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ワースト1

何だか、ほぼほぼ3ヶ月ほどのクリニック勤務が決まりそうなのだけど、往生際が悪く、まだ他の求人を見ている。施設でじっくり看て行きたいのに何でクリニックなんてクリックしちゃったんだろう。

で、その求人を見ている際に、単発派遣が目について即行動。一日だけ行ってバイトしてみようというあれである。

それで、もう大抵のことではビックリしないと思っていたけど、今回はやられた。まじで過去最悪かも。

単発というのは、当然初めて行くところなわけで、が、そこに意地悪な人がいたりすると即、嫌な思いをするわけである。だから、それは想定内だった。
ただ知らない施設の様子が見れて、しかもバイト料がもらえるというだけなので別に良い。

それくらいの覚悟で行くというのに『おはようございます。』と玄関を開けていていただいた瞬間から必要以上に暖かい対応。ケアマネさんらしき女性の、シンクロばりの張り付いたような笑顔。

どう言ったら良いのか、なんか変である。優しすぎる。

『まあ、まあ、まあ、こんなに早くいらっしゃって。まだ医務室で座っていて下さいね。』

はいと返事をして始業時間までその辺の処置表やバイタル表などを見ていたのだが、なんだか、やっぱりおかしい。

そして8時30分。

・・・・・・・・・・・・・・。誰も出勤して来ないんですけど!?

『そうなの。諸事情があって、今日の看護師さんは一人です。昨日なんて、一人もいませんでした。』

固まった。

物の場所も分からないし顔も分からない。しかし、まあ、バイタル回りくらいはできるだろう。

『インシュリン打つ人が二人いますからお願いします。』

だから、そのインシュリンがどこにあるの?何という名前の人に、どの種類のインシュリンを何単位打つの?何時に?

というわけで、まあ本当に手掛かりがないわけである。処置表通りにやろうとしても、物品すら無い。ワゴンもない。

それでも、居室へ行って処置をしたりバイタルを測ったりしていると「ありがとう、ありがとう。嬉しいな。今日は看護師さんがいるわ。・・・・・・。でも、もう来ないんでしょ?」と利用者様やご家族様が言うわけである。

でもまあ、仮に正社員の人が一人居たとしても、たったの2人で70人も看れるはずもない。しかし、せめてもう一人居てほしかった。誰もいないよりはましだと喜んでくださっているところが痛ましい。

いったい何を考えて運営しているんだろう?と、そこで改めて大本の企業を調べたら、出たよ。また大手の企業の介護業界への思い付き参入だった。とある雑誌で有名な出版社が立ち上げたところらしい。

高齢者施設を運営するには、看護師は要らないと思っているらしい。凄いな。

立派な箱だし、広いお部屋が多かったのに、そこに住まう方々は傷が膿んでいたり、肌に垢が溜まって居たりと、とても悲しい光景だった。
やっぱり、畑違いが手を出しちゃダメなんだって。誰も幸せにならない。

というようなことを思い、怒ったり嘆いたりしたのは、夜、帰宅してからだった。

もう何せ無我夢中で最低限のことをやって帰って来た一日だった。

果たしてこの体験は何のためにあるのだろう?答えは未来へ続く。

最悪な場所というのは、意地悪なスタッフがいるところではなかったらしい。愚痴ばかり言っている人やパワハラが横行するところでもなかった。
最悪な施設とは、そんな人すら居ない、誰も居なくなった施設のことを言うらしい。あー、ビックリした。

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