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外資系IT社員の英語

最近は帰国子女向けの新卒採用があったり、そもそも海外採用で日本転籍した人だったり、出自や英語力はさまざまなんですが、生まれも育ちもジャパンドメスティックで英語なんて大学受験で必要な程度しかやっていなかった、それなりにマジョリティな英語苦手層からみた社内での英語力について書いてみたよー

お前らちゃんと開発に言ってんのかー

IT界隈かどうかは別として、外資系で働くってことはそれなりに必要なんですよ。英語って。

でもね、日本拠点の立ち上げ初期から最初から英語も技術も営業力もある人材を、ネームバリューも安定性もない会社が確保するのって無理ゲーですよ。無理ゲー。

なもんで、お客さんからの「どうも動きがおかしいんだけど、ちゃんと調べて治してよ」なんて問い合わせに対応するチームとかって、それなりに技術がわかって日本語でお客さんに対応する能力が最優先で、厄介な問題をひかない限りは、英語でのやりとりなんて後回しでいいんですよ。

だからと言って、そんな英語力と技術力の両方がないと説明できない厄介な問題がやってこないわけなんてなくて、突然やってくるのが不具合。

ただ安心してください。そんな未知の問題を製品開発チームに問い合わせてる手段なんてキッチリ作り込まれていて、「問題の深刻さだとか影響範囲」だとか伝えれば、しっかり優先順位に基づいて公平に対応してくれるんですよ。英語でなんですけれどね。

製品の「それじゃない動作」を伝えよう

ってことで、『英語』で問題点を製品の「期待する動作」「現状の動作」「その想定しない動作による影響」「その動作が正しいかそうでないかをいつまでに明確にしなければならないか」「その期限を超えるとどんな影響(使えないから契約終了するぞ、とか、ふざけるなこの野郎テメーら出来るって提案したから使おうとしてるのに動かねーじゃねーか)なんて、事実も感情もごちゃごちゃなお気持ち込みのご要望であっても「それって製品の動作としておかしいよね」ってお話であれば製品開発しているチームに不具合報告システム的なものを使って伝えればいいんです。

でもね、なかなか難しいんですよ。「ふざけんな」とか「うちの上司に説明出来ない」とか「そもそも聞いてない話を言われても納得できない」ってお気持ちだけいただいても、「そりゃそうですよね」ってお気持ちの話でビジネスへの影響を図りようがないんで、積み上がった不具合報告を調べる優先順位を決めかねちゃう。

でね。そんなやりとりを通じて「だったらこれ動かないと想定していたこんなコスト削減効果が1日あたりNN円位でなくなりますよねー」とか「この稼働が遅れる事で1日あたりNN円人件費が発生しますよねー」とか、分かりやすい金額の影響があれば判断しやすいんですけど、まあほとんどのお客さんはそんな数字を把握していないから残念ながら伝えないんですよ。
「そんなもん期待した通りに動いていない時点で問題に決まっているのに、何をアレコレ聞き返して時間を無駄遣いしてるんだ。サッサとうちの伝えた問題を調べろ」って気持ちはよくわかるんですけどね。

それでも伝えるべきことがある

そんな調査優先順位の判断に必要なポイントをわかっていただけるお客さんは、それはもうありがたいですし、そう言った観点でお客さんからフィードバックを貰えるととても助かるんで、いただいたフィードバックを製品開発しているチームに不具合報告システム上でガツっと伝えてもらってたんですわ。

そうしたら「お前が言っている意味が分からんけどこう言う意図を伝えたいのか?( I don't understand what you're saying, but are you trying to convey this kind of intent? )」って開発担当者から返信があったらしく、英語が苦手ながらそれで合ってるって伝えたかったんでしょうね。製品サポート担当者の彼が更新していたのは、

“Yes its street.(はい、その通りです)”

確かさよりハートの強さ

って話を聞いた時に、英語ができるかどうかは大事だけど、それ以上に自信を持って伝えるのって大事。だから恥ずかしがらずに英語使えばいいんだよ母国語でも無いんだしって気楽になりましたよ。

その頃は、Google翻訳もDeeplもないんでYahooとかExciteの翻訳使って更新したんでしょうね、その英語のフレーズで伝わるかどうか以上に「英語苦手だけどとにかく早く開発担当者にボールを返したい」って気持ちがよく伝わるし、そんな逸話がネタ話として残っている程度には、ほとんどの英語のやりとりはまとも。

日本拠点の立ち上げの初期とかって、怪しい名の知られていない外資系企業に、英語もできて技術もわかって日本語でのお客さんへ交渉力のある人材ばかりが揃う訳でもないので、どんな会社でもこの手のエピソードって残っていると思うんですよね。

学べよさらば与えられん

もちろん働き始めてから英語も製品技術も交渉力も学んで磨く必要があると言うか、それやってないとすぐにPIPという名の淘汰圧力が押し寄せてくるので、いつから始めるかってだけの話ではあるんですけどね。

まあ「日本人は英語の文法が正しいか気にし過ぎ。ブロークンでも英単語並べただけでもいいから伝えてみなよ」って話も時と場合によるなぁ。英語の勉強しよっと。って実感させてくれた彼、今も元気にあの会社で働いているかなぁ。

(今回もStable Diffusionさんによる作画。「大量の翻訳された紙が飛び出す光景を呆然と見つめるシステムエンジニア」)

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