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【薄い本】

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エロ同人とかはよく俗に『薄い本』と言われます。 そして、僕の小説は文章の厚さが『薄い』です。 つまりは、ちょっとえっちな小説書いてます。と言ってもやっぱりえっちじゃないものの方が… もっと読む
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記事一覧

Another Story:【シンデレラ】

Another Story:【シンデレラ】

・・・

どうしてなの?

私はずっと頑張ってきた。
あなたの隣に居る為に。
あなたに相応しい女性になる為に。

忘れてしまったの?

王宮の中庭で遊んだこと。
壁に落書きをして、侍女のバーバラに叱られたこと。
教師の目を盗んで逃げ出したこと。
紅茶を飲みながら話したこと。
わたしが泣いていると慰めてくれたこと。
夜、空に浮かぶ星々に名前をつけたこと。

あなたも同じだと思っていた。

いつか歩み

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【薄い本】クロノスタシス

【薄い本】クロノスタシス

『帰るの?』

ブラのホックを止めている途中のハルカが訪ねる。

『明日も仕事だしね。とっても名残惜しいけど帰るよ。』

そう言って彼女の額にキスをする。

『嘘ばっかり。』

『嘘じゃないよ。じゃあ、行くから。風邪ひかないように早く服着なよ。というかパンツ先履きなよ。』

『ユウキが脱がせたあとどっかに投げたんじゃん。いっつも投げるんだから、もう。』

四つん這いで下着を探すハルカを尻目に、じゃ

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【薄い本】タイムカプセル

【薄い本】タイムカプセル

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『10年後のぼくへ
ぼくは今、11才です。10年後のぼくに質問です。
今、何をしていますか?ちゃんとプロのサッカー選手になっていますか?小野といな本といっしょにグラウンドに立っていますか?
まあ仮にだめだったとしても、サラリーマンになって会社につとめていることでしょう。
たぶんしょうやとずっと遊んでいると思うけど、20才を越えているなら、2人でお酒とか飲んでいますか?

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【薄い本】バレンタインイベント

【薄い本】バレンタインイベント

ふたりでぺろりとスパゲッティを平らげる。
冷蔵庫に残っていた辛子明太子を使った、たらこクリームスパゲッティ。こいつ、ひょっとしてあたしより料理のスキル高いんじゃないか。ちょっぴり悔しさを覚えながら食器をキッチンへ運んだ。

料理を作ってもらった分、洗い物はあたしの仕事。ササっと済ませ、冷蔵庫からチョコレートを取り出す。彼はというと、こたつに入って携帯のゲームをしている。彼の目の前に、どんっとチョコ

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【薄い本】映画館

【薄い本】映画館

チチチチチチチ………

古いタイプの映写機が、これまた古いフィルムを一生懸命回している。体験したことのない昔へタイムスリップした気分だ。

僕が座った席に、ふっとポップコーンとジュースが現れた。僕の周りには誰もいない。今この映画を見ているのは僕だけだ。

・・・

気がつくと、とある映画館の前に立っていた。辺りには他に何もない。どこかの裏路地のようだが、はっきりとした場所はわからない。

『---

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続・追いかけあう手

続・追いかけあう手

私は、彼のことが好きなんだ。そして、彼もまだ私のことを好きでいてくれている。
追いかけあう手は、私の甘い妄想。
追いかけているのは私だけ。

あれから4ヶ月。
身を斬るような風と共に、街の雪はどこかへ消えた。空は青く澄み渡り、春の陽気が身体を包む。
日用品の買い出しを済ませ、午後からの約束に間に合うように足早に道を歩いていた。
そこで、ふと目に止まった一件の店。

