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「@かたつむり」内山さんインタビュー

@かたつむりについて

・非営利型一般社団法人かたつむり「@かたつむり」は岩手県大船渡市にある障がい者福祉作業所です。2001年、障がい児の親達が育児の情報交換、学校の休日の子ども居場所・活動づくり、作業体験を通した子ども達の興味や能力開発、就労指向の確認などを目的とした作業所から始まりました。
・東日本大震災の津波により作業所が流失しましたが、「夢をかなえるファンド」プロジェクトにより、2018年、津波のこない安全な場所で新たにスタートをきりました。
・東日本大震災の実体験を活かして、小さくて、軽く、手軽に買える災害備蓄品「もしもの備え」を開発しました。
・すべての製品は、東北、岩手で生産されている原料を使って作っています。

今回は、@かたつむりの広報・営業担当である内山さんに商品の魅力を語っていただきました。

「トマさんソース」の絶妙な食感の正体は?

PIPPO中村:まず、人気商品の” トマさんソース”からお話を伺います。トマトは9度以上のものを厳選して使っておられるんですね。

内山さん:通常、糖度6以上をフルーツトマトと言うんですが、糖度9以上のもので、なかには16度ぐらいのものもあり、かなり甘いトマトをトマさんソースに使っています。サンマは鎌田水産っていう地元では有名な水産会社から仕入れています。これらを一個一個手作業で製缶してから、圧力釜で煮込みます。

PIPPO中村:製缶して蓋をしてから煮込むんですか?

内山さん:そう、製品のような形で煮込むんですよ。煮込んだ缶を冷やして、そのあと障害者の方がラベルを巻いています。

PIPPO中村:この素敵なラベルですよね?

内山さん:はい、ありがとうございます。ただ生産量が週に200缶位なんです。ひと月でせいぜい1,000缶。これは、例えば大型の缶詰会社の20分の1ぐらいの生産量なんです。

PIPPO中村:そうなんですね。でも、製缶からラベル張りもすべて手作りでされている。糖度の測定や、ラベルを巻くところ、その他の作業は職員さんがされているんですか?

内山さん:煮込みとか火を使ったり圧力釜を使う作業など、ちょっと危険を伴う場合は職員がやっています。

PIPPO中村:なるほど。もう福祉職員の作業の域を超えていますね。

内山さん:そうです。所長の大西が時間と圧力計も凝視して....本当に職人技です。サンマはしっぽ、頭、ひれを落として、内臓は取るんですけど骨はそのまま入っています。煮込み時間の調整は難しくて、長すぎるとただのペーストになっちゃう。逆に時間が短すぎると骨が固くなっちゃうんです。ちょうどひき肉みたいな絶妙な食感を残すことができれば成功です。職人の勘どころで「トマさんソース」の食感は成り立ってます。

PIPPO中村:舌でつぶれる程度の硬さ、ですね?

内山さん:そうです。ひき肉のように思えるものが実はサンマの骨なんです。

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PIPPO中村:食感だけでなく、栄養面でもリッチですね。

内山さん:栄養は、カルシウムはもちろん、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサぺンタエン酸(EPA)も入ってます。成分表示を見ていただければ、健康に良いソースだとご納得いただけると思います。

PIPPO中村:料理には、どのように使うのがおすすめですか?

内山さん:パスタに一番合うかな。

PIPPO中村:缶を開けて、そのままパスタにって感じですね?ミートソースやトマトソースに近いような感じで?

内山さん:はい。あと居酒屋メニュー風で、ワインのつきだしとかいいですね。

PIPPO中村:なるほど、洋風の使い方がお薦めですか。

内山さん:そう、一般的に自分も含めて・・例えばおっさんが「サンマの缶詰と日本酒で一杯!」っていうのと全然違うんですよねー(笑)

PIPPO中村:トマトですもんね。

内山さん:和風の料理に変身しないかぎりは違うかなーと思います。エスニック味なので。

PIPPO中村:エスニックなんですね。あ、風味にチリパウダーとありますね。シャンパンとかワインがぴったり来ますか?

内山さん:洋酒に合いますよ。それからチーズにすごく合うみたいで。パンの上にトマさん乗っけて、チーズかぶせて焼いて食べると結構美味しいって評判です。

PIPPO中村:手軽に美味しく魚を取りたい人にはすごくいいですね。手軽にサンマ丸ごとの栄養が食べられる。一つの缶詰に一尾のサンマですか?

内山さん:平均一尾入ってますね。わかりやすいでしょ。デパートの専門店街で販売して二日間ぐらいで売れ切れました。そしたら、また発注が来て。東京都内では、扱ってもらってるところは今一件だけです。

PIPPO中村:どこですか?

内山さん:岩手銀河プラザです。岩手県の第三セクターで、アンテナショップです。岩手県知事がそこの会長なんです。場所は、東銀座の地下鉄を降りてすぐ。最初1ケース(24個入)を納品して、リピートがきて3ケース目になりました。

PIPPO中村:安定して少しずつ出荷されている感じですね。

内山さん:あとは私の方で販路を開拓しなきゃ、と思っています。自信作ですからね。

↓ごはんにそのままのせてもおいしいですよ!

