piscis

緑と音楽と色の中でアパート暮らし。作ることは大好きです。ペンネームの由来は魚。自由に泳…

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緑と音楽と色の中でアパート暮らし。作ることは大好きです。ペンネームの由来は魚。自由に泳ぎ回りたいという野望あり。日々をつづっております。よろしくお願いいたします。

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硝子は線路沿いの店に

踏切の脇に線路に沿って、小さな道がある。普段は自転車でも、歩いてでも、わき目も降らず通り過ぎるところだ。そんな場所に、お店があるなんて話、聞かなければ探すこともない。 好きだろうから行って来たら、と勧められたのは、一か月くらい前。あったけ?あの道は何度も通っている。首を傾げ、もう一度確かめ、名前をメモった。骨董は好きだ。アンティークと名の付く古めかしいものは、好きだ。その独特な暗さ加減、古い傷や錆びた金属。濁ったグラス。そういういわゆるレトロなものは、なんだかやたらと心を溶

    • ホットカーペットから離れられないこの時期、床は貴重な暖かさの源になる。つい、横になったらもういけない。そこから二度と立ち上がることはないだろう時間に入ってしまう。テレビをリモコンで操作し、エアコンもリモコン一つでスイッチが入る。毎日がそれで過ぎるなんて本当に便利でいけないよなあ。

      • ペパーミント

        目を閉じると爽やかな風か吹いてくる。そう思いながら、目を覚ました。夜中の3時頃だろうか。目覚まし時計に手を伸ばし、時間を確認する。最近はその癖がついている。 爽やかな香りは寝る前に落とした香りだ。ペパーミントの香りは普段はあまり使わない。すっとしすぎて、またはどこでもあるミントガムを思い出して植物のものとは思えないほどの爽やかさに、眠りには使えないとただ箱の中に並んでいるだけだった。 単純な説明本を読んでみても、すっきりする、リフレッシュ、メントールなどの爽涼感が主だ。ア

        • 近くの小さな公園にはベンチが一つある。そこに座って、樹々のざわめきを聴く。大空の上の方で、梢がきらめき、ささやく音たち。木漏れ日が落ちてきて、足元を飾る。ここに入ってしまうと緑の木々に包まれて日常を忘れる。自転車が横の水路をすり抜ける。どこまで行ってしまうのだろうか。

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        硝子は線路沿いの店に

        • ホットカーペットから離れられないこの時期、床は貴重な暖かさの源になる。つい、横になったらもういけない。そこから二度と立ち上がることはないだろう時間に入ってしまう。テレビをリモコンで操作し、エアコンもリモコン一つでスイッチが入る。毎日がそれで過ぎるなんて本当に便利でいけないよなあ。

        • ペパーミント

        • 近くの小さな公園にはベンチが一つある。そこに座って、樹々のざわめきを聴く。大空の上の方で、梢がきらめき、ささやく音たち。木漏れ日が落ちてきて、足元を飾る。ここに入ってしまうと緑の木々に包まれて日常を忘れる。自転車が横の水路をすり抜ける。どこまで行ってしまうのだろうか。

          故郷

          私は転勤族の家で育った。故郷が3つくらいある。まあ、転勤族の人々に言わせれば、多い人はもっと多い。またいでいるのも県だけではなく、国境であったりする。だから、どこが故郷ですか?と言われると、ないという人も多いだろう。自分は、比較的、少ない方なので、そんなに難しい説明はしないでもいい。 が、太平洋側と日本海側をまたいだ時に、同じ民族なのに、こんなに違うなんてという驚きがある。どっちがいいという問題よりは、その土地の気質によって、文化までもが変わってしまうという驚きだ。しかし、

          輝きの家

          そういう家が本当にある。そこには誰が来ても良い。そこの主人は、誰をも迎えうる。心から迎え、ただ寄り添う。その家には、入ったら和風の普通の部屋があり、低いテーブルの上には夏は冷たい麦茶の入った魔法瓶が、冬にはお湯の用意された電気ポットと数種類のティーバッグが置かれている。布のコースターの上に。決しておしゃれという訳でもない。ただ、手で作った。そういうものが、部屋を埋める。 上の方の壁にはあらゆる人からの絵ハガキが、吊るしてある干した植物、窓際の緑が鮮やかなアジアンタム。アジア

          輝きの家

          キッチン

          何かを作るとき、そこにはリズムがある。包丁で刻む青菜、まな板にとんとんと音が染みわたる。じゅっというのは鍋の中。油が跳ねて丁度いい温度。そろそろ豚肉が煮えるころ、鍋はことこと、じゅじゅっと吹きこぼれながらいい香りが流れ。音はなにもしなくても、知らせてくれる。あらゆる丁度のリズムを。料理は感覚。加減は身体が覚えている。塩加減、砂糖の何倍、ちょこっと垂らす醤油、忘れてはならないお酒、そしてスパイスも。キッチンで、あっちこっち動き回るのは、同時に3つくらい作り始めるから。こっちでグ

          キッチン

          小さきものが大好き

          今回、面白そうだと思ったので、このMarmaladeさんの「大好き」企画に参加してみたいと思いました。好きなものは語れると感じます。企画に参加されたnolyさんのガチョウ愛に触発されました。が、書き上げたときに、すでに企画が終っていたという、のんびりな私。ですが、Marmaladeさんの、番外編で取り扱ってくださるとのお言葉で、あげることにいたしました。 小さいものが好きだ。ただそれだけで、どれくらいの小さきものたちを紹介できるかわからないが、小さいころから「手のひらサイズ

