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言霊を謳歌した推しが最強だった話

運命交差点 LIVE TOUR 2019「言霊を謳歌する」が全公演終了した。
今年は引っ越しを控えていたので、あまり遠征等しない1年にしようかなと思っていたが、結果的に全公演参加して、そして参加してよかったと心から思った。

運命交差点をご存じない方に説明すると、運命交差点とは摩天楼オペラのボーカル・苑のソロプロジェクトである。V系界隈に多少詳しい方なら、運命交差点は知らなくても摩天楼オペラは知っていると思う。
摩天楼オペラはメロスピを基調としたメロディアスでシンフォニックなメタルサウンドが特徴的だが、運命交差点は打って変わって哀愁的でジャジーな世界観を主としていて、楽曲もノスタルジーを感じる歌謡曲である。近年のV系のトレンドには疎いが、10年くらい前にぽつぽつと存在した哀愁歌謡系のバンドを彷彿とさせ、00年代を主戦場としていたバンギャルとしてはそういった意味で懐かしさもある。明るめのメリーや黎明期のシドの楽曲が好きな人は、もしかしたらピンとくるかもしれない。

摩天楼オペラがその名の通り天を舞い世界を俯瞰的に見降ろし人間愛を謳うバンドなら、運命交差点からは雨が降った後の地面のにおいを感じる。地を踏みしめ一人の人間の感情の煌めきを語るバンドである。苑という一人の人間から発せられる異なった雰囲気を楽しみつつも、それでいてどちらかに違和感を感じることなく、その両方が苑という男である。

今回はファーストアルバム「言霊を謳歌する」のツアーということで、昨年の始動ライブの際に数多くあった未発表曲をまとめたアルバムを引っ提げてのツアーとなった。

言霊を謳歌する

上記Youtubeのサムネを見ていただければわかる通り、「世界の隙間に逃げたい」や「地球を追い越すミュージック」など、独特のワードセンスが光る。摩天楼オペラの楽曲にも「クロスカウンターを狙え」や「落とし穴の底はこんな世界」など独特の日本語タイトルの楽曲が存在するが、運命交差点ではそういった要素をより文学的に強めたように感じる。摩天楼オペラの方の最新アルバムのタイトル一覧と比較すると、差別化を強めているのを感じる。

わたしは苑さんの独特の言葉選びが好きなので、摩天楼の方でもまた長い日本語タイトルの楽曲を作ってほしい。いつも楽曲一覧が出たときに5度見して、どんな曲か想像もつかず、わくわくするのだ。
バンドマンのソロ活動は、結局のところ音楽をやっているのが同じ人間である以上、どこか似てきてしまいそうすると「それ、ソロでやる必要ある?」という声が出てきがちだし、逆にそう言われないために、アコースティックでやったり、まったく違うことをするケースが多い。ソロ活動を始めて自分の裁量でいろいろできることが楽しくなって、本体のバンドがご無沙汰になるケースも数多くあるし、正直わたし自身はJanne Da Arcの件もあり、あまりバンドのヴォーカルのソロ活動に対して良いイメージを抱いていない。

運命交差点は苑が今まで摩天楼オペラで培ってきたものや、彼の中の文学的世界観を違った形で昇華しつつも、今度は運命交差点で得られた新しい気づきを摩天楼オペラに持ち帰り、本体の糧としている(上記動画内の「actor」なんかは最たる例だと思う)。本人もあくまで本体は摩天楼オペラで、合間にできるタイミングで運命交差点の活動も行っていくとたびたび発言しており、少なくとも現在の段階においては良いパワーバランスが保たれているのではないかと思う。どちらも好きだし、どちらも大切なので、これからもこのパワーバランスが継続してくれればいいな、と思う(それはそれとして摩天楼オペラにはもっと売れてほしいと思っているけれど)。

最強を更新中

そんなわけで、運命交差点の東名阪ツアーに参加してきたわけだが、すごかった。
楽曲数が少ないので、昭和の名曲のカバーを何曲か演奏するのだが、今回のツアーでは
・みずいろの雨(八神純子)
・ワインレッドの心(安全地帯)
・ラヴ・イズ・オーヴァー(欧陽菲菲)
の3曲を披露した。どれも歌唱力を存分に発揮していたし、どれもカバー曲ではあったけれど、完全に自分のものとして歌い上げていた。始動ライブの時はわたしの大好きな異邦人やかもめが飛んだを披露していたので、カバーアルバム出せると思う。出したら買う。

摩天楼オペラとの比較の話は上述の通りだけれど、ステージの上でも当たり前だけど明確に違っていることがあって、摩天楼の時は楽曲のパワーをオープンに解き放って歌っていて、それが俯瞰的な人間愛の世界観だったり、メタルの楽曲性だったりにマッチしているけれど、運命交差点の時は逆に力をぐっと内に込めて、強い情念とともに叩きつけてくる。実にエモーショナルだ。
歌詞の中の人物たちは、人生に思い悩んだり、過去を振り返ったり、パートナーとの時間を大切にしているリアルな人間模様を写していて、お酒片手に物思いに耽るくたびれた背中が情景としてありありと浮かぶ。
苑さんを推すようになって何年か経つけれども、今になっても「こんな歌い方もできるのか!」と感動してしまった。それはわたしにとっても新しい発見であり、推しの歌やパフォーマンスに対してマンネリを感じることなく新たな感動を得られたのが、純粋に幸せだと思う。そして何年たっても、わたしの中の「最強だ!」を更新し続けてくれていることを、誇らしく思う。わたしの推しはすごいんだぞ!

運命交差点は、わたしの中にあった「ヴォーカルのソロ活動アレルギー」をすっかり取り除いてくれた。いつかソロの方が楽しくなってしまって、バンドをやるのが嫌になるかも…というそこはかとなくベースに根を張っていた不安感を完全に取り除いてくれた。多分苑さん本人もそこには気を使っていて、「あくまで本体は摩天楼、運命の方はスケジュールの隙間に」と繰り返しているので安心感もある。

摩天楼オペラと運命交差点、この二つのギャップを、これからも謳歌しながら推し事を楽しんで生きていきたいと思った。でも働き詰めは良くないので、適度に休んでほしい。
あと、今回のツアーに合わせ、日本酒「苑」を作っているので、日本酒が好きな人はぜひ飲んでほしい。日本酒が飲めなかったわたしでもいけるくらい飲みやすくて大変美味でした。

都内の居酒屋さんでも飲めるので誰かご一緒してほしい。(一人では酔いつぶれてしまうので…)

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静岡県出身、関東在住。都内某所でWebデザインとUI設計をやっているデザイナーのはしくれです。ばんぎゃる業をゆるく営んでいます。摩天楼オペラの苑さんが推しです。ゆるゆるな清水サポですがゆるゆる故あんまりサッカーの話はしません。Tw:@P1zza3131
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