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最近気になる2社、未上場株投資、タコの知性、漁獲量減少 / ポッドキャスト『投資家の日常は、いとをかし。』 #17 2024年9月 前編 テキスト版

こちらのポッドキャストのテキスト版です。



renny:ポッドキャスト「投資家の日常は、いとをかし。」2024年9月をお届けします。このポッドキャストは投資家歴20年を超える2人の投資家がですね。日常生活で「をかし」興味深いと思ったことをお話しするポッドキャストです。投資信託中心で20年投資を続けている私rennyと、個別企業の株式投資中心で20年以上の吉田さんでお届けします。

renny:相変わらず暑いですね。今日は9月17日でお彼岸になったら涼しくなってくれと願ってますが、なんか暑すぎてなかなか調子出ないみたいなことをブログにお書きになってたり。

吉田:外に出れないというか、まあ出なくても生きていけるから、運動不足になっちゃう。

renny:だからスポーツをやってる人たちって、もう信じられないなっていうか。本当に暑いのに大変だなって思うんですけれども。このポッドキャストは投資家の日常ということでですね。まずは投資の話から始めたいと思うんですけれども。吉田さんから最近気になる企業を2つ、事前にあげていただいていましたね。

ダイキン工業に投資しちゃダメ?!

吉田:はい。最初はエアコンで有名なダイキン工業なんですが。金融機関に勤める友人から、個人で個別の企業に投資する際に禁止されている会社のリストにダイキンが入っていると聞きまして。

renny:そういうのってありなんですか? 仕事柄ダメというのはあると思うんですが、勤務先が従業員にこの企業に投資をするなっていうのは、あんまり聞いたことないんですけど、そういうのがあるんですね。

吉田:あるらしいですね。その金融機関の投資の方針として、どこそこの会社には投資しないっていうリストがあるらしくて、それには従業員としても投資しないでね、っていうのがあるらしいんですよ。

renny:従業員であっても、っていうことなんですね。

吉田:ダイキンがダメと言われて、全然ピンと来なくて、なんでだろう?と調べていたら、統合報告書の中にチラッと出てきていて、事業のセグメント別の中に売上の1%未満で「誘導弾用部品・防衛省向け演習用砲弾」って記載があったんです。利益率も主力事業に比べてすごい悪くて、会社としては続けたくないけど、日本政府から要請されて仕方なくやってる雰囲気が出てるんですよ。そんな状態なのに、武器製造に関わっている企業は投資から排除しましょうみたいな世界的な動きがあって、その中にダイキンが入ってきちゃったということなんですけど…。

ダイキン工業「統合報告書2024」P53右下

renny:実は僕もこの話をお聞きして思い出したことがあってですね。このポッドキャストでも取り上げたことがある、スコットランド、エジンバラのベイリー・ギフォードって投資会社がインパクト投資のファンドが、2023年に一度、そのダイキン工業に投資して、すぐに売却したんですよ。2023年10月から12月の四半期レポートを見ると売却の理由がやっぱり武器だったんですよね。その砲弾が「白リン弾」っていう非人道兵器のひとつであると。

ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド  2023年10-12月の当ファンドの運用状況 P5

吉田:それってクラスター爆弾ってやつですか?

renny:クラスターだったらクラスターってはっきり書いてるんじゃないかな。ただおっしゃるように、この事業をなぜ続けてるのかっていうのがちょっとわからないですよね。防衛省としてどうしても必要だからとか説明されているかどうかで話が変わってくるのかなという気もするんですけれども。エアコンとはずいぶん違う話ですが、吉田さんの友人の方が金融機関でお勤めで、そういうことを言われているっていうことは、まあその業界ではそれなりによく知られている話なんでしょうね。

吉田:そうなんでしょうね。

renny:吉田さん、ダイキン工業とかってお持ちだったりするんですか?

吉田:いえ。でもこれをきっかけに逆に投資しようかなと思ったりしてます。

renny:確かにそうですね。こういうのには少しでも関わってたらダメと見るのか、投資を判断する上でどれぐらいその重きを置くかっていうか、どういうふうに考えたらいいのかなと。吉田さんはどうお考えですか?

