キューバをめぐるあれこれ

朝っぱらのやつ

https://ameblo.jp/darshaan/entry-12689126393.html

に続報(?)。

くだんの友人より、さらに返信が。

「フロリダに、亡命キューバ人グループの親玉でホルヘ・マスカノサって奴がいました。彼がまさに対カストロ政権強硬派だったのだが、だいぶ前に死んだので、今は穏健派が支配的になったようではあります」

俺: 「ラウル・カストロ前議長は晩年の兄貴フィデルよろしく穏健な感じするから、穏健派同士ならバイデンが対キューバで宥和的な政策打ったところで、むしろ後押しになるんじゃね?」

友人: 「ところがですな。実はラウルは兄貴以上に共産色強いんですわ。兄貴が国の舵取りで長年苦労してきたのを見ているから、現実主義的にならざるを得ないのでしょう」

少し解説しよう。
フィデル・カストロ議長は50年代の終わりに米国の傀儡バティスタ政権を打倒・革命を起こしても暫くは社会主義じゃなかった。彼は共産主義者というより民族主義者で、外国に搾取されるのは堪らんと、だからゲバラらと共に革命やったわけ。
ところが米国が虐めるもんだから、対抗措置でソ連と手を組んだのが実態。しかし後ろ盾たるソ連もおそらくは米国のお膝元に位置するキューバを利用し、それはフィデルもよーく分かっていたと思う。真正面から虐めてくる米国、背後から利用せむとするソ連、この2つの大国の狭間にあって、小国キューバがどう生き延びるか。これは並大抵のことじゃなく、フィデル・カストロという人はこの一点を以て大政治家と言っても過言ではないだろう。
※ここが革命家ゲバラと異なる点かと。

もちろん反対者やゲイなど〝革命的でない〝者を迫害し、あるいは映画『スカーフェイス』の冒頭・『夜になるまえに』の後半で描かれたマリエル湾事件 ー そいつらにガチの犯罪者を混ぜ、船で米国に送りつけた ー など、人権を著しく阻害した点は擁護できない。ただ、両大国の間で舵取りするには、国内をガッチリ固める、それが日本や他国では考えられないほど必要だったのは想像に難くない。

◆デパルマ監督『スカーフェイス』

https://youtu.be/g3jin2t_sJM

◆ジュリアン・シュナーベル監督『夜になるまえに』

https://youtu.be/wEDGERJQiOE

そうこうしているうちにソ連が崩壊。いちおうの後ろ盾を無くして以降は口では強いことを言いつつも、観光や医療に力を入れ、外貨獲得に精を出す。近年、ことオバマ政権時の宥和的な佇まいはご存知の向き多かろう。
ここが北朝鮮と違うところで、核やミサイル vs 観光や医療。推して知るべしだが、北朝鮮には中国という後ろ盾が未だ厳然たる。金正恩が単なる阿呆とは俺も思っていないけど、ここがまず異なる。が、対外的にも対内的にもいちおう強面でいなければならない点、友人が指摘した「ラウルは兄貴以上に共産色が強い」ってことだろう。

しかしコロナ禍で、その観光業も今や壊滅的。国民は飢え、数千人規模の「対政府デモ」と「反政府デモ」が頻発。前者はもっぱら「飯をよこせ」、後者は「こら、また革命起こしたろか低脳」。
フロリダを中心に沢山いる亡命キューバ人や移民。彼らには母国に残した親戚縁者も多く、船舶等で祖国に物資を援助。キューバ政府は最近、その持ち込み制限を解除したそうな。
が、米国に親類縁者のいない者は?

トランプの対キューバ強硬策にコロナ禍が相まって、キューバ人民は青息吐息。バイデンはホントはキューバ宥和策でいきたいようだが、ここで足を引っ張っているのがトランプ支持者やフロリダの、反カストロ派だったりするわけ。ことフロリダは大票田であり、連中の機嫌を損ねるのも中間選挙に向け、困る。

キューバのラウル・カストロ前議長@御年90いくつ や現ミゲル・ディアスカネル大統領はもちろん、キューバに影響力を強めたいバイデン大統領にとっても、頭が痛いことだろう。
※ディアスカネル氏は61歳とまだ若く、俺の1級上。第一書記になって間がなく、当面はラウル氏の傀儡たるを得ないだろう。

とまれ友人からもうひとつ。

「カリブを見るには中国と云ふ視点は欠かせませんぜ」

うむ。アフリカや黒海沿岸をはじめ、中国は今や世界的なプレイヤーである。
キューバがいちおう強面(社会主義)・その実ガチの資本主義たる、中国的ベトナム的路線に転換するなら、その先達である中国は手法・手立てを教授するだろうし、とりもなおさず援助を与えるだろう。
米国のお膝元に位置する国だから、いっそう。米国への当てつけと対抗措置的に。

バイデン政権の真価が、ここで問われる。中国に覇権を握らせないためにもいち早くキューバ融和策を取れるか。フロリダの反カストロ派を黙らせることが出来るか。
国際政治は ー それが社会主義であれ自由主義であれ ー まず以て椅子取りゲームであるが、いっぽう、フロリダの親類縁者諸君にも、祖国に残した同胞のため、ここは一発大局的な見地に立っていただきたい。
そう切望する者である。

では音楽。
◆映画『ブエナビスタ・ソシアルクラブ』より、Chan  Chan

https://youtu.be/tGbRZ73NvlY

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