カケエループ3問題表紙用

オモロパズルのつくりかた考察

こんにちは。ひこうきです。

今回はペンパアドベントカレンダー2018、5日目の記事ということで、オモパ作りの話をしたいと思います。
私はオモパに惹かれてパズル界に入ってきて、2年弱くらいオモパを考えてきました。(でもそういえば前回の投稿以来あまり考えてなかったですね。まあ考えたり考えなかったりしてきました。)でもオモパってずっと考えていても、あまり有望でない同じアイデアばかり浮かんだりしてやっぱいいオモパ作るの難しいなーと思うわけですが、でも何か作るのにいい方法がないだろうか、ということで、考えてみました。

たぶんこれを読んでる人のほとんどはパズルに詳しい人だと思いますが、一応「ニコリの定食パズルを知ってる人」をこの記事の対象とします。

まずいいオモパの何がいいのかを考えましょう。まあもちろん人によって違う上に、そもそも自分はどんなものがいいと感じるのかさえなかなか完璧にはつかめないと思います。が、定食パズルはやはり優れているところが多いと思いますし、恐らく多くの人もそうだから定食になっているのだと思うので、とりあえず定食を検討してみます。ニコリに送るオモパの話ですしね。

あと先にことわっておくと、感覚的な話が多くなるので私もこれ正しいのか……?とか思いながら書くと思いますがまあこういう風に考えることもできるんじゃないか、という気持ちで書いていきます。

まず定食の面白さを書き出してそれを分類することを試みました。「上達すると速く解けて楽しい」、「完成したとき達成感がある」というのは多くの他のパズルにも共通すると思うので今回は基本的に考えないことにします。

(1)設定が面白い、ストーリー性がある、ゲーム的だ

(2)完成盤面に統一感があり、わかりやすい、また、きれいだ、なのでそれに向かう展開もいい

(3)(初心者がすぐには気付かない)多くの手筋があり、上達の楽しさが特に大きい、また、手筋を見つける楽しみがある

(4)作成の自由度が高く、問題ごとに違った雰囲気がある

(5)一気にたくさん決まったり、一気に長い線が引けたりする

(6)なんとなく、何かいいと感じる感覚がある

まだあるとは思いますがすべて網羅しきれる気はしないので今回はここで止めておきます。まず自分の感覚と比べると、(5)以外はおおむねいいなと思います。でも(5)は、黒マス系に関してはそうでもないかなと思います。例えばぬりかべやへやわけは今も人気のある定食パズルですが、黒どこやLITSは定食から消えてしまったようですね。前者、特にぬりかべは(5)の性質が強く、逆に後者はひとつひとつのマスが重要になってきてわりとゆっくり進むイメージがあります。どちらかというと私は後者の方が好きです。クロットなんかもかなり好きですね。

というわけでこれらの面白さ(の(5)の黒マス部分以外)をオモパに組み込む方法を考えたいんですが、(6)「なんとなくいい感覚」が比較的やりやすそうだなと思ったので、その話をします。

でもその前にちょっとだけ言っておくと、(3)「手筋の多さ」って最初から意識してオモパに入れるのは至難で、後からついてくるものだと思っていたのですが、ぬりみさき(ルールはこちら(ニコリの公式サイト))の岬全表出(なので丸のないマスは岬にならない)ルールのように、記号などが入っていないマス(など)にも適用されるルールを入れると出やすくなる気がします。なんか「つかめない」感じがよいのかなと思います。まあどちらかというと(3)というより「盤面に表出があまりないのに(それほど無理なく)決まる」という面白さですかね。それも(3)と関連する面白さであるとは思いますが。(この点でも面白さの分類は難しいです……が、分類自体が目的ではないのでこのあたりの問題には踏み込まないことにします。)

でメインの(6)「なんとなくいい感覚」なんですが、まず言葉が曖昧だったので具体例を挙げると、スラロームで旗門に垂直に線を引く、スリザーリンクで・と・を繋ぐ、フィルオミノで同じ数字が反発する、波及効果で数字から何かが伸びる感じがして決まる、……こういうのです。ちなみに『ニコリのペンパ2019』のぬりかべ解説欄には「黒マスを少しずつぬって、つながりをのばす感覚を楽しめます。」という言葉があります。