吉田:ダイキンの場合は、日本の自衛隊向けだけなら、戦争で使うことはまずないだろうし。それに比べて、今年の夏も本当に暑かったんで、エアコンって何人の人の命を救っているんだろうと。それを天秤にかけたら、気にしないでもいいんじゃないかなって思います。

renny:確かにこれが海外に輸出されているとか、本当に戦場で使われているとかであればダメでしょうけど、まあなかなかそのあたりのきれいな線引きはファンドでも難しいんだろうなと。僕も投資しているファンドでダイキン工業を保有しているファンドいくつかあるというふうに認識してるので、何かの機会で聞いてみたいなというふうには少し思いましたね。

吉田:そうですね。あとこれから宇宙産業とかも注目されてくると思うんで、宇宙に発射するロケットとミサイル開発って絶対くっついてるんですよ。これをどう捉えるのかっていうので、また話題になるのかなって印象はあります。

renny:確かにそうですよね。北朝鮮もロケットだと言ってミサイル撃ってるわけですから。だから宇宙は突き詰めりゃ軍事的な色彩あるよね、みたいなところもあるし、本当に難しいですよね。ダイキン工業に関しては、こういう風にあちこちで取り上げられるようになってくると、もう少し明確な説明を会社側がしなきゃいけないような機運も盛り上がるかもしれないですよね。

吉田:そうですね。

renny:もう一社、あの吉田さんがあげられてた会社ありましたけれども。

オープンワークの口コミを投資に活かせるか?

吉田:オープンワークです。上場してるのかどうかは調べてませんが。

renny:上場してるんですよ、実は僕持ってるんです。

吉田:そうなんだ。そういう認識がなくて、浜松ホトニクスを最近業績も株価も冴えないなと調べてたら、たまたまGoogleの検索結果に出てきたのが、社員の口コミサイトのオープンワークで。まあグルメで言うと、食べログの会社版みたいな。浜松ホトニクスの口コミ評価が良くなくてですね。それを読んでいて、こういうのもちゃんと見ないといけないのかなと思ったんです。会社に限らず身近なところでも、人手不足を実感させられるような瞬間が増えてきたので、日本の企業に投資を検討する際は、こういう社員の口コミとかも見ていった方が良いのかなって。優秀な社員が集まる会社かどうかっていうのがわかるようなツールだと思うんで。そうかオープンワークは上場してたんだ。

renny:僕は買ったタイミング悪かったんですが。ただ今おっしゃったお話で行くと、こういうのってポジティブなことを書き込む人にはインセンティブないのかな、と思うところもあって、どうしても情報が偏るから、取り扱いが難しい情報かなと思ったりもするんですけどね。

吉田:そうですね。悪い書き込みが多いのかな。その中でも良い評価を受けている会社はどこか、って探すのがいいのかな。

renny:たまたま今、僕の長男が大学三年生で就職活動が始まりつつあったりするんで、たぶんこういうようなサイトをチェックしているんだろうなとは思うんですけどね。ただこういうような情報っていうのは、就活だけじゃなくて、投資家にとっても見ておくべき情報なのかな、っていうのは僕もすごく感じますね。

吉田:そうですね。あの就職活動の時って、企業側から情報がいっぱい出てくるんで、大学生の早いうちから投資をやっとけばもっと楽しめたのにな、と振り返ると思いますね。

renny:そうですね。大学生の時に投資するって言ったら、どういう風になってたのか、ちょっと想像がつかないですが、以前にこのポッドキャストでも取り上げた「日経STOCKリーグ」なんかは助けになるんでしょうね。

吉田:そうですね。

未上場株式に興味はある?

renny:あと吉田さんにもお聞きしてみたいなと思ったことが一つありまして。最近、多少ルールが変わったからだというふうに認識しているんですけれども、未上場の会社に投資する公募の投資信託がいくつか出てきているんですよね。未上場の株式を組み入れるファンドの持ち分をその一部、ファンドと混ぜるとかっていうスタイルなんですけれども。吉田さんは未上場株にご興味ありますか?

吉田:全くないですね。

renny:全くない。それはどういう理由でですか?

