お仕事帳(上)

私はとても怠惰な人間だから働くのは好きではない。起きている間中ずっと眠たい。できればずっと布団に潜っていたい。でも生きていくためにはお金が必要だから働く。どうせ働くならば好きなことや楽しいことをしたい。

そんなわけで今までにいろいろなアルバイトをしてきた。そして会社員を6年間。それぞれのエピソードを書き留めておこうと思う。

※エピソードの中には時効のものもあるがちょっとヤバいかなと思うものもあるので、保身のために今回は有料記事とさせていただきます。


①某ドーナツ店:高校1年生

人生で初めてお給料をもらったのは高校1年生の時。何度か書いたような気もするから詳しいことは省略するが、私は高校に入学した年はほとんど学校に行っていなかった。午後からとか放課後とかに行って、かるたの練習だけして帰ってくるという日もあった。

2学期が始まった頃には進級のための出席日数が足りないことが確定していたから、学校にはさらに行かなくなり、時間を持て余していた。それで、某ドーナツ店でアルバイトを始めた。私の通っていた高校は"一応"進学校で、アルバイトは禁止だった。

ある日、体育を受け持ってもらっている女性教諭が来店した。その先生は校則や生活態度にとても厳しい印象だ。気付いた時にはもう遅かった。2台あるレジのうち、よりによって私の方に来てしまった。胸元には「梶田」と名札をつけている。目が合った気がする。完全に終わった。学校に行っていないとは言え、数回は授業に出たから認識はされているだろう。きっと呼び出されて叱られる。謹慎処分ならば元々登校していないからいいけれど、退学はまずいなぁ(新年度からはちゃんと登校する気でいた)。双子の妹とか言ってもバレるかなぁ。そんな思いがぐるぐる渦巻く。

その先生は事もあろうに雑誌を読みだし、2時間ほどゆっくりと寛いで帰っていった。私は3分に1回は先生の席を見やり、まだ帰らないなぁ、早く行ってくれないかなぁと思っていた。店員としては最低だがこちらとしては死活問題なのだから仕方ない。数日間、呼び出しを恐れながらソワソワして過ごしたが、一向に音沙汰はなかった。元々学校に来ていない生徒を刺激しない方がいいと見逃されたのか、まさか気付かれなかったのか。真相はいまだに分からない。

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