そんなもんなのだ

2024.5.16

今日はひどく気持ちが閉じこもりがちな日だった。

特別今日だけ何か嫌すぎることがあったとか、そういうわけではない。

ただなんとなく、なんとなくなのだ。

どうしようもない寂しさとか悔しさがとめどなく溢れてきて、自分自身への自信が底をついてしまう日が小さい頃からときどきある。

私はこの世に生きていたい理由は山ほどあるけれど、自分がこの世に生きていてもいい確証があまり見出せない。

そりゃあ私がいるから、税金はちゃんと私分納まって日本は助かってるし、私が残業してるから会社は今日も回っているけれど。

なんかそういうことじゃなくて。

マインド的な何か。気持ち的な何か。

私を必要としている何かがこの世にあるのかな、という疑問に似た寂しさがずっと背中にペタッと張り付いている。

「生きている意味はあるけれど、生きてていい理由がない」そんな感覚がずっとずっと頭を回っているのだ。

しかしまあ、そんな疑問に対しての答えなんてそうそう簡単に出るものでもない。

しかも「あなたを必要としている人は絶対いるよ!」なんて3秒で言えてしまうような素敵な言葉で、ちゃんと励まされてくれるような、素直な私でもない。

だからこういう日はただただ、過ぎ去るのを待つしかない。

それしかないのだ。

今日はずっとこんな感じでフラフラしてて仕方ないから、家に帰ってからは何も考えずに音楽を聴きながら絵を描いていた。

「これを聴きたい!」って明確な気持ちも無かったので、迷いながらも安定に、とりあえず好きなバンドのファーストアルバムからさらっていくことにしてみた。


そういえばこのアルバムは久しぶりに聴く。



今の積み上げてきた歴史が誇る洗練されたバンドサウンドよりも、ちょっと隙間が空いていて、粒がくっきりと浮き上がるような削り方が少し荒めのこの音たち。

「あ〜めっちゃいいな〜」と思った。

本当に。あ〜めっちゃいい〜と思った。

それ以外何も思わなかった。

ここのギターが若さゆえの尖りがあって最高なんだとか、この世界観がこの頃から築き上げられてきたんだ揺るがない素晴らしいとか。

そういうたくさんのことを考えられる余裕が今日は1ミクロンも無かったから。

「あ〜もうめっちゃいいな〜」とだけ心の底の底のそのまた底から思った。


その気持ちだけでファーストアルバムを全部聴いて、アルバムが終わった頃には、もう自分が何者だとか、自分がいる意味とか、そういうのはあんまり考えていなかった。

ただ最後に

「これをずっと聴いていたいな」

という気持ちだけ、強く強く残った。


本当にそれだけ残った。



そしたら、「ああ、そんなもんなのだな、」と思った。

私が一日フラフラになるくらい気持ちを閉じ込めさせた謎の悩みなんてものは、好きなバンドのアルバム1枚あれば解決するんだな。

しかも私の生きている理由なんて、こねくり回しても結局は、好きなものを好きなだけ味わいたいからくらいのものなんだな。

人生なんてそんなもんなのだ。
というかそんなもんでいいのだ。

誰かに必要とされたいとか、誰かに大切にされていたいとか。

自分の承認欲求にときどき振り回されるけれど、自分の好きなものが好きなだけある、それがあれば十分だなあと再確認した。

元気だと、逆に頭がフル回転で音楽とかも率直に聴けなくて、何かうまいこと掴もうと考えてしまいすぎたりする。

しかし逆に、今日みたいな閉じこもった日は、頭がキャパオーバーになるので、音楽を聴く頃には何も考えていないことが多い。

そうすると、私の好きな曲にある無責任さの無い生活と切り離された独特な歌詞とか、沸き立つようなポップな音たちが、わりと素直に頭に入ってきてくれるみたいだ。


そうか、人生もっとぼ〜っと生きよう。

そう思った今日であった。


わかると思うが、この話に特に結論は無い。

今日はとりあえず落ち着いたけれど、たぶんまた1ヶ月後くらいに、こういう日があるのだろうな。

そういう日は好きなバンドの音楽を聴こう。
何も考えずに好きなバンドの曲を入れ込もう。

そうしたら解決するらしいからね。
ちっぽけでお気楽な人間の悩みなんてものはさ。


おわり

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