週刊少年松山洋_タイトル_修正

どうすれば本を出せるんですか?

“どうすれば本を出せるんですか?”

という質問をいただきました。

私は本を2冊書いて出しています。

それぞれ星海社とGzブレイン社(現:株式会社KADOKAWA Game Linkage)から発売されています。

私の本業はゲームクリエイターです。ゲームソフトを開発するのがお仕事です。

なのに本も書いて出版されているわけですから、実は結構周りの人から聞かれます。

“松山さんって忙しいのによく原稿とかブログとか積極的に書かれてますよねー。どうやってそんな時間を捻出してるんですか?”

“そもそもどういう経緯で本を書くことになったんですか?出版社からオファーがあったんですか?”

“僕も本を出したいんですけど、どうすればいいですか?松山さんが本を書くことになったきっかけって何ですか?教えてくださいよ”

こうやってよく聞かれる質問を要約したのが冒頭の“どうすれば本を出せるんですか?”です。

確かに周りの人からすると不思議に見えるかもしれません。

“そもそもどうやって本を書いて出版するのか?”

今回は皆さんからいただいた素朴な疑問にズバリお答えしたいと思います。

*****

どうすれば本を出せるんですか?

基本的に直談判

まず出版社からオファーなんてもらったことはありません。2冊の本も基本的にこちらから企画書を持って出版社に行ってプレゼンして文字通り直談判しています。

『熱狂する現場の作り方』の時は“サイバーコネクトツーが20周年を迎えるのでそのタイミングで私の目から見たゲーム業界20年を一冊の本にまとめて出しましょう!”とウチの宣伝担当に言われて決めて、それからマチ★アソビで知り合った星海社の編集担当に連絡して時間をもらって、企画書持ってプレゼンに行きました。

『エンターテインメントという薬』の時は自分で“『.hack』15周年のタイミングで実際に起きた奇跡の話を一冊の本にまとめて発売したい”と考えて企画しました。

そして『.hack』シリーズは15年ずっとファミ通(エンターブレイン*現:株式会社KADOKAWA Game Linkage)で記事展開してきたのでファミ通に提案・相談するのが筋だろう、と考えて企画書を作ってプレゼンに行きました。

こう言うと“やっぱり松山さんはそういう業界のツテがあったから本が書けたんじゃん!”って思われるかもしれませんが、正直に言うと全く関係ありません。

あくまできっかけではありますがそれでしかありません。

プレゼンしてその企画を出版社が通すかどうかは実にクレバーに判断されます。

“うん、こりゃ売れないな”と判断されれば“松山さん、社内で検討しましたが残念ながら今回は見送らせてください”と言われて断られます。

当然、出版社側もビジネスですからそこには“知り合いだから”という観点は一切考慮されません。

本の出版は編集担当だけで決定するモノではありませんし、営業や編集部・編集長、たくさんの大人たちが会議を行って合意をとって進行・決定していくものです。

なので単純に持ち込み・投稿する場合と何も変わりません。

その企画が“売れる!”と判断されれば通りますし、そうでなければもちろんボツです。通りません。まずは良い企画を作ることですね。

*****

5,000文字書いて持ち込む

私の場合は企画書と一緒に冒頭部分を5,000文字くらい書いて実際に読んでもらいました。

いわゆる本の冒頭の“はじめに”にあたる部分です。

これは自分で考えてそうしました。

だいたい本というのはこの“はじめに”の部分だけで読者が“読むかどうか・購入するかどうか”を判断・決定すると考えています。

冒頭を読んで“うん、これは自分と合わないな”と思われたり“駄目だ、全然自分には関係の無い本だ”と判断されればそれで終了です。

それをまず読んでもらって編集部にも担当にも最初の判断をしてもらうべきだと考えました。

編集担当だって(最初の)読者なわけですから。

まずは“うん、これは面白そう”と思ってもらうのが第一段階だと思います。

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毎週土曜日に執筆

繰り返しますが私の本業はゲームクリエイターですので平日の日中はスタッフと共にゲームソフトの開発を行っています。

なので“本の執筆は基本的に土曜日!”と決めて執筆しています。

編集部で企画が通った後にざっくりと目次を制作して“こういった内容・構成・順番で一冊の本にまとめます”と伝えたうえで、編集からOKが出たら順番に頭から書いていきます。

だいたい1章ずつ(20,000文字)書いていって、のべ6週間(6日)くらいで1冊分を書くようにしました。

物にもよりますがだいたい一冊の本の文字数の目安は100,000文字前後。

私はだいたい120,000文字くらい書いてそれを推敲・編集の段階で20,000文字くらい削除します。

テンポが悪いと感じる部分だったり、“これはさすがに言い過ぎだな”と感じる部分や、“無い方が読みやすい”と思えるところを大胆に削除していきます。

あくまで“読みやすく・テンポ良く”が基本なので(本は商品です)。

何度も何度もそれを繰り返して最終的に編集と相談したうえで原稿完成となります。

その後は表紙や装丁のデザイン周りの相談をしたり、著者プロフィールや挿絵や写真の挿入箇所を決めて、出力された原稿ページを紙の状態でチェックして完成(入稿)となります。

発売日は編集部と相談して決めます。

発行部数はもちろん(出版社の)営業が決めます。

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以上が“本を企画して執筆して完成して発売されるまで”の一連の流れです。

結局は企画ありき、ということですね。

これから“本を書きたい・出したい!”と思われている方の参考になれば幸いです。

さて。

後半部分はそんな【本を執筆する時の裏側の話】です。

私が書いた二冊の本を企画段階でそれぞれの編集部に持ち込んだ時に言われた【ある提案の話】です。

-本を執筆する時の裏側の話-

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