週刊少年松山洋_タイトル_修正

マリオはなぜ左から右へ進むのか?

現在、漫画の制作を進めています。(*サイバーコネクトツーはゲーム開発会社ですが現在はゲームソフト&漫画制作の両輪でIPを成長させていく世界戦略を取っているのです)

で、ネームをチェックしていてどうにも違和感があって。

試しに“うん、侵略してくる帝国側は右から左に攻め込んで来ているこの流れでいいからさ、主人公たちは追われて逃げて右から左に進んでる、ここもオッケー、で、強大な力である戦車を手に入れてからも右から左に進んでるよね?ここを逆にしよう。それぞれのコマを左右反転させる形でいいから左から右に進むように変更してみて”って伝えて実際に直してみたらしっくりきました。

“あー、やっぱりそうか。違和感はここだったね。よし、これで進めよう”

と、まあ、こんなことがあったわけです。

これはよく演劇や舞台などで言うところの【上手と下手】という考え方に基づいた演出の話です。

客席側から見て

右側が上手。

左側が下手。

そして概念としては

上手=優位・順調

下手=逆境・逆転

ということになります。

物語は右から左に進むのです。

ましてや、漫画は基本日本語で書かれていますし右からめくるのでどうしても右から左に時間が進むことになります。

これを利用した演出を今回は行ったというわけですね。

私は昔から漫画を読んでいて“なんでこんなにも心地よくて面白いんだろう?”と考えた時に気付きました。

“あ、物語は右から左に進むんだ!”ってことに。

例えば『スラムダンク』で。

試合が湘北にとって順調に進んでいる時には右から左に走って飛んでシュートしてゴールを決めています。

一方、劣勢時に三井のスリーポイントで突然の逆転を図る時には左から右にシュートしています。

山王戦の最後の流川から花道へのパスは右から左に渡されてそのまま“左手はそえるだけシュート”を決めています。(1点差を最後に逆転するシュートではありましたが読者的にもここはもう“そうあって欲しい”と願いが込められたある意味“約束された勝利”としての気持ちよさを演出するための右から左だったと解釈しました)

これは『スラムダンク』に限らず、『ドラゴンボール』でも『NARUTO-ナルト-』でも『ONE PIECE』でも、みんなが夢中になって読んで気持ちいい作品に当てはまる演出でした。(ルフィが格上のカタクリに辛勝するシーンは左から右でした)

全ての作家さんが“それ”を意識して描かれていたのかまではわかりませんが、私は漫画を分析していてその“気持ちよさの法則”に気付きました。

では、表題にある『マリオ』はなぜ左から右へスクロールするのか?

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