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銃・病原菌・鉄

"『あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?』"1997年発刊の本書は、なぜ様々な民族が異なる、また不均衡さをもって現在に至ったか?過去1万3000年の人類史を教えてくれる。


個人的には、西洋文明が発展したのは人種的な優劣などでは決してなく【偶然と単なるユーラシア大陸の地理的な要因】と圧倒的な知見をもって【根強い人種差別的な偏見】に対して反論を投げかけ、発刊当時に大きな話題となった本書ですが。今回ようやく(笑)最後まで読み終えました。

さて本書は、最終氷河期が終わった時点では、各大陸で【似たり寄ったりの狩猟採集生活をしていた】人類が、どのように差異が生まれ、その格差が広がっていったのかを食料生産や家畜化の伝播のユーラシア大陸の地理的有利による早さ、それが結果として【鉄製な武器、銃、そして病原菌への免疫】(特に病原菌の凄まじさ!)といった文明の利器へを獲得する事に、また16世紀にインカ帝国を少数のスペイン人が征服した事(またはその逆には何故ならなかったか?)へと繋がったと説明しているわけですが。まあ33年間にわたってのニューギニア現地研究者として、または地理学者、進化生物学者、歴史学者といった多様かつ越境的知見からの(時にユーモアを交えた)考察には終始圧倒されました。

また、後半には【オーストラリアとニューギニアのミステリー】【中国はいかにして中国になったのか】【アフリカはいかにして黒人の世界になったのか】などもそれぞれに論じているわけですが。こちらもお隣の大国、中国に関しては多少は馴染みがあるとはいえ、他の大陸の歴史に関しては全く私には知識がなかった事から、多くの一方的(或いは西洋的な偏見)をもって眺めていた事を痛感させられて、こちらも反省と共に大きな学びとなりました。そして民族主義や差別、多文化理解といった話題が【よりデリケートな問題】になってきている現在、この本が多くの人に読まれるべき存在価値は、さらに重要になってきているのでは?と感じました。

「サピエンス全史」を読んで、より踏み込んだ人類史を知りたい誰か、あるいは【世界的な格差や不均衡】がなぜ生じたのか?を考察したい誰かにオススメ。


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