これらの感覚自体は各パズルに固有のものですが、一見異なる2つの感覚を抽象化したとき、同じものになることがあります。

ダブルチョコの話をします。私がニコリ163号に送って採用されたオモパです。

ダブルチョコ(仮題)                                        [遊び方]                                                              ①点線の上にタテヨコに線を引き、盤面をいくつかのブロックに分けましょう。        ②それぞれブロックは、同じ大きさで同じ形の白マスのカタマリと灰色マスのカタマリが1つずつつながったものになります。回転や裏返しをして同じになるものは「同じ形」とします。                                                    ③数字は、そのマスが含まれるブロック内での、その色のカタマリのマス数を表します。つまり、ブロックのマス数の半分になります。1つのブロックに、いくつの数字が入ってもかまいません。                                     (『パズル通信ニコリVol.164』より引用)

(例題)

(解答)

これ、最初は同じ形のブロックの間にも線が入っていたのです。その後境界線をなくし、2つでひとかたまりにすることを思い付いて試したとき、格段によくなったと感じました。特に1×2の入り口を試したときにそう思いました。「分かりやすさ」と(2)「盤面の良さ」の要素が入ったのが大きいと思うのですが、他にこんな理由も考えられるのではないでしょうか。

改良前なら、

こう線を引いた後に、

こう引く感じになるかな、と思います。それが改良後は、

一筆でこう書いてしまえるのですね。

で考えたのが、「境界を無視し、違う色のエリアに侵入していく」のがいいのではないか、ということです。

白と灰の仕切りがなくなったので、当然マスは侵入していく感じになります。そして、それは線もです。改良前では灰エリアに線が入っていこうとしたところで境界に沿って曲がってしまいますが、改良後は線がこの境界を垂直に横断します。

なので例えば、

これより、

これの方が恐らく線を引く感覚がいいのではないかと思います。このパズルは線を引くのがメインなので、とくにこの感覚が重要かと思います。

そしてこの感覚、これと根本が同じだ、と思いました。

のりのりの、のりが境界線をまたいで入る展開です。黒マスが太線を越えて「侵入」していきます。この感覚も個人的には好きです。

というわけで、抽象度の順に上から書くと、こんな感じになります。

ということは、既存の具体的な「いい」感覚を持ってきてうまく抽象化ができれば、それが「感覚の素」となって、色々と具体化し直すことでオモパが考えやすくなるのではないか、と思いました。(6)「なんとなくいい感覚」はこのあたりの作業がまだやりやすいような気がしました。

そして最近「ミッドループ」というオモパを見ていて気付いたものがあるので、それをもとにオモパを作ってみたいと思います。

ミッドループ(仮題)                                        [遊び方]                                                              ①盤面のいくつかのマスに線を引いて、全体で1つの輪っかを作りましょう。             ②線は、マスの中央を通るようにタテヨコに引きます。線を交差させたり、枝分かれさせたりしてはいけません。                        ③線は全ての黒丸を通ります。黒丸は、その黒丸を通る直線部分の中点(ちょうど真ん中)になるようにします。                         (『パズル通信ニコリVol.164』より引用)

(例題)

(解答)

それは、「前に障害物も何もないのに、線が曲がる」ということです。「侵入」より少し具体的ですが例えばましゅの白丸の隣で曲がる感覚とミッドループで黒丸に曲げられる感覚とは違うのでここからもオモパが考えられると思いました。

(ちょっとここで余談なんですがもう一度だけ分類の話をさせてもらうと、「侵入」や「線が前に何もないところで曲がる」は(6)「なんとなくいい感覚」にではなく「次の展開が生まれる感覚」に連なるものだとも考えられるのかなと思いました。侵入で出っ張りができたり、よく曲がって色々な方向に線が伸びることで、次に進められるところが発生しやすくなり、また解き手にそう想像させられるのではないか、ということです。まあどちらなのか、どちらもなのか、どちらでもないのかよく分かりません。今回は、パズルの面白さが、それなりに具体的だけれども一つに定まるわけではない程度に抽象的な言葉で述べられたものが欲しいけど、それは(6)っぽいもののあたりを探ると見つかりやすいんじゃないですか、というだけのことを主張しておきます。では、オモパ作りに戻ります。)

まず線を曲げる主な要因をどこに配置するかを考えます。曲がるマスと要因のマスが結び付かないといけないのでとりあえずは下の画像に示したあたりで考えます。

Aに配置してはダメです。Cはいいんですが、もしかしたら「前から止められる」感が出るのかなという気もします。ミッドループ、ましゅだとBですね。流れるループ(ルールはこちら(ニコリの公式サイト))はDです。Eは少しややこしいのもあってかたぶん私はほぼ見たことがないと思います。でB~Eで考えてみました。しかし、何もなしで作るよりは考えやすかったと思いますが、今回はいいものは出なかったですね。前に何もないところで線を曲げたいんですが、例えば線が通らないマスを確定させていく方針だと結局「前に阻まれた」という感じが強くなってしまうと思うし、しかも入口がしっかりあるものにしなければならない、ということでなかなか難しいです。まだ少し抽象的すぎてアイデアが出しにくいような気もします。というわけでアプローチ方法を変えます。

