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蓄音機の日

エジソンが円筒型蓄音機の特許を出願した日である。
1877年のことだ。

Le français Édouard-Léon Scott de Martinville avait déjà enregistré des sons sur papier en 1859 inventant ainsi la phonoautographie mais c'est en 1877 qu'Edison achève la construction du premier véritable phonographe capable d'enregistrer et de réécouter la voix humaine et du son, qu'il perfectionne avec le temps (cylindre phonographique d'acier couvert d'une feuille en étain et d'une aiguille qui grave puis lit 2 minutes de sons recueillis ou diffusés par un cornet acoustique). Les versions suivantes de cet appareil sont à la base de la colossale industrie de la musique enregistrée.
●Martinville カナダのケベック州にある地名

 1859年にすでにフランス人エドワード・レオン・スコットが紙に録音する装置を作っていた。エジソンは繰り返し人間の声と音を記録する装置を発明した。
 フランス人云々が付け足しのように説明されているのは仄かに、実はフランス人の発想が先にあってエジソンは改良した云々ともいいたげな様子が透けて見える。
 なにかを発明するときのワクワクは、プログラマーである私はすごく理解する。そのワクワクがあると、徹夜も厭わず作業する。その情熱は何人(なにじん)とか国とかは全く関係ない。個人的には、ノーベル賞や発明した人があたかも国家発揚であるように騒ぐのが大変嫌いである。どちらかというと国がステージを用意したものから鮮やかなる発明や研究は生まれないのではないか。。。それなのに、突然国がどうのこうのとうるさいのは戦争の後遺症なのではないだろうか・・・と思ってしまう。いまのリベラルな考え方の根本には国のこうした軽率さへの嫌悪もあるのだと思う。
 ともかくも、エジソンのおかげで、音楽録音は巨大(colossal)産業の基礎をこのあと築くことになる。

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 まさにオーディオの始祖のエジソンというわけであるが、ここで、過去ブログをふりかえってみよう。2015年4月18日の記事である。

ジャズと青春

大学の先輩にさそわれ、
いわば強制連行的な参加の仕方で、
ジャズサークルのオフ会に出かけたことがある。
おっと、これは表現が不適切。
当時は”オフ会”という言葉はない。

だって、全部オフなのだ。

パソコンすら世になく、携帯もない時代のことなのだ。
ジャズの会とかいう、複数の大学合同の集まりが
あったという。
バイトばかりに勤しんでいた僕には
アウェイな場だ。

嫌な予感はしていた。
お人よしの自分にとって
押し付けられるようなことは、
苦痛以外の何物でもない場所だ

それでも処世術で、
諸先輩方のジャズ論を傾聴しながら
ほほう とか へぇーという顔をしていた。
もちろん、これは、社交辞令である。
その実、さっぱりわかっていない。

若げの至りで、先輩が喋りやすいように
してあげて顔を立てようとしたのだ。
私のヨイショは功を奏して、
先輩の舌は滑らかにすべっていた。

-- ジャズをどこで勉強されたんですか
若い女性に訊かれた。
美少女である
ドギマギしている自分をごまかすために、
わざと渋面をつくりながら、急に、
訊くなという態度になる。
(先輩と一緒にきていなかったら
 全然違う態度だったかもしれない。)
実は全然わかっていないのだ。

先輩がノタマウ。
--あの演奏を聴かなきゃジャズを聴いたことにならない
(うーん、それは何を根拠におっしゃっているのか・・・)
--あのスリリングで、ムーディーなセッションは、、、、
(すみません、日本語でお願いします)
--あの演奏こそジャズって感じだ
(さっき、別のアーチストのときも、そういいましたね・・・)
--チックコリアも突然大衆的になった、以前は高貴さを保っていた
(あの、ご自分でいっている意味わかっていってますか?)

