デザイナーさんたちの発想の源を覗く ー㊙展 めったに見られない デザイナー達の原画 @21_21 DESIGN SIGHT
六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「マル秘展 めったに見られない デザイナー達の原画」。「日本デザインコミッティー」のメンバー26名の、普段は見られない仕事の”過程“の展示です。
1) こんなものもデザインされているの?! 身の回りにある様々なデザインに気づく
日本デザインコミッティーのメンバーは、グラフィックデザイナーやインダストリアルデザイナー、建築家など「デザイン」といっても幅広い領域にわたります。
展示を見ると、まずは たくさんのポスターや、キービジュアルにもなっているヤクルトの容器、「カルビー」などのよく目にするロゴなどの身近に触れられるビジュアルデザインに目が行きます。
一方で、東京駅のライトアップ(照明デザイナー・面出さん)や、博物館の展示レイアウト(空間デザイナー・田中俊行さん)、そしてこの展覧会自体のディレクション(デザインエンジニア・田川欣哉さん)まで。普段身の回りで触れている様々なことが”デザイン“されていることに気づきます。
(ライトアップの照明を変えると、雰囲気が大きく変わる様子を体験できる展示も。)
(この展覧会のディレクター・田川欣哉さんにより、この展覧会ができるまでの変遷の紹介も。構成や会場デザイン、webデザイン等、様々なものが試行錯誤しながら作り上げられている様子がわかります。)
2) アイディアはこう引き出す?! デザイナーの発想法に学ぶ
今回の展示で面白いのは、完成したものではなく、それができるまでのアイディアスケッチや図面、モックアップなどの”過程”に重点が置かれていること。そして人によって、完成にたどり着くまでの道筋は様々。
(あのINFOBAR (深澤直人さん) のモックは…レゴブロック製?!)
視覚的な部分から構築していく方もいれば、言語的に構築して行く方もいるというのは驚きです。また、手帳ひとつを見ても、非常に精緻なスケッチがかかれているものもあれば、仕事とは直接関係なさそうなメモが書き散らされていたり。
(隈研吾さんは、大量の文字のメモと、紙での立体物の試作両面からの検討が印象的。)
(佐藤卓さんの手帳には、身近なロゴの大量の草案が。)
身近なものの視点を少しずらした作品がユニークなアーティスト・鈴木康広さんは300冊のアイディアノートを並行して使用し、関係のなさそうな隣り合ったアイディアを組み合わせたりしているのだとか。さらに、アイディアメモをクロッキー帳に2列に貼り合わせ、折りたたんだときに隣り合ったアイディアを組み合わせてみたり。
(このスクラップブックを折って、偶然隣り合ったアイディアを組み合わせてみるのだとか。)
一線で活躍される方々の発想法を覗き見れるようでわくわく。好きなデザイナーさんのメモの取り方や発想法など、思わず真似したくなってしまいます。
3) あのデザインが出来るまで、を追体験?! 有名デザイナーさん達の原画に見惚れる
そして、なんといっても興味深いのが、タイトルにもなっている「めったに見られない デザイナー達の原画」。
できあがったスケッチだけでなく、3面スクリーンで映像でも発想の現場を見ることもできます。
例えば、東大の山中俊治先生の映像では、精巧なスケッチを下書きなくペンでささっと仕上げてしまうのに見入ってしまいます。(前回の「虫展」で展示されていた作品のスケッチも。先日のNHK「SWITCHインタビュー 達人達」にも登場していましたね。)
原研哉さんの書籍デザインでは、ラフ案のようなものでも、完成形が思い浮かぶような精巧なスケッチがなされています。
デザイナーの方々の書籍などで、こういったスケッチが挿絵として挿入されているものを拝見する機会はありますが、会場では細部まで見ることができ、どんな画材で、どこに注力して描いているのかも見えてくるようです。
トップクラスのデザイナーさんたちの頭の中をちょっとだけ覗けるような魅力的なこちらの展示。2020年3月8日(日)までです。
【展覧会概要】
■㊙展 めったに見られない デザイナー達の原画 @21_21 DESIGN SIGHT
会期:2019年11月22日(金)〜3月8日(日)
時間:10:00 — 19:00(入場は18:30まで)
休館日:火曜日(12月24日、2月11日は開館)、年末年始(12月26日—1月3日)
入館料:一般 1,200円、大学生 800円、高校生 500円、中学生以下無料
最後まで読んでいただきありがとうございます。良かったらサポートいただけたら嬉しいです。サポートいただいたお金は 記事を書くための書籍代や工作の材料費に使わせていただきます。