ベトナム・カントーにある国指定歴史文化遺産を巡る旅

2019年10月24日 19:50

ベトナムのカントーには国指定の13の歴史文化遺産と都市指定の17の歴史文化遺産（Danh Mục Di Tích Lịch sứ - văn hóa cấp quốc gia và cấp thành phố）がある。せっかくなのでテーマに沿って国指定の文化遺産のうち、いくつか周ろうと思ったのと、「カントーに来たけど、水上マーケット以外何したら良いかわからない！」という方々向けにもご紹介。

残念ながら、まだまだツアーで周るのが主流で、公共バス等が発達していないので、交通手段はタクシーまたはバイクタクシーでどうぞ！

今回は、国指定歴史文化遺産のうち、おもにBinh Thuy地区の6つの遺産を巡ることに。ちなみにこの地区は、カントー市街地からバイクで15分ほど。

実はベトナムには54の民族がおり、ここカントーにもキン族以外に中華系民族、クメール族、チャム族などが多く住んでいる。この地区には教会、寺院、パゴダ等が密集しているので、街の歴史を学びながら周るのも面白いかもしれない。（←と言いながら、その歴史はすべてベトナム語の情報しか無いので、いつか本でまとめたいという構想だけはある笑）

NOTE: ベトナムの観光地は、オープン時間が午前の部（午前8時頃～11時頃）と午後の部（午後14時頃～17時頃）にわかれていることが多いので、そのことを念頭に置きながら巡りましょう！

１．Nhà Thờ Họ Dương (Binh Thuy Ancient House) ビントゥイの旧家

さて、まずはこちらのDuong一族所有のビントゥイの旧家へ！このコロニアル建築の旧家は1870年に建築され20世紀初頭にも何か所かリノベーションが行われている。お庭には、いつ行っても数種類の花々が咲き誇っていて、訪れる人々を魅了している。

開放的なドア。中に入る際は、靴を脱ぐことをお忘れなく！

オーナーでもあるDương Chấn Kỷ氏は、西洋の文化を学ぶことが大好きで、家の中には一族がフランスや中国から取り寄せた豪華な家具が並んでいる。不思議にも、この外側の西洋と内側の東洋は見事にマッチしていているのだ。

ここはフランス映画「L'amour」(英訳：Lover)の映画ロケ地にも選ばれており、ベトナム語とフランス語でも情報が表示されている。

ここはツアーで訪れるのが主で、私が訪れた際はベトナム人の10名程のツアーグループが訪問しており、ガイドさんが案内されていた。その後、フランスから数名の個人ツアーの訪問者、国籍はわからないけれど英語ツアーグループが8名程いらっしゃった。

今でも奥の別の建物にはDuong一族が20名程一緒に暮らしているのだが、いつ訪れてもご家族のどなたかが表に出てきて観光客に案内して下さる。（ただ、英語が話せる方は少ない）今回紹介して下さった方はDương Dàng Khoa氏。

今まで訪れていたグループ写真を紹介して下さった。「ここは、フランスやドイツ、アジアではマレーシアやタイからのゲストが多い」（カントーはマレーシアとタイとの直行便が運航されているので、そのことも影響していると思われる）と言っていた。

数多くの賞も受賞している。ご家族にとっても、国にとっても重要な遺産である。

ビントゥイの旧家の隣にはカフェとアートギャラリーも併設されている。常夏のメコンデルタは暑いので、次の目的地へ向かう前に少し休みながら芸術を満喫しよう。

入場料は15.000VND/一人。日本円で約75円。入場ゲートや受付は無いので、直接ご家族にお渡しすることをお忘れなく。家の中にはチャリティーボックスもあるので、ご家族の対応に満足されたり、入場料以上の価値があると判断された方は文化財保護やご家族の為にも追加で是非。

ビントゥイの旧家は、2009年に国指定の歴史文化遺産として登録された。

住所：122/144 Bui Huu Nghia street, Binh Thuy ward, Binh Thuy district, Can Tho city
オープン時間：8:00～12:00、14:00～18:00

２．Cơ Quan Đặc Ủy An Nam Cóng Sản Đảng Hậu Giang (Dac Uy Hau Gian)　

そして、次の目的地であったはずの、歴史文化遺産・・・だが、なんだか、それらしき燃えているものが？笑　でも閉まっている。うーん、正直、ここはよくわからない・・・ということで、パス！笑　まぁ、ベトナムではよくあることだ。2019年11月現在、日本語では情報は皆無。

３．Đình Bình Thủy (Binh Thuy Temple)　ビントゥイの寺

ビントゥイの旧家から、日本の商店街のような道を5分ほど行くと、ビントゥイの寺に到着する。ここは1844年にThanh HoangというBinh Hung村を守る神を祀るために建てられた。ここは神だけではなく、国の英雄であるNguyen Trung TrucやBui Huu Nghia（後述）も崇められている。

ビントゥイの寺に入る際も靴を脱ぐことを忘れずに。

ビントゥイの寺では1年に2度、大規模な地元のお祭りが開催されている。Ha Dien祭りとThuong Dien祭りと呼ばれるもので、前者は収穫の始まり時期（旧暦の4月12日～14日）のお祭り、後者は収穫の終わり時期（旧暦の12月14日～15日）のお祭りである。

ビントゥイの旧家もそうだが、このビントゥイの寺の庭も毎日綺麗に掃除されており、中国の植木鉢とコロニアル建築の真っ黄色の壁がなんとも素敵にマッチしていた。

ビントゥイの寺は、1989年に国指定の歴史文化遺産として登録された。

住所：Le Hong Phong street, Binh Thuy ward, Binh Thuy district, Can Tho cityオープン時間：7:30～10:30、13:30～17:30

４．Chùa Nam Nhã (Nam Nha Pagoda) Nam Nha寺院

ビントゥイの寺からバイクで5分程で到着するNam Nha寺院の入り口。観光地でよくみるLối vàoというのはベトナム語で入り口という意味だ。様々なウェブサイトで「カントーの訪れるべき場所！」のひとつとして紹介されてはいるものの、ビントゥイの旧家や寺と異なり、ここはより一層地元の人々の崇拝の場としての色が濃く、訪れた際は観光客どころか誰もいなかった笑　これも、ベトナムではよくあることだ。

ここは1890年にNguyen Giac Nguyen氏によって建てられた小さなお寺から始まっており、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、愛国学者のNguyen Than Hien Cuong氏やNguyen Giac Nguyen氏の活動の拠点として使用されていた。1923年には寺院が再び修復、拡大され、今日に至っている。

Nam Nha寺院は、1991年に国指定の歴史文化遺産として登録された。

住所：612 Duong Cach Mang Thang 8, Bui Huu Nghia, Binh Thuy, Can Tho City.
オープン時間：7:00～11:00、14:00～19:00

５．Mõ Thủ Khoa Bùi Hữu Nghĩa （Historical vestige of Bui Huu Nghia Valedictorian's Grave）Bui Huu Nghia総代生のお墓

ビントゥイ地区で、ビントゥイの旧家ともうひとつ訪れて欲しい場所といえば、こちらのお墓。最初に、ベトナム語で場所の名前を見たとき、これは一体、寺なのか神社なのか、なんなのか検討がつかなかったのだが、よくよく調べてみると1807年～1872年まで生きたBui Huu Nghia氏を祀るお墓だっだ。氏は、Nguyen王朝に従えた方でもあり、また地元の人々から親しまれる愛国心溢れる詩人であったのだそう。このお墓の規模からも、氏がどれだけ人々から愛されていたのかを感じることができる。