ABEミーティングの板書

ABE(Arts Based Education)研究会からまだ見ぬあなたへ

こんにちは。

プレイバック・シアター研究所では、2017年からABE研究会を主催しています。ABE=Arts Based Educationとは、アートを使った教育のこと。研究会では、ABEの探求、また実践につなげるためのさまざまな試みを行ってきました。


現在研究会は第4クールに突入。そして、今週土曜日(1/18)に、今クール最終回となる第5回を迎えます。

9月から取り組んできた第4クールのテーマは「ABEの効果測定」。ABEをどのように評価し、教育効果を測定するか、ということを、半年に渡って考え続けてきました。これが研究会にとっては、ABEはなにをやりたいのか、ABEをどういう人に届けたいか、ということを、再度ことばにする大きなきっかけとなりました。

そこでまとまった、「こんな人にABE研究会に来てほしい!」という対象が、以下の7つ。

1教育における新しい評価について考えたい人
2アートを使った教育に携わりたい、関わりたい人
3教育に新しいものを取り入れたい人
4会社や組織で行き詰まっている人
5アートを使った教育の導入を考えている人
6既存の教育や評価指標に限界を感じている人
7アートの経験や技能を社会に役立てたい人

そこで今回は、最終回を前に、ABE研究会の講師3名+スタッフ4名の計7名が、それぞれメッセージを書きました。

ぴんときたあなた、ぜひわたしたちと語らいに来てください!



1.教育における新しい評価について考えたい人へ(講師 羽地朝和)

教育の評価について考える際にポイントは3つあります。

1.評価の目的:何のために評価をするのか
2.評価をする人:誰が評価をするのか
3.評価の方法:どのように評価をするのか

企業研修、学校教育、社会教育において様々な評価が行われていますが、教育をする側のための評価はこれまでも数多くなされてきました。Arts Based Educationは、教える人が答えを持っていないものを学ぶ場です。つまり、教える人と学ぶ人がともに模索をする、ともに学び合います。ですからより良い学び合いの場をつくるために、ともに評価をするのが良いのではないかと考えています。また、ともに評価をすることそのものが新たな気づきや学びをうみだしていきます。そのような新たな気づきをうみだすための評価の方法としては、対話による評価、対話による振り返りが良いのではないでしょうか。

より良い学びのために、教える人と学ぶ人がともに対話による評価をする。そのような評価することが新たな学びとなるような場を私たちは模索しています。


(講師 羽地朝和)


2.アートを使った教育に携わりたい、関わりたい人へ(講師 オーハシヨースケ)

今、イギリスでは多くの劇団が、企業研修部門を持っています。
アートの力で経営力を伸ばす、アート・オブ・マネジメントが社会の中で大きな力となりつつあります。
アメリカでも知識の力IQ(知能指数)よりも感情の力EQ(感情知能)が大切であるという認識が広く企業に受け入れられ、フォーチャン誌上に名前が挙げられているアメリカトップ企業が、こぞってEQトレーニングを実施しています。

『「アート」を企業、自治体、病院院、介護福祉の人材育成に役立てる』

これは21世紀の大きなテーマです。

世界的な経営学者であるミンツ・バーグが、企業経営には「アート(芸術力)、クラフト(技術力)、サイエンス(科学力)」の調和が大切だと語っていますが、アートを人事育成教育に応用する「アートを応用した研修教育」は、世界が今、最も必要とする「叡智」です。
アートを人材育成教育に結びつける「知恵」を、いっしょに学びましょう。

そして、世界をABEの力で変革しましょう!!


(講師 オーハシヨースケ)


3.教育に新しいものを取り入れたい人へ(スタッフ うらら)


学生時代よりオトナになった今のほうが、だいぶ自由に生きられるようになった気がする。
それは、誰からも教育を強制されなくなったからだと思う。
既存の学校教育では、教師が一方的に生徒に知識を与えようとする。その子が学びたいか学びたくないかに関わらずだ。そして正しい答えがだいたい決まっている。

オトナになった今は、興味があることを自ら学べる環境になった。
先生を自由に選べるのもいい。それは人に限らず、本でもインターネットでも。子どもから学ぶことだって多いにある。誰かの求める正解を探らなくてもいい気楽さもある。
同じように興味をもつ人と考えやアイデアを共有したり意見交換をして、お互いの違いを知るのもおもしろい。

一方通行ではなく、双方向で対話すること。私はそういうことがこれからはもっと必要になってくると考えています。

ABE研究会では、アートを使ったワークを実際に体験してから、そこでどんなことが自分のなかで起こったか、そのワークにどんな可能性があるのかを、みんなでリフレクションすることに重きを置いています。
正解がない。誰も答えが分からない。だから一人ひとりで探りながらも、みんなで答えを導き出していこうともがいてみる、そんな場です。


(スタッフ うらら)



4.会社や組織で行き詰まっている人へ(スタッフ むらっち)


会社勤めをしている時に、僕はパニック障害という病気にかかった。

はじめて自分のことをふりかえった。「なぜこんなことになってしまったのだろう」「いったい何がいけなかったのだろう」。そして「これは薬では治らないな」「生き方とか考えかたとか、なにか根本的なものを変えなくてはいけないな」そんな風に感じた。けれど、変えなくてはいけない「なにか」が何なのか、その時はわからなかった。わかるための方法も知らなかった。

今ならそのための方法をいくつか知っている。会社ではとうてい会えないような価値観を持っている人たちに会ったり、会社とは全く違う価値観の上に成立している現場を経験したり、自分とは無縁だと思っていたものに取り組んだりなど、今まで経験したことのないようなフォーマットを通じて、新しく「自分を俯瞰してみたり」「振り返ったり」「経験したり」する機会に身を投じることが、僕にはかなり有効な方法だった。

