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『米津玄師・STRAY SHEEP』アルバムレビュー【音楽】

米津玄師

Stray sheep

↓↓動画はこちら↓↓


はいということで本日は米津玄師でstraysheepをレビューさせて頂ければと思うのですが、

皆様も待ちに待っていたのではないのでしょうか、

出荷数が店着日にして100万枚を突破し、日本で今一番旋風を巻き起こしているアルバムです。

本作には「Lemon」「馬と鹿」「パプリカ」や菅田将暉「まちがいさがし」のセルフカバーなど、

ほぼ全てがシングルカットになり得る程有名そして良曲に溢れています。

ビートルズのレコード並みに全ての曲良すぎて、一瞬でアルバムが通り過ぎています。

アルバムを制作するにあたり米津さんはこのように述べております。

このご時世だから、悲観的になるのは簡単で、怒りや悲しみにのまれようとすれば、すぐさまのまれてしまう。そうならないように、希望をもって生きていくことを提示したかった。

優しすぎる人なんだと思います。

本当に自分が与える影響がどれくらいのものか認識していて、

その影響の末端の人たちのことまでを考えて制作されているんだとインタビューを読んで感じました。

米津さんの意識の中を見ることはできませんが、少なくこのアルバムを聴くことで、

言語化できない米津さんの意識と感覚、言語化できる感情を同時に体感できる

そんなアルバムになっていると思います。

「カンパネルラ」 

この曲は宮澤賢治の銀河鉄道の夜がモチーフになっていて、

その中でもいじめっこザネリの目線で曲が歌われていきます。

自分がした行動で人が傷つく人を死に追いやることだってあります。

そして、自分が傷つけた人や死に追いやってしまった罪と

一生その人間は向き合って生きていかなくてはなりません。

そういった自分が犯してしまった罪を再認識させられるのと同時に

傷ついた人たちに対して米津さんがいつまでも見守っているよというメッセージも受け取りました。

この曲を一曲目に持ってくることで人類や人と人の繋がりを全面に出して、

アルバムのテーマを暗示させます。

初っ端からアルバムの集大成を持ってきて、鳥肌が立ちます。

「フラミンゴ」

この曲は中毒性を持っていて、これまで聞いたことのないリズムとビートは

最初に聞いた時は違和感を持つかもしれませんが、段々とそのビートが自分のものなっていく感覚が掴めていくと思います。

アーティストはインスパイアを受けていることが多く、

このサウンドどこかで聴いたことあるなというのがあったりするのですが、 米津さんの場合はインスパイアはあると思うのですが、それをも自分のサウンドに転換して 自分のものにしてしまいます。

なので、これから米津さんような曲を作ったとしても米津さんに似てるねとしかならないと思います。この曲はそれを感じた最初の曲です。

音も緻密で左と右で音を分けていたり細かい打ち込みのテンポやギターリフ、コードを外すことで凄く不安定で綱渡りをしている感覚になります。

メロディーで違和感を覚えさせサビで整理する米津さんの得意技が色こく出ている曲になります。そしてその違和感が頭にずっと残ります。そしてその違和感を重くなくカラッと表現できるところにこの曲の凄みが出ています。

「感電」

この曲に関しては前回レビュー動画にさせていただいたので、

概要欄からチェックして頂けると嬉しいです。

「Placebo」

この曲は80年代のシティーポップと現代のフューチャーファンクが上手に混ざり合い、

例えるなら80年代の人間がタイムスリップして2030年に作った楽曲のようです。

浮遊している感覚を持つサウンドとどこか凄く重力に押さえつけられているようなドラムビートが均衡を保ち、そこに野田さんと米津さんの美しい声が互いに響き合う場面は輝きを放ちますし、