吉田:昔、もう20年ぐらい前かな?上場を目指している企業の会計、経理の手伝いをしに行ったことがあって。会計ソフトに打ち込んでいる預金残高と通帳の残高が全然合ってないとか、ひどいぐちゃぐちゃな実態を見てしまって。未上場企業って怖すぎる!と実感してから、もう全然興味なくなっちゃいました。

renny:ああ、なるほどね。そういうのを一度見てしまうと、ちょっと無理かなっていう感じになっちゃうんですかね。

吉田:ちゃんとした会計監査が入ってないと難しいのかなっていう。

renny:ただ未上場でも今おっしゃったようなステージだけじゃなくて、監査も当然入っていて、それなりに株式公開ができそうな段階のような会社だったら、どう思われますか?

吉田:まあ遊びでちょこっと買ってみる程度ですかね。全投資資産の1%未満とかかな。

renny:僕も大昔、未上場の会社に投資するのを仕事としてやってたんですが、未上場株に惹かれる人たちがいるようで、僕の世代で言うとなんか、リクルートコスモスの株のように、なんか未公開株イコール儲かるみたいな図式ができていると思うんですけど。今もそういう風に思っている人がいるような感じがしてならないんですよね。やっぱり未上場だと上場したらすごく儲かるみたいな捉え方してる人がまだまだ多いのかなって。だからそういう資産を組み入れたファンドも売り出せるのかなと思ったりするんですよね。

吉田:儲かるっていうイメージなんだ。なんか未上場株を売りに来られたら、だいたい詐欺みたいなイメージしかないです。

renny:まあそうですね。たしかに未上場株に関連した金融詐欺ってすごく多いですね。でも逆にファンドの仕組みを使うことによってプロの人が選別したものを入れてるっていうようなことで、まあそういうものではない、っていうようなことではあるんですけれども。ただ未上場だから儲かるかって言ったら、それまあちょっと違うだろうと。会社自体がいいか悪いか次第で、いいものであれば儲かるし、ダメなものだったらいつまでたっても上場できない。仮に上場したとしても、たかが知れてるんじゃないかなっていうようなところはありますよね。

吉田:うん、そうですね。なんか少額じゃ意味ないですよね。めちゃくちゃお金を持っていて、この社長すごくて、事業にも将来性あるから応援したいと、1億円ポンと出すみたいな、そういう世界ならあると思うんですけどね。

renny:うん、まあそうですよね。すごく魅力的な会社で上場するつもりがあるんだったら、上場してから買ったらいいじゃんっていうようなところもありますし。必ずしも未上場の間に買うことに意味があるのかなと思うんですよね。

吉田:まあ調べればいろんな会社が上場してて、選択肢がいっぱいあるので、わざわざそこを選ぶ必要もないかな、って気はしますね。

renny:おそらく吉田さんはこういうお答えなんだろうなとは思ってたんですけれども。はいここで投資から話を変えてみたいと思うんですけれども、ええ最近お読みになった本のお話を事前にいただいてたんですけれども、タコの本を読まれたとか。

池田譲「タコの知性」

吉田:池田譲さんの「タコの知性」っていう本を読みまして。きっかけはテレビ番組の「カズレーザーと学ぶ。」(火曜日22時~日本テレビ)。専門家を呼んでいろいろな話を聞く番組があって、タコとイカの話をしている回で、タコの専門家の方が本を出されていたので読んでみたんです。

renny:僕も同じ番組見てたんですけど、タコは知性があるというような話で、ワールドカップの最中に勝ち負けを予想するタコがいるとかいないとかっていうようなことをやってた記憶が。

吉田:あれいつでしたかね?2006年ぐらいだったかな?(※2010年でした)

renny:あの時はタコがそんなことをするわけないだろう、なんか無理やりやってんだろうなと思ってたんですけど、あのテレビ見てるとそうでもないのかなと思って。

吉田:特にすごいのは足が一本ずつ脳から独立して動いているようなところがあるみたいで。タコの体全体で神経細胞が5億個あるんだけれども、そのうち3億個。6割は足に張り巡らされていて、触覚がもうすごい発達してて、足で考えている動物と言えるような不思議な状態。触覚だけじゃなくて視覚、目も結構、見えているらしいっていうような話もあったりしてで、外部環境に対する好奇心みたいなものを持っているはず。古代はアンモナイトみたいに殻の中に入っていたのが、安全な殻から出てきたっていうところから、脳も発達してて、知性もそれなりにあるんだろうなあっていうような話で。でも、知性があるって言われると、今後なんか変な方向に進んでいきそうだなというのが、調理法問題。

renny:それはどういうことですか? 調理法問題っていうのは?

