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「#朝ディナー」をはじめた僕の、いまの正直な気持ち

「#朝ディナー」「#昼ディナー」を始めて、10日が経とうとしています。

僕らが提案した「#朝ディナー」、この造語が結構インパクトが強かったのか、様々なご意見をいただきました。中には「ディナーを朝やればいいってわけじゃない」「昼は要はランチでしょ」といった厳しいご意見もあり、僕らの打ち出し方に説明が足りなかったかもしれないと反省し、勉強になった部分も多くありました。

同時に、何事も人によって受け止め方は千差万別で、その「正しさ」もそれぞれ異なる、と痛感しました。

ディナー=一日の中で主となる食事

色んな意見がある。それをふまえて、与えられたルールの中で僕らができることは何かを考えた上でのアイディアでした。

今回の緊急事態宣言を受けた sio の取り組みを、今一度きちんと説明します。

まず、店内20席を半分の10席で満席としてます。また、従来17時より最大で2回転の営業でしたが、今は朝・昼・夕方の3回転にわけてます。結果的に、同じ数のお客様をお迎えしながらソーシャル・ディスタンスが取れるように工夫しています。

そして、「ディナー」の意味を「正餐」つまり「1日のなかで主となる食事」と捉えました。僕らの提供するものはブレックファーストでもランチでもない。新しい生活様式の中でモデルチェンジした sio のレストラン体験を「#朝ディナー」「#昼ディナー」として打ち出したというわけです。


(一昔前まで、イギリスやアメリカ南部などでは昼食に「ディナー」を、夕食に「サパー」という軽めの食事をとっていたという事実もあります)

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僕らの「#朝ディナー」は、レストラン体験を朝向けにアレンジしたコースをご用意し、かつ日本の朝食の良さを取り込んだオリジナルな構成としています。

お客様からは、

といった嬉しい感想を多くいただきました。

そこで、朝の持つさらなる大きな可能性に気がついたんです。

朝にカレーを食べる、を「ふつう」にしたい

春の緊急事態宣言のとき、一番苦しんだのが丸の内ブリックスクエアの o/sio でした。
そしてテレワークが進んだ結果、今回も丸の内の通りはガラガラです。

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丸の内で何か新しいことができるか。僕は、今回気づいた「朝の可能性」に賭けてみることにしました。

オープン、朝7時。出すのは、カレー。
呼び名を「#ととのえるカレー」としました。

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和の出汁を効かせたオリジナルカレーに十六穀米。6種類のおばんざいを載せ、混ぜながら食べてもらう、 o/sio 流の新しいカレー。

カレー自体に玉ねぎの甘さをベースにした「甘じょっぱい」土台を作り、その上に甘み、苦味、酸味といった役割をもつおばんざいを載せました。sio の大切にする「五味+1」のカレーバージョン。緩急のある味が最後まで楽しめます。

最初からテイクアウトも考えていたので、小麦粉を使わずさっぱり仕上げ、「冷めてもおいしい」&「胃に優しい」を両立しました。
また、ほどよく効かせたスパイスで、細胞を気持ちよく目覚めさせる。辛さはひかえめに、全体的にほっとする味わいに仕上げました。

カレーにしたのには、
・老若男女問わず、一人で入店しやすい
・サクッと食べられる

といった感染対策の側面と、

・みんな大好き
・朝から元気になる
というイメージから、選びました。

実際のところ、朝のお客様のほとんどが一人、滞在時間は20分程度です。ネーミングには、「おいしくて元気になるカレーを食べて、心身を #ととのえて 一日をスタートしてほしい」というエールのような気持ちを込めました。

このウイルス危機下でなかったとしても、朝カレーには大きな可能性があると思う。
早めに家を出て、朝カレーで体を目覚めさせ、アクティブな状態で出勤する。すごい良くないですか?

今、飲食店どこも大変です。「#朝カレー」を糸口のひとつとして、朝の外食が大きなうねりになってくれたらいい。その時々の社会のルールを守りつつ、みんなで大きな扉を開けられたらいいって、願ってます。


やるなら本気で、必要な人に届くまで

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僕ら、朝の営業を短期的に終わらせるつもりでやってません。
なぜなら、その場しのぎの考えでは、その場しのぎのアイデアしか出てこないから。
僕らが本当に良いと、これがベストと思ってやらないと良さが現れないし、お客様に伝わらない、それって僕らが一番知ってるんです。

だから、全身全霊で朝営業に取り組みます。

朝に営業すると、当然のごとく雇用を増やさないとやっていけません。会社にとっては重い選択です。
でも、このご時世で雇用が増えるって、喜ばしいことじゃないですか。だからこそ、朝の可能性を本気で追求したいし、覚悟して進めるつもりです。

ネガティブな批判より、ポジティブな意見

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僕、毎朝4時半に起きてます。6時半には店に着きたい。
そのかわり、寝られるときは22時、23時には寝るようにしてて。結果、めっちゃ体の調子がいいんです。昨日も肌つや良くなったって言われたし。
もちろん、早起きだってたくさんある選択肢の一つに過ぎないんだけど、このコロナ危機によって朝の生活にタイムシフトしてる人ってたくさんいます。

僕らも説明が足りなかった部分はあるんで、ひとつひとつのご意見ご批判に真摯に向き合っていくつもりです。でも、 sio や o/sio みたいなレストランが朝から営業しているのと、ファミレスが朝から営業しているのと、「ルールを守りつつお客様のニーズを満たす」っていう意味では、全く一緒。

言葉狩りみたいにネガティブに足を引っ張り合うことでは何も生まれないです。正解を探そうとしてないし、むしろ正解はない。こんなときだからこそポジティブに優しさや愛を持って、お店もお客様も皆で一緒になって、次の可能性を探していきたいと思うんです。


僕らのスタンスである「幸せの分母を増やす」って、
言い換えれば、「これからの"ふつう"を作る」作業。

そこにニーズがあるなら、僕らはそれを徹底的に追求して、必要としている人に届くまで、努力し続けるのみ。

僕らが望むものは、その先にあるから。


sio株式会社 鳥羽周作

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代々木上原のレストラン「sio」オーナーシェフ。サッカー選手、小学校教員を経て、32歳で料理の世界に飛び込む。「DIRITTO」「Florilege」「Aria di Tacubo」などで研鑽を積み「Gris」のシェフに就任。2018年7月、「sio」をオープン。 41歳。