響くサウンドは近代的でありながらノスタルジアを持ち合わせていて、

聴いたことあるけど聴いたことのない独自性と近似性を持ち合わせた曲です。

「パプリカ」

セルフカバーの今作なんですけど、

フーリンバージョンとはこれほど違うかという程全く違う曲になっています。

同じ曲なのに全く違う曲。

テンポを変えビートを重くしサウンドを雅楽調にすることで、フルモデルチェンジ並に曲の印象が変わります。

同じ曲なのにこれほどまでに違う印象を一つの曲で制作できるのはヤバすぎます。

終盤に子供たちの声を入れることで、

しっかりとフーリンバージョンの印象を持たせるところも良いです。

「馬と鹿」

非常に情熱的な曲です。

記憶に新しいところだとラグビーワールドカップの主題歌ですよね。

ラガーマンがモチーフになっていて、

歪んで傷だらけの春麻酔も打たずに歩いた
まだ歩けるか 噛み締めた砂の味 夜露で濡れた芝生の上
呼べよ 花の名前をただ一つだけ

という歌詞は当時日本代表と重なり非常に感情的に情熱的になりました。

オーケストレーションが曲に規模をより壮大にし、広いピッチを想起させます。

「Lemon」

言わずとしれた名曲ですよね。

日本のポップの歴史と未来を紡ぐ歴史に残る曲だと思います。

「まちがえさがし」

菅田将暉さんに提供した曲として有名ですよね。

まちがいさがしの間違いの方に生まれてきたような気でいたけど
まちがいさがしの正解の方じゃ、きっと出会えなかったと思う

という歌詞は繊細でありながら強烈に頭に残りますよね。

ありふれているのに、米津さん意外絶対に書けない歌詞であり、

この曲はこの1行だけで完結するほど素晴らしい歌詞だと思います。

自分に持っていない物を持っている時に羨んだり

自分を卑下する時もあるかもしれないけど

順調に物事が運んでいないからこそ起きる小さな出会いや奇跡

そして自分にしか持っていない物や出会いを再認識させられます。

最終的に

間違いか正解かだなんてどうでもよかった

と述べることで人生に正解や間違いなんてものは存在しなくて、

不確かさこそが生きることの悦びと背中を力強い声で押してくれます。

その不確かの先に何があるかは分からないけども、

それでもその先にある小さな灯火を目指して生きていこうという希望をくれます。

「Teenage Riot」


とにかくキャッチーです。

例えるなら、エルレとフランプールとバンプを足して3で割った後、

米津の液を垂らしたようなサウンドです。

これまで非常に複雑なサウンドがなってきた分、ストレートになるロックはシンプルにかっこいいですね。この曲も途中でギターのバッキングがトーンダウンするなどシンプルなのに細かなテクニックが多く含まれていて、それでいて思いつきそうで思いつかないアークティックモンキーズのDo I Wanna Knowのようなシンプルかつそこいくかというようなリフはシンプルにかっこいいです。

ストレートに胸に刺さり10代の青春時代に聞きたかったです。

「海の幽霊」

この曲は声がもう楽器と化しているほど米津さんの美しい声が際立っている曲です。

高音で煌びやかな声と所々不協和音が混ざることで億千に光る夜空の星を想起させます。

唐突に始まり、花火のように煌びやかに爆発し、唐突に終わる

夏を体現したような曲です。

全体的にみると

六角形で例えると全ての平均値4.8/5のようなアルバムでした。

全ての曲がシングルカットになり得るほど緻密に繊細に組み立てられていて、

それでいて大胆に米津さんの感情が爆発している。

そんな大胆さと繊細さが同居しているのですが、バランスの均衡が保たれていて、

突然始まり一瞬で終わる、人生のようなアルバムでした。

大衆的でありながら、凄くプライベートで

米津さんの気持ち・作りたい音楽をそのまま形にした作品に

共感して皆んなに影響を与えていく。

その影響の果てまでに、これを聴いた人はどんな思いをするのかと

優しさも込められた

歴史的アルバムなんじゃないかなと思います。

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