吉田:五年ぐらい前かな? ヨーロッパで、ロブスターは痛みがわかるから、生きている時に頭を落としたりして調理しちゃいけないみたいな法律になったんですよ。

renny:動物保護の観点からっていうことで。

吉田:そうですね。

renny:でも結局食べちゃうんでしょう?

吉田:結局食べちゃうんですけどね。痛みがないように料理しなさいみたいな謎の法律があってですね。タコに知性があるとなると、タコにもきっとそういう話が及んでくるんだろうなと。

renny:スペインやイタリアはタコを食べるイメージがありますけど、フレンチでもタコを食べるんですかね。

吉田:ヨーロッパはあんまり食べないんじゃないかな。なんか悪魔のイメージとかがあるから。昔の絵とかで船を巨大なタコイカが襲って海に沈めちゃうみたいなイメージがあったんで、あんまり食べられてなかったはずですね。

renny:あの番組ではタコと一緒にイカも紹介されてましたが、知性の話は置いといてですね。吉田さん自身はタコとイカ、どちらがお好きですか?

吉田:タコは嫌いなんですよ。たこ焼きとかも中身タコだと食べれないぐらい。

renny:あ、そうなんですね。じゃあ調理問題、あんま関係ないんじゃないですか?

吉田:自分は調理しないから関係ないですね。

魚の漁獲量の減少

renny:ああ、そうなんですか。タコが苦手とは、それはちょっと予想外でしたね。僕はイカ、特にそのスルメイカが好きなんですが、この十数年ぐらいでもう劇的になんか値段が高くなって、昔は結構大きなものが一杯100円とかで売ってたのが、もう今は全然そんな値段で売ってなくて。スルメイカだけのインフレで見たらすごい率なんじゃないかな。

吉田:今、漁獲量の統計を見たんですけど、1995年と2020年との比較で、スルメイカの漁獲量は83%減ってるんですね。

renny:すごい減り方ですね。そんなに減ってるんですか?

吉田:恐ろしく減ってる魚の種類の一つに入ってます。

renny:そうなんですね。そんなデータを調べてなかったんで。昔は100円ぐらいで買えてたイカよりもずいぶん痩せて小さいのに数百円。あのイカをたくさん食べれた頃が懐かしいね、ってよく夫婦で話してたりするんですよ。

吉田:もうあらゆる魚の漁獲量が減っていて、変わってないのは鯛ぐらいですかね。瀬戸内海の明石海峡あたりでずっと同じ量をとれ続けててなくならないらしいです。海流が変わっても、あの海域はあんまり影響を受けないってことなのかな。

renny:天然の鯛がそういうふうになってるっていうのは意外でしたね。瀬戸内海ってそんなに環境が変わってないってことなんですかね?:吉田さんも以前お話しされてたかもしれないですけど、海水温が上昇してて、昔取れてたところと、その場所が全然変わってきてるみたいな話をお聞きした記憶があるんですけど、そういう意味で鯛はあんまり影響を受けてないって不思議ですね。

吉田:そうなんですよね。料理人の方もそれは不思議と話していました。そこだけ変わらない謎の海域みたいですね。

renny:これからの季節、サンマですが、今年は豊漁だと聞いてるんですけど、昔に比べてちょっとちっちゃいかな。でも値段ははるかに高いみたいな感じがして、サンマもずいぶん減ってるんですよね。

吉田:そうですね。1995年と2020年の比較でサンマは9割ぐらい減ってますね。

renny:スルメイカを凌駕する減少ですね。ああ、だから食生活が変わらざるを得ないようなところがありますよね。スーパーで売られるもの自体も変わってきてるっていうことですしね。

吉田:そうですね。まあ高く売れる魚は養殖で出てくるんですけど、サンマは養殖しないから、もうそのまま減っていって、高くなるという状況なんでしょうね。

後編に続く

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