ここで紹介するABE(アート・ベースド・エデュケーション)は、そうしたフォーマットを提供してくれる機会の一つだと思う。そこで用意されるのは、例えば、感情を使ったり、体を使ったり、感覚を使ったり、きちんと表現できる以前のなにかを扱ったり、自分には理解できないものをみんなでつくったり、アートの特徴を利用した経験だ。そして、それを元に自分自身の「気づき」が促されるようなプログラムになっている。馴染みのフォーマットでないからこそ、新鮮な気づきを得ることができると思う。難しく考えずに、遊ぶように参加すればいい。関心をひかれるようなら、ぜひ体験してみてはどうだろうか。


(スタッフ むらっち)



5.アートを使った教育の導入を考えている人へ(スタッフ 高橋)


組織の運命を握る“社員”の「成長・能力開発」に日々奮闘されていらっしゃることと思います。社会環境やビジネス環境が大きく変化している中において、また働く社員一人ひとりの特徴が変化する中で従来通りの人材育成やアプローチだけで望むような成果を挙げることに限界を感じ、「アートを使った教育」にその可能性や期待感を持って強い関心を寄せて下さる方(または同士)が多くなったことに嬉しさを感じています。


凝り固まった発想や偏りがちな思考をほぐしたい、新たな発想や異なった視点からの組織開発・課題解決につながるヒントを掴んでもらえるようにしたい、まだまだ未開発の(普段使えていない)脳力を刺激したい、論理的思考だけでなく感覚や感性も育み両方を駆使できる人材を育てたい……。このような課題感や問題解決に「アートを使った教育」は大きな力を発揮します(すると確信しています)。

ABE研究会第4クールでは、アートを使った教育の効果や有効性、従来の研修との違い、教育効果を最大限に発揮するためにはどのような指標や評価軸で効果測定することがいいのか、アートの可能性を信じ、展開している人たちが集まり、体感パートでの経験の気づきを元に、膝を突き合わせてとことん議論をしています!
私たちと一緒にアートの持つ可能性を実感し、その活用方法や測定についてとことん議論しませんか?あなたのご参加を心待ちにしています。


(スタッフ 高橋)


6.既存の教育や評価指標に限界を感じている人へ(講師・岩橋由莉)


ゴールを目指してしまうと、それ以外のことがこぼれ落ちてしまうのがなんともやりきれないな
と体験学習の授業をしていて時々思います
 
これからを生きるために必要なこと、私を生きるのに必要なことは本当に今の教育の目標の中に入っているのだろうか、それを達成できたら本当に生きていけるのだろうか
では、この社会を生きている時に感じる今の苦しさはなんだろうか

アートをやっていると、どうやってもそうでしかない自分に直面します
筆跡が変えられないように
声が変えられないように
どんなに取り繕ってもあきらかになってしまうものが、ある

生きるとはある部分、人と交わることでしか見ることのできない
そうでしかあれない自分を引き受けることなのだろうなと思います
そんなそれぞれをそのままに迎えられる座標はないのだろうか
 
ABEに関わる大人たちが自分の今までの生き方を振り返りながら、必死に絞り出し合い、議論しあって、ある座標を掲げようとしています
意見の食い違いももちろんあります
自分が信じていることを出し合える場、それをそのままに互いが存在し合える場になるための言葉を探しています

その模索していく作業そのものが、既存の何かを壊していくヒントになる、もしくはよりいいものへと変容していくきっかけになる

そんなふうに思っています


(講師 岩橋由莉)


7.アートの経験や技能を社会に役立てたい人へ(スタッフ くじら)


表現をしていてなんになるんだろう、と思うことはないですか。
表現活動をしているあいだに、まわりの人が就職していったり、悲しいニュースを見たり、力になりたいと思った相手になにもできなかったり、去っていく人がいたりしたときに。
もちろん、「表現すること」はそれそのものだけでもいいのかもしれません。それでも、表現によって解決できる問題や、手を差し伸べられる相手が、どこかに存在するような気がすることはないですか。

わたしたちは、それがたしかにあると思っています。ほとんどその直感だけにまかせた研究会といってもいいくらい。アートを「使った」教育なんて言っているけれど、実際にはアートの知恵を借り、アートに引っぱってもらっているような感じです。アートにはものすごい知恵と力がある。そしてそれが、これまでアートをやってきたあなたのなかにもあることを、わたしたちは信じているのです。

表現することがもっともっと多くの人の生活に根づき、その人たちの助けとなる。そんな可能性について、わたしたちといっしょに考えてみませんか。


(スタッフ くじら)


★1/18詳細・参加申し込みはこちら


ABE研究会 第4クール 第5回

「学習モデルと評価指標の体系化」

◆ 開催日時

2020年1月18日(土)

10:30〜17:00

◆ 会 場
芸能花伝舎(西新宿)
〒160-0023東京都新宿区西新宿6-12-3 http://www.geidankyo.or.jp/12kaden/chizu/index.html

◆ 参 加 費
5,000円(税込)

◆ お申込み先&お問合わせ
(株)プレイバック・シアター研究所 
 http://playbacktheatre.jp からお申込みいただけます。

参加のお申込みをいただいた方に担当から折り返し、ワークショップ当日の詳細なご案内について、ご連絡させていただきます。
ご質問やお問い合わせは、担当事務局の五味までご連絡ください。
E-mail : info@playbacktheatre-lab.com

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