          小さきものが大好き

          本の影に

          机の本の影に、小人がいるかもしれない。そう信じたのは、13歳までだった。でも、そのおかげで、私はとてつもなく、毎日を礼儀正しく(小人たちに対して)ふるまっていた。彼らはなんでも私のことを見ている。することも、宿題も、全部。着替えだって。だから、学校で椅子の背にもたれることすら、知らずに中学生になった。 そう思っていたころ、佐藤さとるさんのコロボックルにすっかりはまり、そのような生活が出来たら、私だって、なんでもするのにと、道々、緑の草や、主に猫じゃらしを引っ張って、持って帰

          本の影に

          リサイクルショップの夢

          こんな魅力的な場所が、この世にあるだろうか。と言ってしまうと、そんなに素晴らしいところではないかもしれないが、実は、リサイクルのお店と言うのはとても楽しい場所なのだ。楽しさを発見するという意味で、私にとってリサイクルショップは常に魅力的だ。 この最近、よく出かけるのは、近所のリサイクル店。もう現役から程遠い、ご夫婦が営んでいる。そのご夫婦の感じがいいから、とか言ってのリサイクルショップというのは決して存在しない。リサイクルショップのほとんどの意味は、自分の好きなものを、かな

          リサイクルショップの夢

          スカーレット

          生という生をすべて隈なく焼き尽くす。 本能の自由奔放を求め、限りなく広い世界を見つめながら 動けぬ身の中で燃やす色。 手を伸ばすのは、自分の身体の声がそういうからだ。 情熱に任せれば、いつか失う自分を、それでも行きつくところまで。 その情熱の深紅に身を浸せられるなら、いっそ委ねてしまいたい。 燃えるうねりの中に もがきあがき、おぼれながら、掴み、這い上がって なお、喉元に押し寄せるマグマを飲み込み 自由への祈りを 流れに逆らい、まかせて たゆたい、天を仰

          スカーレット

          妖精たちの祭典

          6月の夏至、妖精たち、目に見えない世界のうっすらとした不思議なものたちが表れ、姿をあらわし、活動を始める時期とそこここでささやかれるこの頃です。 とある星のきらめく夜のことです。ドアをコツンコツンとノックする音が聞こえるのです。一体どういうことでしょう。ドアを開けると、光る灯を持った小さな小人が躍るような足取りで、私を誘うのです。不思議に思いながら、私は小人についてゆくことにしました。その先で、私が見たものは・・・祭典に招かれる私をつづっています。 昔のものですが、このお

          妖精たちの祭典

          鳥と樹々は仲良しで、草の周りには虫がいる。ほじくり返せばやわらかな土にはミミズが棲み、寝転がって見上げる空は木漏れ日から光を投げかける。風が吹けば何かが始まる。隣の小さな緑の粒にかわいいと視線を投げた。

          鳥と樹々は仲良しで、草の周りには虫がいる。ほじくり返せばやわらかな土にはミミズが棲み、寝転がって見上げる空は木漏れ日から光を投げかける。風が吹けば何かが始まる。隣の小さな緑の粒にかわいいと視線を投げた。

          その葡萄は前からそこにあって、見ながら通り過ごす。いいな、この刺繍。私には出来ないその刺繍の完成度が好き。心の中で思う。「それは手間と根気がいる」その刺繍の作り手に出会った。マスク越しの知らない目の先に、その人の夢が垣間見える。作る者の夢は様々だ。けれども作る思いは見ればわかる。

          その葡萄は前からそこにあって、見ながら通り過ごす。いいな、この刺繍。私には出来ないその刺繍の完成度が好き。心の中で思う。「それは手間と根気がいる」その刺繍の作り手に出会った。マスク越しの知らない目の先に、その人の夢が垣間見える。作る者の夢は様々だ。けれども作る思いは見ればわかる。

          手のひらの教え

          怒りが湧ききあがるとき、手に平を下に向けるといい。そう書いてあった本を思い出した。丁度、職場で同僚の謎の行動に、頭が理解を超えて沸騰し始めた時だ。怒り。それは頭に「気」がのぼるというものらしいが、確かにそうで、多分、頭に血がのぼっている状態。 そういう、ハウツーを覚えているなんて、こんな場でなんてラッキーと思った。何故なら、その通りに手のひらを下に向けたのだ。するとどうだろう。何故か、すっと何か上ったものが、心臓の下に落ち着いて行く不思議な感覚。昔の人は、これをいつどこで発

          手のひらの教え

          小人と妖精は

          「同じ世界に住んでいるの?」そう言って、私にそれらの違いを説明せよと求める声に窮した。そんなことは考えたこともない。そもそも、彼らは私の中にずっと昔から、当たり前のように存在していて、世界が違うのかどうかなんて、頭にもなかった。 そんな会話になったわけは、昔書いた、「妖精たちの楽しいお祭り」の文章を豆本にするという話からだった。妖精や小人や、いわゆるファンタジーの生きものたちは私の中には当たり前にいた。なので、お祭りの話もごく自然に出てきた。こんなゴールデンな祭典があったな

          小人と妖精は