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花文化の日

語呂合わせ。花文化を無形文化遺産に推める会が8月7日に制定した記念日。

※過去ログから花にまつわるブログをここにいくつか転載する。

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◯ ネムノキ

耐寒性が強く、高緯度まで生育地が達する
マメ科の植物だ。
パイオニア的に、荒地に進出するという。

春の終わりから、夏に花を咲かせる。
細長い花弁だ。

自力で受粉するのは不可能で昆虫が媒介する
そのため、種の数は8000に及ぶという

La floraison a lieu à la fin du printemps et en été, entre mai et juillet dans l'hémisphère Nord. La pollinisation est entomogame ; une autofécondation est impossible. La fécondité de cette espèce est importante, car la production de graines peut atteindre 8 000 graines par individu et par an

夕方は葉を閉じることから
夫婦の褥に捉え、夫婦円満を表すという。

また、ネムノキの季語は夏だ。

私なぞの私見では、
トロピカルな雰囲気はないが
夏の気だるい眠たさが漂うのだが

中村草田男は次のように鮮やかな句を読む

花合歓や凪とは横に走る瑠璃

花言葉は
歓喜

Je me laissai soulever par cette joie qui déferlait en moi, violente et fraîche comme l'eau des cascades (Beauvoir, Mém. j. fille,1958, p. 95)
(滝壺に流れ落ちる水のように、激しく、新鮮な歓喜が
次から次へと沸き起こり、私を流していくのだった。)

ボーヴォワールの自叙伝から引用した、

夏は歓喜の季節とも言える

夏の日差しを存分に浴びて、
それこそ、サーフィンでもして、
夕日の見えるバーでクアーズなんかを飲むと最高だろう。

同時に、なんとなく
その絶頂の中にあってさえ、
一点の曇りのようなダークなものを
敏感に嗅ぎ取って感じるのも感性である。


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◯ ふゆさんご

別名、竜の玉とか、珠珊瑚というらしい。
花期は春から初秋だが、
この植物は花よりむしろ実を鑑賞する。
結実は8-12月である。

フランス語では
渾名がついていて、その名も愛のリンゴ

Pommier d'amour (Solanum pseudocapsicum) est un arbrisseau de la famille des Solanaceae, originaire d'Amérique du Sud. Il est largement cultivé dans le monde entier comme plante ornementale d'intérieur ou d'extérieur. La plante est très attractive par ses petites baies rouge vif, semblables à de petites tomates auxquelles il faut cependant se garder de goûter en raison de leur toxicité.

南アメリカ原産のナス科の低木植物で
鑑賞用として世界各地で生産される。
赤褐色をビビッドにした色からトマトに似ているが
毒を持っているので、口にするのは控えねばならない。

愛どころか毒リンゴな訳だが、
花言葉は
あなたを信じる

Je vous crois.

信じるのと、高く評価することの違うところは
後者が理由や根拠があるのに対して、
前者はそれが必ずしも要らないことである。

その人に委ねるのである。
すると、信じこませる
faire croire qqnという状態になったりする

Qui a pu vous faire croire une pareille sottise? (Dumas père, Monte-Cristo, t. 2, 1846, p. 89)
(誰があなたにそんな愚かなことを信じこませたのか?)

デュマのモンテクリスト伯から引用した。

croireのような よく使われる動詞は
文法的な話題に事欠かない。

例えば、この動詞の否定すると従属節が接続法となる。

(フランス語の動詞は、直接法、条件法、接続法という3つのモードを持っている)
Je ne puis pas croire que je sois sa femme.
je suis となるところが、je soisになるわけだ。
例外として、なんのためらいもなく、きっぱりと否定するときには直接法になる。
Jamais on ne me fera croire qu'il faut avoir peur du bon Dieu.
il faille となるべきが il fautになるのだ。
シャルル ペギーという詩人の文で
(神様を怖がらなければならないなんて私に信じこませることはできっこない)
という意味である。

なんでこんなこと、いちいち覚えてるのかわからないが
この動詞を見るたび、そんな文法的なことを思い出す。
シャルル・ペギーは
彼はドレフュス事件の際に ゾラと同じく
ドレフュス擁護についたのだが、彼は
有罪か無罪かよりも、共和制の持つロマンを信じていた。
つまりは、かなり特殊な思考でこの事件をとらえていた。
以降、カトリックに傾倒するようだが
最後は(戦いを終わらせるために)戦死してしまう。

ロマンはロマンである
されどロマンで生死の価値を超えるのかもしれないが
信じるとは別の
ずる賢い矛盾もまた、人間の楽しさでもあると思うが
不敬だろうか。

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◯  グラジオラス

南アフリカ原産の花。
球根で増えるというが、
この植物の球根は茎が栄養を吸って肥大化したものだそうだ

この名称で呼ばれるのは春植え、夏咲きの品種を指すという
ヨーロッパには、春咲のものもある。
そういった品種を含めて200種類もあるという

Ce sont des plantes vivaces à cormes qui sont maintenant largement utilisées comme plantes ornementales en massifs ou pour la production de fleurs coupées. La plupart des espèces sont originaires d'Afrique du Sud, mais on trouve aussi certaines espèces à l'état sauvage en Eurasie autour du bassin méditerranéen et en Afrique de l'Est. On compte environ 10 espèces en Eurasie contre 150 en Afrique du Sud et 76 en Afrique tropicale. Ce sont donc des plantes très hémérochores.

●hémérochores  ...  anthropochorie  人工的な
 切り花や観賞用に使われることがほとんど。

南アフリカ原産だが、
種類によっては、ユーラシア大陸や地中海でも野生種が見られる。

Gladiolus, qui signifie « petit glaive » en latin, fait référence à la forme des feuilles. Ces dernières sont surmontées par une inflorescence en épi. Suivant les espèces, la taille de la plante est variable.

名の語源は、ラテン語で"小さい剣"を意味する。
葉の形からそう名付けられた。剣状の蕾の集まりからそう言われたという説もある。草の丈は、品種によりまちまちである。

花言葉は、
用意周到

projet soigneusement élaboré
で、用意周到な計画
On pourra refuser aux systèmes élaborés par les penseurs du Moyen Âge le titre de philosophies (Gilson, Espr. philos. médiév.,1932, p. 207).
(中世の思想家達が入念に練り上げられたシステムを哲学の名の下に拒否することもできよう。)
ジルソンの著作 「中世の精神哲学」から引いた。

ジルソンは、トマス・アクィナスの研究から
すでにデカルトの存在優位な思想の萌芽が中世にみられると説き、中世哲学と近世、近代哲学の連続性を説いた。

暗黒の中世といわれているが
実はそうではないと主張する。
同様の指摘した著作に、「中世の秋」というホイジンガの名作が挙がる。

まさに、論語の温故知新 のように
古き良きものを学んで 懐刀としたい。

現代思想の中には、
やり方やスタイルに独特のもの、
とっつきにくさを
わざわざトッポく纏うものがある

そういうトッポさを枝葉として
本質の刃で切りたいと思う。

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花言葉について、詳しくなりたかったのがきっかけだ。
自分は有名な花でさえも名前すらわからないことが多々ある。
それでは人生もったいないと思ったからである。

全部で96もの花言葉にまつわるブログが残っている
毎年その中から選び、加筆訂正して
こちらに転載してお届けしようと思う。

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<来年の宿題>
・花について(転載)
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