万事そんな調子である。
第一に言葉が過剰だ。
第二に意味が空虚だ。

ジャズはただ聴くだけじゃ ダメなのかな・・・・
なんで、何回もやっている演奏の限られたものだけ聴かなきゃならんのだ?
とてもじゃないけど そんなん時間的に無理っす。
バイトあるし・・・
というのが、本音なのであるからして、
美少女のいう ジャズを”勉強”するなんて
考えてもいない。
「いや、自分はただ聴いているだけっす。。。」
そう答えた。
それはふたつの意味である。
ひとつは、ただ先輩のいうことを聴いているだけ
もうひとつは、ジャズをただ聴いているだけ
である。

--それにしては よくご存知ですね・・・
「いえ、自分なにも知らないッス」
(これは本当に そのとおり)
と逃げた。

先輩ノタマワク。
「ジャズは、レコードじゃなくちゃいけないんだよね
 CDじゃとても、聴くに堪えない」
(さっき、CDウォークマンで聴いてましたよね・・・)

「スピーカーにもこだわりたいね・・・」
(ジャズにおいくら万円 かけてんすか?)
もう逃げ出したかった。

たしかに、先輩の云いたいこと自体は
なんとなくわかる気がする
中学時代は、工学部にいきたかった。
なぜかといえばオーディオ機器が好きだったのだ
(その実、文学部なんかに進むのだが・・・)

とくに、
ナカミチというメーカーに惚れていた。
カセットデッキという製品があった。
今ではトンとみなくなったカセットテープの録音・再生機だ
その中でも名器なのだ
ナカミチは。。。
中学校のとき、悪友とふたりで
晴海のオーディオフェアでナカミチのコーナーに
真っ先に入った。
どういう風に名器なのか。
カセットテープは
いわば、テープに磁性体を吹き付けてあるもの。
ヘッドという読み取り装置で
磁性体に記録されている音の信号を読み取るのだ。
ところが、問題がある
テープには個体差があり、
ヘッドとテープの角度(アジマスという)が微妙にズレがある
(ほとんどのメーカーは誤差として扱っていた)
それをセンサーで自動調整してピタッとするのだ。
これによって、録音、再生する際に記録する情報量がかなり変わってくる

アジマスを自動調整するなんて、
当時の技術としては、ミラクルだ。
1000ZXLという最高級品になると
通常の商品が2-3万なのに、55万もする。
高い・・・
音が違うとはいえ、
高嶺の花だ。
オーディオフェアではその音の違いを
比較できた。
・・・全然違う。
こんなにも違うのか・・・驚きだった。
レコードでも同じこと
ナカミチもレコードプレイヤーを出していたが
100万もした!!
ほかのメーカーの製品なら
5万円も出せば買えるのに・・・
なんでか。
レコード盤にも個体差がどうしてもあり、
中央の穴と針との距離が、微妙に違う
そうすると溝に直角に針がふれず
音にレコード盤によって違いが出る
それを自動調整するプレイヤーなのだ。
ナカミチはほかのメーカーが
こぞってDD(ダイレクトドライブ)を出しているのに
振動がするといって、ベルトドライブにこだわった。
それほどのメーカーの製品を使うとなれば
アンプや、スピーカーも廉価版というわけにはいかず
すべて高級品でそろえることになる。

CD(コンパクトディスク)が出てから
そういう高級品でなくても、
レーザーでディスクに彫られた窪みを読み取るため
摩擦がなく、ノイズリダクションも気にならなくなったし
再生するヘッドの能力によらず音域の周波数のレンジも広くなった。

しかしながら、記録する量が限られているため
音域をカットしている
低音域20KHz~高音域22,000Hz
これは、人間の耳に聞こえる周波数に合わせたというが
実はアナログの方がこの帯域は広い。
S/N比(サウンドとノイズの差)もCDは90dbだが
オープンリールデッキなどで再生したり、
ノイズリダクションシステムを駆使すれば
110dbという数字をたたき出す。

人間の耳で聴こえなくとも
音は振動なので、骨伝導でも”聴いている”
カットしてしまうと、これがない。
つまり、体感が違うのである。
だから、先輩のいうことは正しいともいえる。
ただし、私がついていけるのは途中まで。
”CDとは違った味わいがある”というところまでだ。
そこから先の、「聴くに堪えない」
という言葉は首をかしげざるを得ない。
(ヘッドを修正して縦に振ってはいたが・・・・)

