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ワインにパニーニ

今 オーブントースターで
パニーニを焼いています
グラスにはワイン
飲みながら
焼きすぎないように
必死に見張りますが
必ず焼きすぎてしまいます
ワインを飲むということは
そういうことなんだと思います

パニーニといえば
忘れられなきパニーニがありました。
ローマと言いながら
テルミニからタクシーで20分じゃ着かない
四つ星と言いながら、かなり傷んでて
それほど古いホテルじゃないけれど
ボロボロ ちゃんとやってれば
四つ星も頷ける
郊外立地のボロボロのコンベンションホテル

こんだけコケ下ろしながら
私このホテルが好きなんです
幽霊が出そうなほど暗い廊下
ものすごい部屋数があるけれど
使える部屋はどれだけあるか
わからないほど
メンテは行き渡っていない
でも、暖房は心地よく効いていて
暗めの部屋でも温もりがある
朝ごはんは
ドデカイバンケットで
コンチの朝食ながら
カプチーノは美味しい
パンもうまい
コンチなのに
時折 気まぐれなホットフードが出たり
意味不明
極端に居ない従業員
本当にいない
巨大なバンケットに
時折姿を出す一人
デカいフロントデスクにも一人
大きなロビーにも
居るのは団体客と添乗員だけ
何処に行くにも
タクシーが欠かせないけれど
客待ちのタクシーは居ない
居ないのだけど
団体客が自由行動に出かける時間は
何故か居る ので不便はない
多分、お見通しの通信網がある筈だ
こういうイタリア嫌いじゃない

これほど、至らない つくさない
ホテルなのに
ロビーのはずれに、何故かあるコーヒースタンド このでは、パニーニを出している
誰のため? 本能に思う 誰のため?
団体客がこぞって買っている景色なんか見たことがない。けれど、いつもやっている
このホテルを利用して3回目までは
ここを訪ねたことはない
このホテル、こんな感じなので夕食が食べれるとはとても思えず
僕は毎日ローマ市内に出て仕事をしていたので、食事も市内で済ませてホテルに戻った。
若者の貧乏旅行ならそんなわけにはいかず。
近隣の飲食店を躍起になって探しただろうけれど、よく考えたら毎日の交通費で市内のホテルに泊まれたよねという感じだった。
そんな時、仕事で午後早い時間に行った穂ホテルに戻ったことがあった。
ランチを食べ逃したので、ここでコーヒーとパニーニを買った。ちょうど、今日のようにオーブントースターで焼きたてのパニーニがコーヒーと共にブラウンバックに収まった。
部屋に戻り それを食べた
美味い 美味すぎるだろう
そう感じた
こんなに美味いパニーニが
なんでこんな人もいない
ホテルのロビーで食えるんだ
ましてや、オーブントースターで温めたやつ

この日から、すこし生活が変わった
テルミニ近くのバールで
ワイン一本とミモレットを買い
タクシーに乗る
パニーニを買い
部屋飲み
このホテルは
この後も何度か利用した
どうせまたくるさ
そう、僕は常にそんな風に考えていたっけ

その時は突然訪れる
どうせまたくるさ
そう感じて帰国して
今日でもう25年を超えている
それほどまでに

皆さん
今は
当たり前ではないと
思っていた方が良い

懐かしいなあ
ローマのハズレの
ホテルのパニーニが

ホテルの名前
あそこですよ
わかりますよね

今夜は焦げてしまった
中はとてもいい感じだった

僕ら旅行屋は 普通の人は 違う経験をしてる
高いものでなくても
有名でなくての

Uno panini perfavore
con vino rosso

そんな時代の僕の相棒


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