正確には、店の中の一枚の絵。

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追いかけあう手

追いかけあう手

この記事はnoハン会2nd小冊子企画に寄稿したものです。

ふーっと息を吹きかけ、手をこすり合わせる。
しばらく歩いていると、はらはらと雪が降ってきた。今年は例年より少し早い降雪。
折りたたんでいた傘をさし、コートのボタンをキュッと閉める。
バーか何かの曲がりくねったストローのようなネオンにはまだ明りはなく、CLOSEDの看板が傾いている。店の前の交差点で、赤いライトを無心で見つめる。

そんな、

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【#同じテーマで小説を書こう】Das Spiegelzimmer

【#同じテーマで小説を書こう】Das Spiegelzimmer

Das Spiegelzimmer(ダス・シュピーゲルツィマー)
『鏡の部屋』

・・・

目が覚めると、鏡の部屋にいた。
前後左右、天井も床も全て鏡。
右を向くと、俺と目が合う。ずっと遠くまで、向かい合う俺と俺が無限に続いている。見渡す限り俺がいる。俺が腕をあげると、俺が一斉に手をあげる。
素足でひたひたと、目の前の鏡に歩きだす。鏡越しにそっと自分に触れる。冷たい。ずっと右向きに横たわっていたの

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メイド・ハンド・メイド

メイド・ハンド・メイド

整った顔立ち

可愛らしいメイド服

『これからよろしくお願いします!ご主人様!』

ある日突然やってきたメイドは、私の足元でハツラツとした笑顔を私に向けた。

・・・

は?私の世話?メイド?え、小さ・・・ていうかなんなのこの生物は?
見た目は人間そのものだが、とにかく小さく、頭から足まで15cm程度しかない。

『あなたは誰?なぜ私のところに来たの?』

『私はハンド・メイド。ご主人様のお世話

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【薄い本】Rote Stöckelschuhe (後編)

【薄い本】Rote Stöckelschuhe (後編)

Ein Mensch nicht von einem Wolkenkratzer herunterspringen, ohne sich zu verletzen oder zu Tode zu kommen.

※こちらは【後編】になります。必ず【前編】からお読みください。

・・・

飛べない。飛べない。飛べ、ない。
何故?あれだけ待ち望んだ瞬間だ。何故飛べない。

飛ぼうとした。しかし、ど

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【薄い本】Rote Stöckelschuhe (前編)

【薄い本】Rote Stöckelschuhe (前編)

Rote Stöckelschuhe(ローテ・シュテッケルシューエ)
『赤いハイヒール』

・・・

冷たい風が頬を撫でる。いつもはうっとうしい夜風も、今日ばかりは私に味方しているようだ。
ここはとあるビルの上。見知らぬ誰かの残業の明りが私をほんのり照らしている。身なりをきちんと整え、深く深呼吸をする。
今日は25歳の誕生日。私は今、人生において大きな一歩を踏み出そうとしている。大きな、大きな、最

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【薄い本】Eine kleine Nachtmusik

【薄い本】Eine kleine Nachtmusik

Eine kleine Nachtmusik (アイネ・クライネ・ナハトムジーク)
『小さな夜の歌』

・・・

『セミってさ、昼しか鳴かないらしいよ。夜はどこかで寝てるのかなぁ。』

彼女が急にそんなことを言い出した。既に夜の帳は下りている。夜風で揺れるカーテンの間から、気だるげなネオンが見え隠れする。彼女の服を脱がせ、ブラジャーのホックに指を掛けたところだった。

『なんで急にセミが出てくんだ

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【薄い本】Schadenfreude

【薄い本】Schadenfreude

Schadenfreude (シャーデンフロイデ)
『人の不幸は蜜の味』

・・・

カーテンの隙間から見えるのは太陽ではなく、どこまでも続く曇り空。鈍い光が、隣の女を照らしている。
隣にいるのが彼女だったら、気持ちも空も晴れたかもしれない。だがそんな純粋な心など、とうの昔に学校のロッカーに置いてきた。

『ねえ、飲み物。なんか無いの。』

いつの間に目覚めたのか、女がのそのそと動き出す。顔は美人

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