オーディオが金自慢であるように
つまりは、知識自慢なのだ
当時はそんな空気感があったのだ。
先輩後輩との関係も
今ほどフレンドリーではなく上下ははっきりとしていた。

今日の、アド街ック天国は、
「昭和の渋谷」
ちょうど その雰囲気がかなり残る渋谷の
宇田川カフェで、サークルの集まりは行われた。
もう平成にはなっていたが、25年以上も前の時代だ。
(ジャズは今日は聴かないんだ 目的は何?・・・)
昭和の渋谷ではないけれど、
平成初期の渋谷は、
私にとって、
苦いような甘いような思い出が残る街である。
「遊ぶ」といっても
こうした先輩にくっついていくとか
そうでなければ、男同士で酒を飲んだりしているだけなのだが。。。

愛川欽也さんは
今日のテーマで語りたいこともあったろう
僕もぜひ聴きたかった。
(こっちは本気で)

そして
今日のブログはもう一人
捧げたい故人が私にはいる。
献杯しよう、あえて今日は酒なしだ。

 最初はカセットテープに録音した音とFMで聴いている音が”違う”ことに気づいたのがきっかけであった。
 カセットに録音された音は、”音源の写し”であるが、すべてを写し取れるわけではない。さらに、すべての音が再生できるわけではなく、磁性体に記録して再生するときに、再生性能はアモルファス製の登場を待つまで、とくに高周波数の音についてのそれがよくなかった。さらに磁性体についていえば、メタルテープの方が記録能力が高いのである。材料を吹き付ける技術力によるもので純鉄(メタル)のほうが酸化鉄(ノーマル)よりも技術がいるため高価である。
 こうした仕組みのためカセットテープの方が音が劣化するのであるが、それを克服する仕組みを一つ一つ理解するのに友人の力が大きかった。ナカミチという高ソリューションの会社も友人からきいて興味をもった。それが中学生のときで、大学に進んでからJazzに興味を持ったのも、オーディオの影響が大きかった。いまはすでに見ることも少なくなったが、コンパクトディスク(CD)の登場で、カセットテープが抱えていた音の劣化問題の一応の解決がついたという人もいる。
 つねにイチャモンつける人はいるもので、CDにまずイチャモンをつけたのが引用したようにJazzファンなどのオーディオファン達であった。
↑は、そのことを思い出して書いた記事である。
 もっとも最近はカセットテープがまた、脚光を浴びているという。音の良し悪しでなく、ファッションの要素も入っているのもある。(マクルーハンのいうところの回復であろう。)
 コンパクト・ディスクの抱える問題とは、すべてを記録しようとするとコンパクトでなくなるので、音の高域と低域の部分をオーディオ(人間が耳で聴こえる音)の範囲でカットして記録情報を少なくする。ところが、この部分耳ではたとえ聴こえなくても(長岡鉄男には聴こえていたというのだが・・・)身体は音(=振動)として感じており、この部分がカットされることにより感じ方が変わるというわけである。これによりアナログ派とデジタル派に好みが分かれる。
 文中に出てくる愛川欽也とはいまは亡くなってしまったタレントで、
アド街の司会をしていた。昭和はやはりこの人に語ってほしかったのであるが、それもかなわない。いわゆる昭和ロスなのだが、そこはマクルーハンのお力を借りて軽やかに乗り越えていこう。

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 先日、”アマチュア無線の日”という記事にて、技術を勉強することを称賛するような内容を書いた。まったくの私見だが、オーディオファンの中にはアマチュア無線(ハム)にも興味を持つ者も多いと感じる。
 そういった”興味を持つ者”の中で、善玉と悪玉がいる。過去記事に登場する私の先輩は悪玉だ。聞き齧りの知識をひけらかし、私を威圧したということである。
 これから、私も勉強して、先輩の威圧を跳ね返そうと思う。

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<来年の宿題>
・カセットデッキの数を予測する
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●見出しの画像
nakamichi という会社のカセットデッキ最上級機の1000ZXL。
(画像はお借りしました)
つまみの部分は純金削り出しで、カセットカバー部にはオーナーの名前を彫るという噂もあった。




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