これはミッドループがそうなのであまりやりたくなかったのですが、線の長さを考えます。直進が1でも2でも4でもなく、3にするためにはどうすればよいか。線の長さの和を考えてみていやダメだと思ったところで、線の長さの積というアイデアが出ました。

でも、これは「カケエル」とかぶるんですよね。

カケエル(仮題)                                                [遊び方]                            ①すべての丸から、丸を起点とするタテ線、ヨコ線を1本ずつ引いてL字型の図形を作りましょう。線の終点は格子点となります。                                                                        ②線は、他の丸から延ばした線と重なったり、点を共有したりしてはいけません。  ③丸の中の数字は、その丸から延ばした2本の線の長さ(1マス分を1とします)を掛けあわせたものを表します。         (『パズル通信ニコリVol.161』より引用)

(例題)

(解答)

ただ、ループ系にすることで「前に何もないのに線が曲がる」という面白さがうまく出ると思うので、「カケエループ(仮題)」として考えていきます。とりあえずのルールはミッドループの①②(ループ系の基本ルール)とカケエルの③(に、白丸で曲がることを追加したもの)です。線の長さの数えやすさでは劣りますが線の曲がる感じはよりよくなると思うので盤面の形式はスリザーリンクにせず、ミッドループ等と同じものでいきます。こんな感じです。

(問題)

(解答)

ちゃんと曲がってくれるしいいなと思うのですが、L字部分以外で伸びも曲がりもしないのが苦しいですね。というわけで、改良します。最初のB~Eで考えたことを活用します。あまり見ないEでいきましょう。

④白丸から斜め45°に進んでいったとき、最初の線の通るマスで線は曲がります。白丸から斜め45°に進んでいって線の通るマスがなくてもかまいません。

このルールを追加すると、例えばこんな感じになります。

(ループが小さくなく外にも伸びる前提です)線がよく曲がるのはいいんですが、なかなか伸びてくれませんでした。まあ伸びるルールは足してないのでよく考えたら当たり前ですね。L字以外でも気軽に伸びてくれないといい展開にならないので、さらに改良してこうしました。①②(ループ系の基本ルール)は同じで、

③線はすべての丸を通ります。白丸では直進し、黒丸では曲がります。
④白丸から斜め45°に進んでいったとき、最初の線の通るマスで線は曲がります。黒丸から斜め45°に進んでいったとき、最初の線の通るマスで線は直進します。丸から斜め45°に進んでいって線の通るマスがなくてもかまいません。

そして、ルール⑤として、カケエルの③(かけ算ルール)を白丸と黒丸両方に適用したものを設けます。

③④⑤はこんな感じです。

手筋は例えばこんなものがあります。

制約がかなり強くなったので、数字は入れなくてもよいことにしましょう。

なかなかいい感じに伸び、そして曲がってくれるようになったんじゃないでしょうか。

1問作ってみました。作った感想としては、制約が強くて丸が置きにくい((4)「作成の自由度」の要素が薄い)のとルールが分かりにくくて見落としが起きやすいのがよくない、って感じですね。結局あまり定食っぽくはなりませんでした。

(問題)

(解答)

今回思ったのは、理論的に考えているだけでは既存に流れやすくてなかなか(6)「なんとなくいい感覚」以外の魅力が入ってくれないのかなということです。高確率で基本展開に自分の好きな感覚が入るのはいいんですが、やっぱり新しい、いいイメージと組合わさらないと苦しいのではないかと思います。

またオモパ投稿とは違って公開前提のものを期限までに作らないと、と机の上で焦って考えていたのもよくなかったですね。アイデア、イメージが色々と湧いてくるのは布団の中とかお風呂に入っていてリラックスして考えているときが多いです。(あと周りの情報量が多いとアイデアが出やすいって聞いたことある気がするんですが、確かに音楽とか聞いたりしているときはわりと出やすいと思います。)

今オモパのストックないんですが1つの手法にこだわらずに色々試してみて次のニコリにも何か送りたいと思います。166号載りたい……!

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