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離島でもつながれる no.2

2020年から「高校魅力化支援員」という仕事をしています。

私が現在住んでいる沖縄県の離島「久米島」には、高校が一つだけあります。昭和21年糸満高等学校久米島分校として設立し、70年以上の歴史を持つ学校ですが、平成21年生徒数の減少により沖縄県から「園芸科廃科」という通達がありました。島の基幹産業である農業の担い手を育てる園芸科の廃科を何とかしようと島民が立ち上がり「久米島高校の魅力化と発展を考える会」が発足、島根県海士町の施策を参考に平成26年から「離島留学制度」が始まりました。

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       離島留学生が生活している町営寮「じんぶん館」


当初は、島の方の家に下宿する形で始りましたが、3年後に30人受け入れ可能な町営の寮が設立され、今年度7期生を迎えています。離島留学と同時にスタートした公営塾では、若いスタッフたちが離島留学生も島の高校生たちも分け隔てなく進路実現に丁寧に寄り添ってきましたが、今秋高校の近くにできた図書館に場所を移し、さらに利用しやすくなりました。

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     公営塾が入っている久米島町の図書館「ほんのもり」

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         「ほんのもり」から見える久米島高校

久米島高校の離島留学は、入寮選考倍率3倍以上の人気で、他地域からもうらやましがられる存在です。「園芸科廃科」も延期が続いており、「久米島高校魅力化」は成功を収めていると言っていいと思います。

この仕事に約1年携わって思うことは、そろそろこの仕事を島の方々が主体となって担っていく必要があるということです。

もともと島民の強い気持ちで「久米島高校の魅力化と発展を考える会」が発足したわけですが、島根県に倣い、その方法を教育コンサル会社に委ね、地域おこし協力隊を実働部隊としてここまできました。若者たちが熱い思いで寮の運営、塾での指導を担って素晴らしい成果を上げてきたことを「良くやってくれている。このままよろしく」ではなく、「ここまでよくやってくれた、あとは私たちが(もしくは、一緒に)やりましょう」となるべき時期に来ていると思うのです。

乱暴なたとえかもしれませんが、地域おこしが植民地支配になることはさけなければならないと思っています。知識や情報、ノウハウが不足している人に対して「教えてあげる」という善意と、地域の方々が長年にわたって培ってきたやり方を否定して変えてしまうこととは紙一重です。

「魅力化支援員」の仕事として、今年前半は魅力化の担い手である若き地域おこし協力隊(主に寮と塾のスタッフ)の「困りごと」を島の方々にお伝えし、後半は島の方々が高校魅力化を「じぶんごと」として考えて頂けるよう少しだけタネを蒔かせて頂きました。

私は、「久米島高校魅力化チーム」の目指すものは、

久米島の将来をに担う中高生の自己肯定感や自尊心を育み、社会や世界と接点を持つことで、多様な人たちとつながりながら成長することに希望と喜びを持つことができる環境作りのお手伝い

と考えています。あくまでも「お手伝い」です。主体は久米島町の方々です。どうぞ私たちを使って下さい。そして、全国(世界中)皆さま、私たちの活動を助けて下さい。本年もよろしくお願いいたします。

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          久米島シンリ浜の素晴らしい夕日


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