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出来る上司はサイコパス

これみんな思い当たるところがあると思うんですよね。会社の中で力をつけて上昇していくには、不平不満をもらすメンバーをいかに取りまとめ、さらに上司からの無理難題をクリアし、更に難易度の高いミッションとかさっきまでやってた正反対のミッションをクリアし続けるって、まあ並大抵の図太さって必要なもんで。

理想の上司

理想の上司って人格者で面倒見が良くて、何かあれば一緒に社内外での交渉ごとも嫌な顔ひとつせず手伝ってくれて、他部門からも慕われている。いわゆる“人格者”というのか“性善説で生きている”そんなイメージなんですが、残念ながら人格者の方々って割と途中で潰れるか、昇格していってもある程度のところでボンクラ上司扱いされちゃうピーターの法則の体現者として頭打ち感が出てくるんですよ。

なんせ売上達成が至上命題というか、未達が続くと偉い人のクビのみならず下から順番に人員最適化という名のレイオフが始まり、最悪の場合は日本法人撤退まである外資系なので、大企業化していない限りはディルバートの法則で“意図的に無能な人材を有能な担当者から離すために昇進させる“なんて遠回しなことはしないんですよね。

社内の部門間も海外のレポートラインが違えば優先順位やKPIも違うので、比較的利害関係が衝突することも多いんで、そんな状態で他部門からも部下からもお客さんからも信頼が厚い人格者上司が真っ先に板挟みで睡眠時間削られてみるみる顔色が悪くなっていき、ある日「ドクターストップで1ヶ月ほど出社できないので、メンバーの皆さんで頑張って乗り切ってください。あっ出退勤や休暇申請や出張申請あたりの事務手続きは、代打でホゲホゲ部長にルーティングしておくので」ってむしろ事態を悪化させるし、本人も体調崩しちゃうことの方が多いくらいかも(それがかえって仕事を増やすことになってこっちは大変なんだよ。まったくさ。とかよく言ってた)

今実装されていない必要機能があっても「作り込みや将来の機能拡張の努力」でなんとか売り切りたい営業関係者
vs
そんな案件結局サポートとか開発に「機能がないって話が違うやないか」ってクレームになるいつものパターンなんでやめとけや。なんならそれサイドレター扱いって密告しちゃうぞってなってるカスタマーサクセス関係者

よくある利害関係の例

それでもなんとか生き残っても、人格者としての矜持なのかとにかく面倒見はいいのだけれども「それって本来あなたの部下がやるべき仕事であなたは自分の役職に見合ったお仕事できてませんがな」だったり「時間を費やして利害関係が衝突する部門と調整するのはいいけれど結局自部門に押し込まれちゃってるよね」とか言われているのを見ている人が痛々しさを感じる状態になりますよ。

ポンコツ意思決定者

そんな人格者でもなく、落ちてきそうな無理難題は軽やかに身を躱し、手に余る相談事は他部署の人にぶん投げる、そうしてとりあえず部門KPIだけはクリアする熟練の部門長あたりは生息数が多い気がするんですが、まあいっちゃなんですけどこのタイプはポンコツ上司なんですよ。

基本言われた数字をこなすことに長けている、如何にその上司から評価と部門メンバーからの評価は360度評価なんかで響くから気にする、でも他部門は利害関係の衝突とか面倒だから全力でスルーしちゃうので、ある程度のレベルで頭打ちして長期間滞留しているイメージ。

企業の成長後期あたりに、部下や外部から採用された人材に抜かれて上下関係が逆転しちゃうとか多いけれど、それでも自分のポジションが守れればいいやって感じで、ポンコツ感が否めないんだよなぁ(なもんでそんな方のぶん投げや依頼は、トレードオフの案件対応か、労力提供はするけど結果責任はその部門で持つコミットメントを要求するとほとんど立ち消えになってた)

