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戦争は女の顔をしていない

"戦争で一番恐ろしいのは『死』だって答えると思っているんだろ?(中略)戦争で一番恐ろしかったのは.....男物のパンツを穿いていることだよ"2020年発刊の本書はノーベル文学賞受賞者デビュー作、独ソ戦従軍の女性たちへの聞き取りをコミカライズした良作。

個人的には未読の原作を読むか迷ったのですが。漫画化への興味から手にとりました。

さて、そんな本書はジャーナリストとして活動。聞き書きを通して、大事件や社会問題を描く著者、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ。チェルノブイリ原子力発電所事故に遭遇した人々の証言をまとめた『チェルノブイリの祈り』でも知られる著者のデビュー作で。第二次世界大戦の【独ソ戦に従軍した女性や関係者を取材してまとめた原作をコミカライズした】シリーズで。第一巻となる本書では、洗濯部隊の話から始まり、軍医や狙撃兵、飛行士や機関士といった、それぞれの立場で戦った女性たちの証言による7つのエピソードが収録されているのですが。

どうしても戦争、戦場を舞台にした作品では男性視点を中心とした物語が多い中、本作品では従軍した【女性将兵たちのまなざしで見た戦場】がそれぞれに証言として語られているのが、とても新鮮かつ印象的でした。

またコミカライズの楽しさとして、漫画家の小梅けいとによる想像力の膨らましによって、おそらくは原作では一言、二言程度の証言が【イラストがあることで深みを与えている】場面も多数あるのではないか。そんや細やかな描写による魅力も感じました。

"戦争"、独ソ戦について、また女性が従軍することについて。考えたい方にオススメ。

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