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ワーク花きりん 清水三千香さん インタビュー

たくさんの経歴をお持ちの精神保健福祉士の清水三千香さんにお話をお聞きしました !
清水さんは、利用者さんへの支援とレザー製品のマーケティングを担当されています。

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福祉業界に入ったのは、私の知識が直接人の役に立つ場所があった!と感じたからです。

PIPPO:福祉の業界に入られたきっかけをお教えください。

清水さん:私はもともと大学院にいたんですが、学会の発表があって、その発表の時に精神保健福祉士という存在を知りました。そこでこの仕事就きたいと思って、大学院を辞めて、夜間の学校に入りました。

PIPPO:大学院ではどんなお勉強されてたんですか?

清水さん:私は社会心理学の勉強をやっていて、対人認知の研究をしていました。
ただそれを仕事に生かすっていうことが難しいと考えていました。
たまたま学会の時に精神保健福祉士さんの就労支援の話を聞いて、それがすごく面白そうで、私の知識が直接人の役に立つ場所があった!と感じて、今の道に入りました。

PIPPO:勉強不足で申し訳ないんですが対人認知って何ですか?

清水さん:簡単に言うと対人関係のことなんですけど。人と付き合っていく中で、どういう対応したらいいのかとか。自尊感情と対人関係について研究していました。

PIPPO:大学院中退された後はどんなところに?

清水さん:精神保健福祉士の資格を取れる専門学校の夜間学科にはいりました。当時、一般養成科の一年制のところに通えば、精神保健福祉士の試験を受けらる制度だったんです。今は法律が変わってできないんですが。
大学院から専門学校に入るまでにスパンがあったので、一般企業に勤めました。
これから修了支援で働くのに、一般の企業で働いたことがないと働くイメージとか働いた方の気持ちとかわからないといけないな思って。
派遣社員として働きました。
資格をとってからは、、いくつかの事業所で働かせていたいて、今は花きりんで VMDをやっています。
まさか私がこれを担当するとはと思いながらやっています。
楽しく紆余曲折してます(笑)

PIPPO:花キリンで働かれる前も B 型の事業所で働かれてたんですか?

清水さん:以前は病院とB 型の事業所、認知症のデイケアの方で働いていました。

PIPPO:様々なご経験が今花きりんで活かされてるんですね。

清水さん:活きてるといいですが・・・(笑)

自分が持ってる精神疾患に対する認識より現実はもっと深刻なんだという衝撃がありました。

PIPPO:ちなみに初めて精神保健福祉士ていうお仕事を知った時と実際その仕事についた時に自分が想像してたものとは違うイメージのギャップなどはありましたか?

清水さん:
ありました。ギャップがいっぱいでした。皆さんが抱えていたものが自分が想像していたよりも、もっと大きかったということです。
学生の時に初めて病院に見学に行ったんですね。行ったのは閉鎖病棟だったんですけど。
妄想がとても 激しい方がいらっしゃることを目の当たりにして、自分が持ってる精神疾患に対する認識より現実はもっと深刻なんだという衝撃がありました。
自分が資格を持って働くとなったときも需要というのがかなり大きいというのがあって。

PIPPO:「需要がある」 というのは人手不足ということですか?

清水さん:人手不足というよりも、支援が求められているという意味で「需要」があると感じました。
最初に勤めたのは病院だったんですけど、「つなげる」ところの支援がなかなか見つからなかったです。
例えば、グループホームにいる方が一人暮らしをしたいっておっしゃられたときに、家がないとか。
精神障害者の方が住みたいと言うとなかなか家を借りられなかったり、交渉しても貸せませんと言われたり。意外に一般の方が障害の持ってる方のイメージがまだ良くないんだなというのを感じて衝撃を受けました。
他の方もそれを知らないから衝撃が大きいんだなと。

PIPPO:障害者の方に対する偏見だったり社会的支援があまりにも少なくて、法律上というか構造上支援が少ないという状況なんですね。

清水さん:そういうふうに自分は感じました。

PIPPO:それを感じられてそれでもこの業界で働こうと思われたんですね。

清水さん:そうですね。その時は病院の中からしか知らなかったので、地域のことはよく知りませんでした。
ちゃんと地域のこと知らなきゃと思ったのも B 型支援につとめるきっかけです。

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福祉の業界や就労支援はいい意味で未知で正解がないです。

PIPPO:実際に B 型就労支援に入られて、想像と現実のギャップを感じられたと思うんですけど今はどうですか?

清水さん:福祉の業界や就労支援はいい意味で未知で正解がないです。
悩む時もあるんですけど、いい意味で広げられるというところがあります。
いろんな人と関わって、いろんな人とできる。
それが未知数で決まってないからやり方が色々であるからとてもおもしろいです。その人のスタイルっていうのがあったりとか、そのスタイルいいなっていうのがあったらそれを盗んだりとか。
それがいいなって思いました。

PIPPO:工夫の余地が沢山あるって事なんですね。 利用者の方の長所を見出すというよりは、目の前の方の広がりを見てご自身がすごくワクワクしたりとか働きがいを感じたりっていうことなんですね!

清水さん:それもありますし、利用者さんがここにこういう世界もあるんだと知って、そこで仕事についたりとか、最初意欲的じゃなかった人がこれやると楽しいんだというところとか、色々みつけたりとかして、良い意味で変わってきているなとか思ったりすると、自分も嬉しくなります。

支援のところは大変です。その人その人に合わせた支援。いつも悩みます。ずっと今も永遠の課題かなと思っています。

PIPPO:逆に大変だなと思うことありますか?