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一風変わった煎餅のフレーバー

PIPPO中村:なぜ、煎餅がラインナップに加わったのですか?

内山さん:もともと、かたつむりはお煎餅から始まったんです。「たかたのゆめ」というお米で作った「たかたのゆめせんべい」。実は、今一番の人気です。

PIPPO中村:ごぼうが入っているんですか?

内山さん:ごぼうのエキスが入っています。煎餅にごぼうって、ちょっと変わってるでしょ。すごく売れてます。個包装になってないんで、開けると全部食べないといけないんですけどねー。

PIPPO中村:これぐらいの量だったら、食べれそうですよ。

内山さん:え、けっこう多いですよ。一人で一日では全部食べられないのでは・・。

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PIPPO中村:食べれます、食べれます(笑)。ちょうどいい量じゃないかな?味は、ごぼうだけではなく、しょうゆ、たまり、ざらめ、七味唐辛子と5種類ですね。お子様、大人も、ご年配の方も楽しめそうなラインナップ。

内山さん:それもあって一番人気なのかな?あ、すみません、個包装のパッケージも用意してました。私みたいに全部一度には無理!って方は個包装を。中村さんみたいな一挙に!っ方は大袋で、パリパリした歯ごたえを楽しんでください。

「もしもの備え」は暖かい

内山さん:「もしもの備え」は災害備蓄品で、正確な名前は「逃げた先にある安心。もしもの備え」なんですけど、5年保存の水が入っています。あと、米と塩。

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PIPPO中村:アルファ米なんですね。

内山さん:はい。あと、ここが全然違うんです。熱源が入っている。水、米、塩までの詰め合わせは結構あるんですが、「もしもの備え」のセールスポイントは熱源です。強調させてください。このセットさえあれば15分ぐらいでご飯が炊けるんですよ。

PIPPO中村:なるほど!暖かいごはんがポイントですか。ところで、コンパクトタイプやスタンダードなど・・・セットは色々ありますね。

内山さん:備蓄用や、個人で持って逃げられるようなセットを各種用意しています。ご家庭のサイズは様々ですからね。そうだ、スプーンも入っています。

PIPPO中村:こういう、ささやかなところがすごく困るっていいますもんね。

内山さん:東日本大震災の時、何がなくて困ったかというと箸とスプーン。支援物資がいっぱい入ってきたのに「手で食べるのか・・・」みたいな感じになって。

PIPPO中村:缶詰いっぱい来るけど缶切りがない、みたいな話ですよね。

内山さん:今でこそ缶詰は缶切りなくても開けられるようになりましたけど、当時は困りましたね。あと支援物資としてカップ麺がすごく来たんだけど。

PIPPO中村:お湯がない。

内山さん:そう。でも、この「もしもの備え」があればお湯が沸くんですよ。熱源の使い方は簡単で、温めたいものと一緒に加熱袋に入れるだけだから、お茶や赤ちゃん用のミルクも温めることができます。

PIPPO中村:心も暖まりますね!熱源のきっかけも、東日本大震災の御経験から?

内山さん:そうだ、まず先にコンセプトをお話すべきでしたね。

東日本大震災のとき、うちの従業員が自分の家が被害にあって避難所に行ったんですよ。まずおにぎりが届いて1時間も2時間も延々と並んでやっと貰ったら、今度こっちで水配ります、こっちで缶詰配ります、ってまた延々と並んで。やっと自分の小さなスペースに戻っておにぎり食べると、冷え切って、氷のように冷たくて・・・。冷たい水でそれを流し込んだときに、やっぱりあったかいご飯が食べたいなと切実に思ったらしいです。それがずっと構想にあって、私が県社協時代にそういうの作りませんかっていって一緒に作ったんですよ。

PIPPO中村:そうでしたか。暖かいものが傍にあるだけで、安心することありますよね。ところで、パッケージには取っ手がついていますね。持ち運びを考えて?

内山さん:もちろんそうですが、「バッグ代わりになる」って意味もあります。避難所に逃げ込むときには、着の身着のままというケースも多くありますよね。で、そのまま数週間の避難所生活。周りも同じ被災者とはいえ、貴重品や歯ブラシ、衛生用品などをしまう場所がなく、タオルに巻いて枕のように保管したり…という経験がありまして。そういったところから、このパッケージは避難所で「最初に持つバッグ」という役目も考えています。2017年度グッドデザイン賞もいただいた、自慢の商品なんです。

PIPPO中村:東日本大震災の被災経験からのニーズを、がしっと受け止めた商品なんですね。コンセプト知ると、自分の“もしも…”、地域の“もしも…”をより深く考えるようになりました。本日は、ありがとうございました!

@かたつむり
住所 〒022-0004 岩手県大船渡市猪川町中井沢97-1
TEL 0192-26-2134
FAX 0192-26-2134
メール office@katatumuri.jp
時間 月〜金(祝祭日・年末年始除く平日)10:00~16:00
販売ページ:https://pippodonation.com/katatumuri.html


Special Thanks:このインタビューページはボランティアの方々のご協力で制作されています。ご協力くださりありがとうございました。mikitoさん、ysさん

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