出来る上司

そして真打ちが登場するんですよ。シン・出来る上司。
無理難題やリスクの高い特命ミッションや達成困難な数値目標なんかを引き受けて、上司のみならず会社上層部や他部門からも信頼が厚い。
その後の方針が真逆のミッションであっても理路整然と自信に満ちた態度でそれがいかに必要な方針転換なのかを説き伏せ、部門メンバーも「ああまたいつもの方針転換かよ」と思いつつも新方針に追従する。
面倒見はそれなりにいい感じだけど、むしろ自分自身が上昇するための技術のひとつとして演じているような雰囲気もあって、むしろ自分自身の社会的地位の確立(上昇志向)の方が強い動機っぽいんだよなぁ…
って感じでまあサイコパスなんですよ。

特徴

  • 良心が異常に欠如している

  • 他者に冷淡で共感しない

  • 慢性的に平然と嘘をつく

  • 行動に対する責任が全く取れない

  • 罪悪感が皆無

  • 自尊心が過大で自己中心的

  • 口が達者で表面は魅力的

ちょっと特徴は表現が強めな気がするんですが行動や言動で見ると、うん、なんかよく聴くフレーズな気がする。

(1)「実は~だったの」
言い訳が上手い、後から条件を追加することが多い、同情をひく

(2)抱きつきながらの「ごめん」もしくは「ありがとう」
大げさな感謝や謝罪が必要なことをやらかす、スキンシップで感情に訴えかける、パーソナルスペースなど気にしない

(3)驚かれても「全然すごくないよ」
思いつきをすぐ行動に移せる、衝動買いも厭わない、感情の切り替えなどを平然と行う

(4)自分の行動に責任をとらず「誤解だよ」
言ったことを忘れる、嘘をつく、相手に指摘されても誤解や勘違いだと言い逃れる、時には相手を加害者に仕立て上げる

(5)「〇〇して」と無理な要求を平気で言える
「悪いんだけど」と恐縮したりはしない、当然のこととして主張できる、相手の状況よりも自分の正しさ

(6)ひどいことをしても「〇〇と俺(私)の仲」と絆を持ち出す
親しき仲にもというモラルがない、許さない相手の度量が狭いと思わせる、付き合いの長さや深さを持ち出し自分がしたことをほんの一部の例外だと思わせる

ただ社内外含めて関係者が増えれば増えるほど、利害関係の対立は起きるもんだし、立場が上がれば上がるほどそれに対峙しなきゃならん上に、白か黒かがハッキリしている問題なんて先人達が決着つけている訳で、グレーゾーンのちょっとした条件や環境で白黒が変わるような問題しか残ってない状態ですよ。
そりゃあ視点次第で前言撤回したり、環境や条件変化の説明したり、嘘ではないが解釈の違いを指摘したり、共感より論理と合理性で話を進めなきゃ共通の解釈をなり合意点を導き出せないし、それらをうまく運用するには口は達者で注意を惹きつけられるように魅力的でなきゃならんし、そんな態度で説得された日には自信に満ちていて何ひとつ非がない感じじゃないと無理ですよね。
うんやっぱりサイコパスだった。

中期経営計画の落とし穴

これ外資系企業に限った話じゃないけれど、外資系企業とかオーナー社長の会社が一般的なサラリーマン社長の会社より傾向が強いんじゃないかなと考えていて、理由は事業の対象市場やリソース配分や製品サービス含めて、比較的短期間で試行錯誤しながら進めていく上で、朝令暮改と言われようが企業として成長するための最善手を決めるのに、短期間での方針転換は辞さないし「新社長が在任の4年間の中期経営計画を発表します」なんて時間軸じゃあ市場変化や環境変化についていけないので、一貫性や整合性はさておき、共感も大事だけど後回し、まずは企業の成長のために出来ることが最優先。
それにマッチした人材が生き残るし、事業計画も長くて1年で上場企業なら四半期決算で方針転換するぞ。ってダイナミズムを運営する側はサイコパス的な気質じゃないとどこか無理が出てくるんじゃないかな。
まあ企業が安定期(衰退期)に入ると、そんなサイコパス上司も新たな快適な朝令暮改の世界を求めて転身し、ボンクラ人格者とポンコツ意思決定者が勢力を拡大するピーターの法則とディルバートの法則を体現する企業に変化していくんでしょうけどね。

(イラストはStable Diffusionさんによる「青い空と白い雲を背景に地動説を説明するサイコパスのボス」です

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