Happy Birthday to You

ぴぴぷる家は俗世のイベントがほとんど関係なくって、誕生日が祝われることもなかった。

子供の頃の大金を得られるタイミングは限られているもので、大抵はお正月、クリスマス、誕生日の3つだろう。この中で僕に与えられたものはお年玉だけだった。

まわりの友達や同級生は当たり前だけど誕生日を祝ってもらえていた。僕はそれがとても羨ましかったけど、それは子供らしい寂しさとかではなかった。お金が貰いたかっただけだ。

まわりは3回も欲しいものが手に入るタイミングがあるのに、自分にはひとつしかない。そんな理不尽をどしたって感じてしまうのが誕生日であって、僕はこの1月28日があまり好きではなかった。

5年前、人生で初めて彼女(つまり今の嫁さん)と迎えたこの日。僕はついに心から誕生日を嬉しく思えた。ダイニングカフェでのディナーの後、店員が鮮やかに彩られたケーキを持ってきたあの瞬間を、今でも覚えている。

お皿にチョコレートで書かれた、HappyBirthday You(陽) の文字。
無邪気に揺れてるように見える蝋燭。
それを吹き消すことができる感動。

僕はそれはもう、大層喜んだ。
「こんなに喜んでもらえるなんて」と大好きな人が言ってくれて、彼女もまた嬉しそうだった。

あぁ、僕は誕生日を、祝ってもらいたかったのか。

そう思った。

あの日の五年後、僕はスターバックスでこの記事を書いている。
目の前では、あの日よりもっと大好きな彼女が本を読んでいる。

もうすぐ予約したお店の時間だ。美味しい料理とお酒、そしてそれを2人で楽しむ愛しい時間が、僕を待ってる。



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