清水さん:支援のところは大変です。その人その人に合わせた支援。いつも悩みます。
ずっと今も永遠の課題かなと思っています。
その人に合わせて支援計画を皆さんと立てていますが、私はそう思ったけど実は、利用者は違う風に思っているかもしれないんじゃないかとか、 そう考えてやっていくと辛いところもあるし、そこをどうやって辛くないようにやっていくかを考えたりしています。

PIPPO:困ったなーという時それをどうやって打開して行くんですか?

清水さん:それは先輩に相談します。

所長 鶴岡さん:利用者の方が帰ってからみんなで振り返りをするんですが、職員同士でそこで抱え込まないように話し合うようにしています。
特にヘビーなケースだった場合、こういう内容だったというのを報告して先輩からアドバイスをもらったりですとか。彼女は一番年下というのもあってとても可愛がられています

現在28人の利用者の方が登録されていて、3人の職員がそれぞれ担当を持って対応しています。
各職員が10名ずつ担当して、2年毎に担当が変わるんですが、毎月の面談は変わらず同じ職員がします。
情報の共有は、スタッフ全員がやっています。

ヘビーなケース、例えば依存症とかパーソナリティの問題ですとか、職員が問題を抱え込んでしまって、バーンアウトしてしまうことがあるんですね。つまり、支援者がどこまでできるのか問題を抱え込んでしまって、うまくいかないとき時にどうしても落ち込んでしまうことがあるんです。それは自分のせいだと責任感を強く感じてしまって、鬱になってしまったりとか。そういうことを防ぐためにもみんなで情報共有しています。それは職員のためでもありますし、多くの意見を取り入れていくほうが良い支援ができるという面もあります。

PIPPO:他の方のアドバイスなどもあって、支援の仕方が変わってきたりするんですね。

清水さん:そうです。なるほど、そういう風に言うとよいんだ、ここはそうなのかなどと参考になることが多くて、やはり経験が多い方々本当にありがたいなというところです。

PIPPO:スタッフ同士の信頼関係が大事なんですね

清水さん:そうですね

PIPPO:ちなみにもし今大学院の時、学会でこのお仕事の事を聞いた時に戻れるとしたら、やっぱりこの仕事を選ぶと思いますか?

清水さん:この仕事を選んだかどうかですよね?
こればかりは縁だと思うので違う道を行っていたかもしれません。
その時の自分にピンときちゃったから、選んだんだと思います。

作っていて楽しいっていうのもそうですし、手に取ってもらえたら嬉しいっていうのもあるんですけど、売れたらもっと嬉しい。

PIPPO:ものづくりへの思いを教えください。

清水さん:もともと物を作るのは好きですが、商品にして売るということは初めてなので、売るということの責任感もそうですし、売る対象とか売るっていう事を色々考えなきゃいけないことが 正直深いなと思いました。
ここまで考えなきゃいけないんだとか。

PIPPO:例えばどんなことですか?

清水さん:例えばレーザーで物を作るという時にパスケースひとつにしても、ターゲット層は誰かとか。じゃあ男性にしよう、じゃあ男性だけでいいのかというと30代男性がいい、その男性はどういうイメージか?っていうのとか。具体的に誰に売るのかっていうのを考えるって言うのとか、今までそういうことやったことなかったので。
レザークラフトに携わるのも初めてだったんですが、未知の存在だったレザー商品を買い物中に見るといつも素通りだったのが、手に取って見るようになって。これはちょっとはまってきたなっていう感じです。

PIPPO:売るっていうところと自分のために作ったりって言うのはすごく違うっていうところなんですね。

清水さん:そうですね。責任が全然違いますね。

PIPPO:常日頃、作られるときもそういうことを考えながら来所される方と作られているということなんですね。

清水さん:私は、今作るところではなくて VMDの広告や展示を担当しています。
一緒に練習で作らせてもらって、 作ってみた感想としては、手縫い作るっていうこと自体とても一つひとつ時間かけて作られていて、これを客様が手に取ってくれたら嬉しいよなーって思いました。
利用者さんも多分同じ気持ちがあると思います。
作っていて楽しいっていうのもそうですし、手に取ってもらえたら嬉しいっていうのもあるんですけど、売れたらもっと嬉しい。
KURUMIRUで売れたと聞くと、すごい皆さん喜んでいます。そういうの励みになっています。やっぱり自分が商品を作って出したら手に取ってもらって 売れれたら嬉しいです。

PIPPO:利用者さんの喜びが伝わってくるわけですね。

清水さん:そうですね。

PIPPO:それが意欲につながったりはするんですか?

清水さん:意欲には繋がりますね。モチベーションの維持とかには繋がってると思います。

インタビューを終えて

インタビューの質問に、言葉を選びながら丁寧に答えてくださる姿がとても印象的でした。
どうしたら良い支援ができるのかを常に考え続け、足りないと気づいた部分を積極的に行動と知識で埋めていくこうという清水さんの姿勢は、同僚の方々や利用者の方々にとても良い影響を与えているんではないかと感じました。
私もそういう姿勢を見習っていきたいと思います!

PIPPOの一般消費者向けの販売は、普通の既製品とは違う、作業所の製品に特化するということがウリです。
作業所の製品を買うことだけで応援することになるんだよ!
それが、他の既製品を買うこととは違うところなんだよ!
っていうのをたくさんお伝えしていきたい。

一方で、「 なんで買うことが応援になるの?」ていう意見もあります。
あまりに福祉の業界が遠い世界すぎて現状がどうなっているのか、
商品を買ってもらうことで作り手にもたらされる影響が想像しずらいんじゃないかなと思います。

買っていただくことで、売上が上がり、作り手のお給料が増えるといううれしさもちろんありますが、
気持ち的にも喜んでいただけるんだ!ということを今回のインタビューで確認することができました。

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