流れてきた砂利が堆積した土壌が特徴的です。この砂礫質土壌は、力強く骨格のしっかりしたカベルネ・ソーヴィニョンの栽培に適しており、多くの格付けシャトーが高級ワインを生産しています。

メドック地区は南のオー・メドックと北のメドックに分かれており、オー・メドックには6つの村名A.O.C (北からサンテステフ村、ポイヤック村、サン・ジュリアン村、リストラック・メドック村、ムーリス村、マルゴー村)があります。この地区のA.O.Cは赤ワインのみが格付けとして認められており、この地区で白ワインを造った場合は、A.O.C. ボルドーとなります。

各村の特徴のイメージも一緒に持つようにしましょう♪


【メドック格付け61シャトー】

1855年のパリ万国博覧会で展示されたシャトーの格付けは、ボルドー商工会議所によって作成されました。過去数十年にわたる取引価格をもとに、ジロンド県産の格付け赤ワインおよび白ワインが分類されました。

この格付けは、ジロンド県内のすべてのシャトーを対象としたものですが、ドルドーニュ川右岸のサンテミリオンやポムロールのシャトーは対象外で、メドックのシャトーに限定されました。ただし、グラーヴのシャトー・オー・ブリオンは例外的に格付けに入りました。

格付けは第1級〜第5級に分類されます。

この格付けを暗記するのが最初のソムリエ試験の難所です。どこの村にどこのシャトーがあり、それが何級なのかを全て暗記しなければなりません。
ただ、ここを完璧にしようと思いすぎて立ち止まって進めなくなるよりは、ある程度暗記したらどんどん次に進めて覚えやすいところから覚えてしまい、試験の前にまたここに戻って猛暗記するのも一つの手かとは思います。時間があるときに繰り返し覚えているか確認しましょう!特にマルゴー村オー・メドック村のコミューン(属する村)には注意が必要です。

グラーヴ地区

グラーヴ地区は、ボルドー市の南、ガロンヌ川の左岸を北西から南東に伸びる産地で、オー・メドック同様、ガロンヌ川が運んできたギュンツ氷期の砂利(グラーヴ)に覆われています。

ボルドー地方の最南部に位置し、ガロンヌ川の輻射熱も影響し、一般的にメドックよりもブドウの生育は早いです。ガロンヌ川沿いの中流域には費腐ワインの産地であるソーテルヌ&バルサック地区を内包しており、上質の赤ワインを産出するグラーヴ北部は1987年独立し、A.O.Cペサック・レオニャンを名乗っています。

グラーヴ地区の白ワインは、辛口ほどソーヴィニョン・ブランの比率が高く、甘口ほどセミヨンの比率が高い傾向があります。

グラーヴ・シュペリュールは貴腐または
樹上で乾燥させて過熱したブドウから造られる半甘口のA.O.Cです。

1855年の格付けではシャトー・オー・ブリオンを唯一の例外として、グラーヴのワインが選ばれなかったことから、生産者組合の要請に応じてI.N.A.O.により任命された審査委員会が作成した格付けがあります。

こちらは生産可能色が問われやすいです。まずは少ない白ワインのみ格付けに認められているシャトーから覚えましょう!グラーヴ地区の格付けで赤ワインしか認められていなくても、白ワインを作っているシャトーや、その逆もあります。

シャトー・オー・ブリオンはグラーヴ地区のシャトーですが、品質の高さを評価され、例外的にメドック格付けにも入っています。シャトー・オー・ブリオンも格付けで認められているのは赤ワインのみですが、白ワインの生産もしています。

サンテミリオン地区

サンテミリオン&サンテミリオン衛生地区はドルドーニュ川右岸に位置する歴史的な町サンテミリオンを拠点に広がる産地で、赤ワインのみのA.O.Cです。主な土質は粘土石灰質土壌で、主な栽培品種はメルロ。それにカベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニョンがブレンドされるのがサンテミリオンのスタイルです。しっかりとしたストラクチャーを持ち、長期熟成に耐えるものもありますが、多くは口当たり滑らかで、しなやかな赤ワインです。

サンテミリオン地区の格付けは、1855年のボルドーのメドック地区の格付けから100年後に実施されました。この格付けは、第一特別級(プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ)と特別級(グラン・クリュ・クラッセ)の2階級からなっています。第一特別級は上級のAと、その下のBに分かれるため、実際には3階級であると言えます。

1855年の格付けと異なる点は、約10年ごとに見直しが行われることで、1969年、1986年、1996年、2006年、2012年、2022年の7回に渡り改訂されています。

最新の改訂では第一特別級Aから前回昇格したばかりのシャトー・アンジェリュスが格付けからなくなり、シャトー・オーゾンヌ、シャトー・シュヴァル・ブランも格付けを辞退しました。そして、シャトー・フィジャックが第一特別級Bから第一特別級Aに昇格しました!

ポムロール地区、フロンサデ地区

ポムロールは、サンテミリオンの北西に隣接する小さなワイン産地です。バルバンヌ川を境界に、南がポムロール、北がラランド・ド・ポムロールとなっています。底土は粘土で、ブドウ品種はメルロが80%を占めています。

粘土に含まれる酸化鉄の影響により、熟成が進むと官能的なフレーバーが酸し出されます。ポムロールのシャトーはいずれも規模が小さく、生産量が限られていることから、他のA.O.Cのワインと比べて高価なものが多いのです。

フロンサデ地区はイル川を挟み西に位置するドルドーニュ川右岸の産地です。A.O.Cはフロンサックとカノン・フロンサックを持ち、これらもメルロが主体です。ドルドーニュ川に面し、急斜面をもつカノン・フロンサックの方が肉付きの良いワインを生見だしています。

コート地区

コート地区は3本の川沿いの右岸に点在し、「コート(丘)」という名前の通り丘陵地帯にある広域のA.O.C.です。

アントル・ドゥー・メール地区

アントル・ドゥー・メールの北西部、ドルドーニュ川左岸に位置するA.O.C.です。辛口白ワインが主に造られていますが、一部赤ワインや甘口白ワインのA.O.C.もあります。

ソーテルヌ&バルサック地区

ソーテルヌ&バルサック地区はグラーヴ地区の南部、ガロンヌ川左岸に位置する費腐ワインで有名な産地です。シロン川とガロンヌ川の水温差により秋に霧が発生し、この湿った環境からボトリティス・シネレアという菌がブドウ畑に広がり、ブドウの水分が蒸発し費腐化して甘口貴腐ワインが出来ます。

1855年のパリ万国博覧会で、ソーテルヌ地区の甘口白ワインもバルサックとともに格付けされました。その中でも、シャトー・ディケムは最高ランクのプルミエ・クリュ・シュペリュールに選ばれました。

おわりに

ここまで読んで下さったプレ・ソムリエさん、お疲れ様でした!ボルドー地方の学習を乗り越えたら、ソムリエ試験対策においてもうメンタル的には勝ったも同然です。まだまだ覚える事はたくさんありますが、ボルドー地方程ではないかと思います。引き続き、コツコツ繰り返し頑張りましょうね♪

プルールではボルドーをはじめ、世界各国のワインを取り扱っています。
オンラインショップにはほんの一部のみの掲載なので、ワインをご希望の方はお気軽にこちらまでご相談ください☆
また、よく見直しをしているつもりなのですが、noteの間違いに気がついた方はこっそり教えて頂けるととても助かりますm(_ _)m

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?